田端駅北口の階段 東京都北区東田端1−16
田端駅北口の階段
 長い間、東京衛生博覧会の影のメンバーとして存在しておりましたヒグチ氏の本格ネット参入企画第一弾。今回はかつて北区田端に住んでいましたヒグチ氏の思い出話です。

 写真は「10年前の東京」に掲載しました田端駅北口の階段の別バージョン写真。ヒグチ氏が子供の頃(1969年ごろ)、階段の頂上にある建物の中には、立ち食い蕎麦屋さんと洋食屋さんがあったそうです。蕎麦屋さんのほうは「何度か入ったことがあり、濃ゆ濃ゆの味でなかなかでした」とのこと。
 さて一方、その向かいにあった洋食屋さんの方、こちらはなかなか強烈です。

 店の入口には『三分間食堂』と、でかいネオンサインが毒々しい赤に輝き、その下にはケミカルな緑色で『電子レンジ完備』と謎のキャッチコピーが、店名よりも誇らしげに掲げられていました。当時は、電子レンジといえばまだまだハイテク家電で、おそらくは自慢だったのでしょう。
 3分以上客を待たせない、迅速調理の店… ですが、当時の私にはそんなことは想像できず、『きっと3分以内に料理を食べて帰らないと、追い出されてしまうんだ』と馬鹿馬鹿しい解釈をしてしまい、オムライスやスパゲティ・ナポリタンなどの、当時も今も私にとって魅力的なメニューが並んでいながら、食べず仕舞いで終わってしまいました。
 私の記憶の限りでは1969年には既にくたびれた感じの店でした。奥行きは、およそ3メートル、間口は5メートル位、客席数がカウンターのみで、たぶん10席未満。朝は7時になっても開店しておらず、夜は9時には閉店していたような記憶があります。
 この『三分間食堂』というのは、店の正式名称ではなく「それ自体がキャッチコピーだったのかもしれない」とのことですが、いずれにしても今ではプロ顔負けの料理の腕前を持つヒグチ氏のこと、もしもこの『三分間食堂』の洋食を味わっていたら、どんな評価が下されたのか興味深いことではあります。
(※この階段は現存しません。2000.4.9記)