Fairy's mischief
「今日はいい天気だったね。」
「そうですね、おかげで洗濯物も一気に乾きました。」
最近ハッキリしない天気が続いていて洗濯物が溜まっていたんですが、の手伝いもあって午前中に全て干す事が出来ました。
昼食を終え、少しゆっくりしてから洗濯物を取り込むため庭に出て、二人で協力すればあっと言う間に終わるはずだったんですが・・・その時、ある事件がおきました。
「八戒、あとこれだけ?」
「えぇ・・・あとは僕がやりますからは先に家に入っていいですよ。」
僕は取り込んだばかりの洗濯物を腕にかけたまま、上段のタオルに手を伸ばそうとしているに声をかけた。
「大丈夫!引っ張って取るから!!」
その言葉どおり、身長の届かない彼女は背伸びをしてバスタオルの下側をひっぱりながら器用にそれを取り込んでいる。
・・・折角頑張っているんですから、お願いしましょうか。
「それじゃぁ出来る所まででいいですからお願いします。」
「はーい!」
の元気な声を聞いてから家の中へ入り、腕にかけていた洗濯物を皺にならないよう順番にソファーの上に置いていると・・・庭先から悲鳴が聞こえた。
――― 今、家には僕と以外いない。
残っていた洗濯物をその場に置いて慌てて庭へ通じる裏口へ向かう。
「!」
開いていた扉からそのまま飛び出すと、が洗濯物を持ったまま立ち尽くしていた。
「?」
もう一度名前を呼ぶとゆっくり振り返り、そのまま泣き出しそうな顔をしたが一目散に僕の方へ向かってきました。
「一体・・・」
何があったんです、と声をかけようとした僕の目の前で、彼女は持っていた洗濯物を家の中に放り込み、着ていた上着のボタンを外し始めた。
「!?」
彼女の突然の行動の意味が分からず、思わず肩へ伸ばしかけていた手を止める。
「背中っ!!」
「え?」
背中と叫んで僕に背を向けたはそのまま上着を地面に落として、尚且つ背にかかる髪を片手でまとめて頭上に持ち上げた。
僕の視界に飛び込んできたのは・・・キャミソールのピンクが色濃く見えるくらい ――― 真っ白な彼女の背中。
「背中に何かいない!?」
切羽詰った彼女の声にはじかれるよう視線をの背中に向けると、キャミソールの上に小さな虫が一匹張り付いているのに気付いた。
それは赤い背中に黒い七つ星を背負った誰もが知っている虫。
「あぁ、てんとうム・・・」
「きゃぁぁぁっ取って取って取ってぇーっ!!」
首をすくめてその場で足踏みを始めたを見て苦笑せざるを得ない。
虫が苦手だとは聞いていましたが、まさかこんなに苦手だとは・・・。
「今取りますから動かないで下さい。」
「はやくぅぅ〜」
最後の方は消え入りそうな声で、肩はかすかに震えている。
僕はまだのキャミソールの上に止まっているてんとう虫をそっと指に移し、空へ向ける。
てんとう虫は何事も無かったかのように青空へ向けて羽を広げ、飛んで行った。
そのままの方へ振り向こうとしたけれど、彼女の今の姿を考えると背を向けてる方が良さそうですね。
僕は背を向けたままにてんとう虫がいなくなった事を告げる。
「もういませんよ。」
「ホント?」
「えぇ」
「刺されてない?」
「てんとう虫は刺したりしませんよ。」
「でもね、首元にチクッて刺さった気がしたの・・・痕になってない?」
「え?」
に言われて振り向くと、彼女の白いうなじが目に飛び込んできた。
滅多に見せない彼女の肌と、うなじ・・・さすがに僕の頬が赤くなる。
「えっと・・・どの変ですか?」
「この辺。」
空いている方の手で左の首筋辺りを示すので、なるべく他の部分を見ないようそこに意識を集中する。
特に傷は見当たらないが、乾燥した所為か洋服の襟元の商品札ですれて赤くなっているような部分があった。
「少し赤くなっていますが、これは襟が擦れたようですよ?」
「そう?」
「・・・えぇ」
と話しながら、僕はある一点に目が釘付けになってしまった。
それは彼女の首の付け根にある――― ほくろ
普段は髪を下ろしている事が多いし、結んだとしても付け根の部分だから今のように髪を纏め上げないと気づく事がない。
それが彼女の白い肌にくっきり浮かび上がっているようで・・・目が離せない。
「八戒、上着・・・着るから目、閉じててくれる?」
に声をかけられるまでのほんの僅かな時間、僕は彼女から目が離せなかった。
「あ、すみません。」
くるりと背を向け、彼女が言うとおりに目を閉じる。
それでもまぶたの裏に焼きついたような彼女の白い肌は、僕の視界から消えない。
「・・・ありがと、八戒。変な事頼んじゃってごめんね。」
ポンッと僕の背を叩いて横をすり抜けて行ったの耳は、今まで見た事がないくらいに真っ赤で・・・
「振り向かずにいてくれて・・・助かりました。」
苦笑しながら口元に手を当てると、その頬はいつもよりも僅かに熱を持っている事が分かる。
「こんな顔、悟浄が見たら笑うんでしょうね。」
突然の事故とは言え、彼女の普段見られない姿を見てしまった。
そして何気なく気付いた・・・小さな首筋のほくろ。
いつもは可愛らしい彼女の、ちょっとした『女』の部分を垣間見た気がしました。
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47000hitをゲットされました 充 サンへ 贈呈
『動揺する又は照れる(しかも本気)八戒』と言うリクエストでした、が・・・いやぁ〜難しいね(笑)
それでも一生懸命が頑張って八戒が照れてくれるような状況を考えました。
これがね、好意を抱いていない人だったら照れないと思うんですよ。
でも・・・少しでも好意を抱いている相手だったら少しは動揺してくれるかなぁって(苦笑)
いつも色々頂いているご恩返しが出来てれば良いのですが・・・(汗)
少しでも楽しんで頂けると嬉しいです!遅くなってすみません!!
充さん、リクエストありがとうございましたv
また遊びに来て下さいねvvv