1999.06.26 ニペソツ山


メンバー 夫婦二人
天候   くもり

 6月25日、糠平の山湖荘泊。
 6月26日、4:30起床。素早く食事し、チェックアウトして登山口へ向かう。登山口には、同じ時間帯に5台ほど集まってきた。
 5:50 登山開始。森の中をいきなり急登。少し緩くなってもまた傾斜が増す。晴れていないのが幸いで、まずまずのペースですすんでいく。
 2時間弱で少し危険な岩越えがあり、そこから少し下って、雪渓の残るコルを横切る。このあたりからはウペペサンケがきれいに見える。その後の沢も雪渓の上を歩き、高度を増すと雪渓はなくなった。おっぱい山を背にして登るうち、前方に石狩山系が見え、その向こうに雪がたくさん残った山が見えてくる。これがトムラウシだとあとで知った。
 9:24 天狗岳通過。登山開始から3時間半。ここで目指すニペソツをはっきりと見ることができた。まだかなりある。しかも深いコルのむこうになっている。ナキウサギの声を聞きながら急勾配の岩場を下り、少し登ったところでナキウサギと出会った。丸い耳をこっちに向け、しっかりとこっちを見ている。カメラのズームをいれたとたんに走り去ってしまった。このあとさらにガレをくだり、最大の急登にかかる。さすがにここはきつい。休み休み確実に登るしかない。山頂に立つ人影を見ながら一歩一歩すすむ。
 11:22 山頂着。ここでは途中岩越えのとき一緒だった5人が一緒にくつろいだ。なおちゃんが落とした杖の先も6人目の登頂者が持ってきてくれた。山頂からは、正面にトムラウシ、左にオプタテシケや十勝連邦、右前方に表大雪、右後方に石狩山系、左やや後方にはウペペサンケが見える。北見方面の山も見えている。ここから大雪がこれほど近いとは思わなかった。山頂で50分も休憩してから下山開始。
 案の定、帰り道の下りも登りもきつい。しかも2ヶ所迷いやすいところがある。予想以上にのどが渇き、腹も減った。そして最後の最後に急勾配の下りが待っていた。これはこたえた。
 登山口ではテントを張っている人たちが、まだ下りてこない人たちを待っていた。このあと山湖荘に戻り一風呂浴びた。前泊者ということで笑顔で迎え、タダでいれてくれた。またここへ来よう。

 今回の登山は人とのふれあいも印象的。
1.笑顔の素敵な山湖荘のおばさん
2.山頂手前の急登途中で登頂を断念してみんなを待っていたおばさん
3.一緒に岩越えした若夫婦
4.杖の先を拾ってくれて兄ちゃん。
5.トムラウシを芦別岳だと言った男性。
6.トムラウシをトムラウシだと教えてくれた男性。
7.夫が荷物を、妻が2才の子を背負っていた若夫婦。(多分テント泊)
8.軽装備、無知識で14時くらいに天狗岳にきた無謀な若者二人。(ここで引き返すよう、忠告した。)

 次にニペソツの難易度。標高差は987mだが、往路での下りが273mあり、往路での獲得標高差は1260mある。往復の獲得標高差は1533mになり、羅臼岳(同1430m)、羊蹄山(同1450m)を越える。ちなみに利尻は、同1691m。

 ニペソツは神秘的な雰囲気を持った山。きびしさとやさしさを併せ持っているようにも見える。澄んだ空気とナキウサギが出迎えてくれる、山の中の山。この山がいつまでもこのままの姿でいてほしいと願わずにいられない。百名山ブームで荒れてしまった山が多い中で、この山が運良く選ばれなかったことを密かに喜んでいる。


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