ブルズを追い越そうとしたチーム

 かつて、数多くのチームがネクストブルズと言われていた。

 例えば、RUN,TMCと呼ばれたティムハーダウェイ(T)、ミッチリッチモンド(M)クリスマリン(C)の3人が中心のゴールデンステイトウォーリアーズはその早い展開、速攻中心のRUN&GUNで観客を魅了、その後を大きく期待されたが、ティムハーダウェイは再起不能とまで言われた怪我をし、ミッチリッチモンドはトレードされ、クリスマリンはアルコール依存症でプレイ不可能と言われ崩壊する。その後クリスマリンはアルコール依存症から立ち直りインディアナペイサーズで復活し、ティムハーダウェイは怪我から立ち直ってパットライリーのヒートで再び一流選手として活躍し、ミッチリッチモンドはキングスで1人がんばり、最も過小評価されているガードと言われた。

 シャーロットホーネッツのヒューチャーブルズはアロンゾモーニング、ラリージョンソン、ケンドールギル率いるチーム。成績を少しあげるが、結局かみ合わなかったケンドールギルはトレード。アロンゾモーニングはパットライリーに引き抜かれヒートへ、プロになってから大学時代のような圧倒的な強さを見せていない1位指名のラリージョンソンもニックスへトレードされてしまった。こうしてヒューチャーブルズは解体したがホーネッツはその後、アロンゾモーニングとのトレードで獲得したグレンライスの成長、ラリージョンソンとのトレードで獲得したアンソニーメイスンの器用なポイントフォワード、そして成長。コービーブライアントとのトレードで獲得したブラディディバッツの安定した力。ボビーフィルズとデビッドウェズリーのガードコンビ。控えのベテラン、デルカリーとマットガイガーのがんばり、エディージョーンズやエルデンキャンベルの活躍によって、98年にはカンファレンスセミファイナルまで進みブルズとの死闘を戦うまでになった。その後、ジャマールマッシュバーンらの活躍でプレイオフ進出は継続してくものの、優勝には届いていない。

 ダラスマーベリックスの3j‘sも将来を期待されたチームであった。ジャマールマッシュバーン、ジムジャクソン、ジェイソンキッドのトリオはその個人技とパスセンスでトリッキーなプレイを披露していたが3人の不仲によって崩壊。将来を大きく期待されているジェイソンキッドはサンズに移りチームを引っ張っていた。その後ネッツに移籍、ファイナルにも進出するが、優勝には届いていない。ジャマールマッシュバーンは怪我のため出場時間が少なかったが、ヒートでパットライリーのもと貴重な得点源の一人になる。その後ホーネッツに移籍するも怪我の影響で思うようにプレイができていない。ジムジャクソンはその自分勝手なプレイがあまり好かれず、チームを転々とした後、ゴールデンステイトウォーリアーズでがんばり、現在はロケッツでチームプレイヤーとして自分の居場所を見つけている。

 その後、サンアントニオスパーズ、ロサンゼルスレイカーズの黄金時代を迎えると、ブルズの面影は過去のものとなっていった。センターの重要性は当然だが、またブルズのようなセンターに頼らない最強チームを見たいものである。

 バスケットボールの難しいところは、チームバランスとチーム戦術に見合う選手を育てるか、獲得しなければいけないことである。才能がある選手でもポジションが重なってしまったり、自分に合わない戦術だった場合、その力のすべてを発揮できない可能性が高い。そこを見抜きチームを作り上げるのが本当の意味での経営者、コーチの力量、仕事だと思う。