■ 「ジョシュア・マーシュマンの聖書漢訳:漢字音に基づいた解明」

日本学術振興会 平成27-29年度科学研究費補助金
挑戦的萌芽研究  課題番号15K12874


【概要】 (→科学研究費助成事業データベース
 ジョシュア・マーシュマン(Joshua Marshman, 1768-1837)は19世紀に於ける西洋人の漢語研究の先魁であると同時に,聖書漢訳の歴史に於ける最重要人物の一人として,モリソン(Robert Morrison)と並び称されています。英領インドのセランポールで布教活動と教育に従事していた彼は,澳門で生まれ育ったアルメニア人ラサール(Johannes Lassar)の協力を得て,1809年に漢語の研究書と『論語』(部分)の英語訳を著し,翌年と翌々年には漢訳された福音書を刊行しています。これらプロテスタント宣教師による最初の聖書漢訳がどの様な意思疎通と作業過程を経た産物であったを解明するのが,本研究の目標です。

 
『論語』の英語訳に付されたラテン文字表音が当時の粤語(即ち広東語)の澳門(マカオ)方言であることは拙論「馬士曼所記録之粤語音──十八世紀末的澳門方言」(2014年)で証明されていますが,上記の福音書について,何語がどの様に反映しているかは,聖書漢訳に関する重要事項でありながら,未踏の課題でした。そのため,本研究により導き出される結論は,中国語学だけでなく,東西交流史研究,聖書研究といった諸分野にも貢献すると考えています。



研究活動

2015
年度
文献調査:
 宣教師をはじめとする欧米人が,19世紀に漢語系の言語について,どのような認識を有していたか,どの言語種を標準と考えていたかを明らかにするために,当該世紀の文献(特に漢語系諸語の学習書)に対する網羅的調査を行いました。その成果は拙論「十九世紀在華欧米人の官話像──階級変種・標準変種・地域変種」として公開されました。
2016
年度
文献調査:

2017
年度
文献調査:



研究成果公開

  • 論文掲載(2015年度)
    • 「十九世紀在華欧米人の官話像──階級変種・標準変種・地域変種」@『ことばと社会』17 → 外部サイト




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