スイスの山

ユングフラウとアルペンローズ(右下の花)。1996.07.15撮影。



旅行日 1996.07.13〜07.21
 はじめての海外旅行、早い話が新婚旅行のやりなおし。しかし今回もまた金もヒマもなく、結局、すべて自由行動という、形だけのツアーでいくことになった。夫曰く「人の住んでるところに行くんだし、なんとかなるさ」。妻曰く「あたしゃ黙ってついてくだけだから。あんた頼んだよ。」、うーん、いい妻だ。

 はてさて、いきなりトラブル。成田離陸が遅れ、フランスの空港でおきざりにされた。英語だってあやしいのにフランス語なんて論外。空港カウンターに連れていかれ、フロントのお姉さんから「私達のミスです。次の便のビジネスクラスと空港内のドリンク券を差し上げます。」と大きなゼスチャー入りで、聞き易い英語で何度も説明された。

 ことはこれで済まない。次の便でスイスに着いたら出迎えがいない。初めての海外旅行なので、大枚を払って最初のホテルまでは連れてってもらうことにしていたのに。ご当地、5時をすぎたらどんな会社も誰もいない。しかも緊急時連絡先は出迎えの人が握っている。怒りと不安が交錯する。

 でもそれもほんのひととき。すぐに気をとりなおして換金を済ませ、タクシー乗り場へと向かう。先頭のタクシーに乗ると新人のお兄さん。英語は僕と同程度か?ホテルの住所と地図を見せるとなんとかホテルに到着、しっかり領収書も書いてくれた。このお兄さん、とにかく一生懸命だった。

 ホテルに着くと「8時までホテルで待ちました。」というメモが・・・(目も点、点、点)。明らかに日本人の字。封筒の中には緊急時連絡先やら、注意事項がたくさん。「ふざけんなよ、このやろう!!」とは言わなかったが、すぐ本人に電話して一文句たれた。(その後いろいろあったけど、ジュネーブのホテルに、支店長直々の平謝りの電話とフルーツセットが届いた。間の悪いことに市場で果物をどっさり買って帰ったら、てんこもりのデザートが・・・・。どうしよう?これ・・・・。後日出迎え料金は返金。)

 こんなことがあって、夫婦ともすっかり度胸がすわってしまった。そして次の日からは快晴続き。移動はバスか鉄道。田舎方面へはポストバス(もともとは郵便回収用の地元の足)も使用。でもみんな親切だった。鉄道は車内でしか改札しないんだけど、そのとき行き先を見てくれて、「次の駅で降りるんだよ」って教えにきてくれた。バスも同じで、ワンマンカーなのに切符を買った時の行き先を見て、着いたら止まって降ろしてくれた。

 教会でやってたコンサートにも行った。日本人は私達だけ。みんな普段着の地元の人たち。混んできたので席を詰めてゆずったら「え?日本人がこんなことができるの?」って顔をしたあと、気持ちのいい笑顔で挨拶してくれた。お代は帰りにバイオリンケースに好きなだけいれる。20時開始の23時終了。いいなぁ、スイスは。

 ということで、スイスではアイガー、メンヒ、ユングフラウのあたりとマッターホルンの2ヶ所をトレッキングしてきた。以下、例によって写真の連続。
(写真をクリックすると大きくなります。)


 スイスを歩いていてびっくりしたのがまずゴミの少なさ、特にドイツ語圏なんだけど、丸一日歩いて数回しか見ない。かなり田舎にも行ったし、夕方は子供達も遊んでいるような場所にも行っている。どこをどう歩いてもゴミがない。法律がどうこうじゃなく住民の意識そのものが違う。

 次が登山道の整備状況。一級国道では、高齢者がワンピースと使い古した登山靴姿でゆったり歩いていたり、若い夫婦が乳母車を押しながらトレッキングしている。犬を連れて歩いている人が多いのにもびっくり。登山道を少しでもはずれようものなら、たちまち犬の○○を踏むはめになる。うーーん、こういう自然の守り方もあったのか???。

 そして治安の良さ。普通海外旅行では「忘れ物は贈り物」。でもここでは違った。ミューレンで木彫りの壁掛けを買った店にカメラを忘れた時のこと。私達が気付かぬうちに、そこの店の子供が顔を真っ赤して追いかけてきた。手には私達のカメラが・・・。
 せっかくだからこの店の紹介。ミューレンの町にも観光バスが停まる大きなみやげもの店が一つある。こういう店は味のない品物が多く値段も高いのが常。何たってツアー料金を抑えるために、これらの店からバックマージンをとっているんだから。くだんの親切な木彫りの店は、この大きなみやげ店の右斜め向かいにある。個性的で味のある彫り物が多く、「これ、あなたが作ったんですか?」と尋ねると、「オフコース」と胸を張った。自分の仕事に誇りをもっている職人の顔だった。おすすめの店です。

 スイスでよくやったこと。地元のおばあちゃんのまねをして、よく公園で食事をした。COOPとか近くのパン屋さんで買い物して、公園で食事するとすずめが集まってくる。これが楽しくて(お金もかからないし)飽きずに何度もやった。

 最後に言葉のお話。東2/3のドイツ語圏では、市内の表示も住民の気質もドイツ人。普通は日本人にやさしい。西側はフランス語圏、下手に英語で尋ねようものなら、さんざんフランス語で文句言ったあげくに「ノースピークイングリッシュ」とやられる。市内の表示はフランス語のみ、プライドが高い、ホテルの従業員も態度がでかい、空港も汚い。とにかく一口にスイスと言っても西と東では大違いなのだ。僕はドイツ語圏が好き、フランス語圏は大嫌い。すでにトラウマになっている。

 今回、花の写真は割愛した。すでにHPの容量がぎりぎりなのと、日本の花と似たのが多いから。インターラーケンの2つの駅の間に花屋さんがあり、日本人にも花の種を売ってくれる。「あんた、花好きだねえ」とか言われて、ずいぶんおまけをもらった。買ってきた種のうちのいくつか、有名どころでは本場のエーデルワイスが我が家の庭に咲いている。それらを見ながら楽しかったスイスの旅を思い出している。もちろん、欲しい人にはあげている。(2001年に道東を去る際にすべの花は環境のあっている道東に残してきた。どうしてるかな?)

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