倍率
双眼鏡の倍率の定義は「肉眼で見える像のを1としたとき、 双眼鏡を覗いて見える像の大きさ(縮尺)の比」です。 別にこんな言葉を使わなくても普通は直感的に分かるでしょう。
肉眼(1倍)のイメージ
8倍の双眼鏡で覗いたイメージ
又、別の表現をすれば「観測点より1/倍率の距離に近付いて観測 している様に見える」とも言えます。
例)40m先を8倍で見る
双眼鏡の仕様で倍率は、直感的で最も分かり易い数値ですから 多くの人は高倍率=高性能と思いがちです。
確かに倍率が上がれば、理論上は分解能が向上します。
しかし、高過ぎる倍率はそれ以上の大きなデメリットが伴います。
一つは明るさです。
対物レンズ有効径、詰まり単位面積あたりの光量は変わらずに倍率を
上げる訳ですから、倍率の2乗に比例して暗くなってしまいます。
それから、酷いのは手ブレです。
景色ならまだしも、脳での補正が上手く効かないためか
星像のブレは特に目立ちます。
そんな像では目も腕も疲れて1分と覗いていられませんし
結局ブレで細部まで見ることが出来ません。
視界も狭くなり、50倍ともなると見えたとしても何処を見ている
のかすら分かりません。
私も以前覗いたことがありますが、良い悪いという次元では
ありませんでした。
何も見えないのですから。
以上のコトから手持ち双眼鏡の倍率は10倍が限度です。 筋力に自信があったとして、持ち易い双眼鏡を使い、壁などに 寄り掛かりながら見たとしてもせいぜい16倍程度でしょう。 私は5倍の双眼鏡も使いますが非常に快適です。 異常な高倍率双眼鏡と比べてみれば一目瞭然です。 だから高倍率信仰はやめましょうね。 「20-150×25」なんていう高倍率ズームの非実用双眼鏡が 蔓延ることになりますから。 あんなの全く見えません。 高倍率ズームを見てからマトモな双眼鏡を見れば感動しますがね。 そういう用途でしかないでしょう(笑)
高倍率にするためにはそれに伴った口径と安定性が 必要になってくるのです。 (10倍を超える双眼鏡には三脚を使いましょうね)