5月2日(月) 天気=晴れ時々曇り

07:41苗場スキー場(ゲート)→ 08:39〜58三国スキー場跡地→ 09:55〜10:10スキー場最上部→ 11:10〜15西沢ノ頭→ 11:35〜12:15筍山分岐→ 12:42 1852m峰→ 13:00テント場


 今年のゴールデンウィークは、上越国境の上ノ倉山を目指した。この山は5年前にも挑戦したが、準備不足等で失敗している。関越道を月夜野インターで降り国道17号を走って、苗場スキー場の浅貝交差点を左折する。予想通り三国スキー場跡地へ向う道はゲートで遮断されていた。
 ゲート手前の空地に車を停め一泊分の装備を収めたザックを背に歩き始める。雪は前回よりやや少なめの感じで所々路面の雪が溶けている。突然左下の斜面からカモ鹿が顔を出し、私に気付くと慌てて河原へ逃げて行った。野生動物の癖に随分鈍い奴だ。




 慌てて逃げたカモ鹿君



 約1時間程で三国スキー場跡地に着いた。以前あったリフトや建物の人工物は全て撤去され、完全な雪野原化していた。ここでアイゼンを着け、スキーコース跡を最短距離で登って行く。昨年買ったアイゼンは雪付着防止板が付いているので快適に歩いて行ける。それでも雪の急斜面は楽ではなく、時折息を整えながら登って行く。



 三国スキー場跡地



 スキー場最上部に着く。ここには木製のリフト降り場があり良い休憩場所だったのだが、今は完全に自然の原野に戻っている。ここから西沢ノ頭目指し樹林の中を登って行く。誰かの踏み跡でもないかと少しは期待していたが、全く痕跡はない。
 1650mピークに出ると一旦平坦になるが、すぐに尾根の急登が始める。途中岩場もあるので、けっこう気を遣う。西沢ノ頭手前で前回と同じくヤブに捕まる。ハイ松等潅木主体のヤブなので正面突破は中々困難、左へ迂回しながらヤブに突っ込むと以外に短い時間で西沢ノ頭ピーク(1775m)に着いた。



 西沢ノ頭から1852m峰やその奥、上ノ倉山方面



 潅木に囲まれた山頂からは360度の展望、苗場スキー場の山頂施設が意外と近い距離に見える。目指す上ノ倉山は随分遠く感ずる。山頂からの降りも嫌らしい潅木のヤブだ。だが点々と目印のテープがあり、それに従うと少しは楽である。50m程でヤブから解放され快適な雪原になる。少し先のピークで苗場スキー場のある筍山へ向う尾根が分岐している。



 燕山分岐ピークから西沢ノ頭




 次の1852m峰は、けっこう急斜面で所々ヤブが出ている。それを見たら、弱気虫がここらでテントを張ろうとささやいた。30分余躊躇したが、時間が早いし渋々先へと進む。ヤブは笹が主体なので以外と容易に登る事ができた。
 1852m峰から国境尾根まで、雪とヤブが交互に現れる細い尾根が続く。国境尾根手前のピーク下まで来て、少し時間は早いがテントを張る。一人ぽっちの淋しさが登行意欲を萎えさせてしまうようだ。尾根を吹き抜ける風がテントをバタバタと揺らす中、食事を終え横になってもネガティブな思いばかり頭に浮び中々眠れぬ夜となった。



 国境尾根手前のテント場










5月3日(火) 天気=晴れ後曇り

05:05テント場→ 05:37セバトノ頭→ 06:15〜20大黒ノ頭→ 06:29〜35上ノ倉山→ 06:40〜42上ノ倉南峰→ 06:49〜55上ノ倉山→ 07:04〜09大黒ノ頭→ 07:30セバトノ頭→ 07:40〜45国境尾根分岐→ 08:00〜08:52テント場→ 09:10 1852m峰→ 09:28燕山分岐→ 09:47〜51西沢ノ頭→ 10:10〜12スキー場最上部→ 10:40〜55三国スキー場跡地→ 11:44苗場スキー場(ゲート)


 
テントから覗くとどうやら五月晴れ、風も無く絶好の登山日和の様子、ラーメンだけの朝食を慌しく終えテントを後にする。ヤブを漕いで登ったピークからは、薄桃色に染まった上ノ倉山から忠次郎山へ続く稜線が素晴らしく身体の中からファイトが湧いてくる。



 テント場の日の出




 テント場上のピークから忠次郎山〜上ノ倉山の稜線



 国境尾根に着くと右に曲り、セバトノ頭へ緩やかに登る。この付近から残雪が多く快調に進む。セバトノ頭(1890m)は、樹林に覆われた緩やかな台地でGPSを頼りに進んで行く。平坦なムジナ平を抜けると、標高差200mの雪の急斜面が大黒ノ頭へ突き上げている。、雪庇の発達した急尾根を黙々と登る。亀のような歩みだが、確実に高度は上がり、やがて大黒ノ頭(2080m)に着いた。



 大黒ノ頭への急斜面



 山頂からの展望は素晴らしく谷川連峰や関東周辺の山々が見渡せる。今まで見えなかった苗場山や佐武流山も姿を現した。ここから雪の尾根(雪庇がひび割れており少し恐い)を登降し目指す上ノ倉山(2017m)に到着。



 大黒ノ頭から上ノ倉山




 上ノ倉山頂




 山頂には山頂名を記した青い小さなプレートが一つあるだけでシンプルな佇まいだ。少し先に緩やかなピークがあり、明らかにそちらの方が標高が高そうなので空身でそちらへ向う。この辺り足跡が明瞭に刻まれているので、白砂山の方から入山者がかなりあるようだ。
 そのピークに立つと白砂山まで続く雪稜の全貌が見渡せた。時間も早いので隣の忠次郎山まで足を伸ばそうかとも考えたが、先ほどから左足小指に痛みを感じているし、帰路の事もあるので、此処で引き返す事にする。来年は白砂山から此処まで来よう。きっと楽しい雪山歩きができるだろう。



 忠次郎山から白砂山へ続く稜線




 上ノ倉山側から大黒ノ頭



 上ノ倉山頂でコーヒーブレイクをした後来た道を戻って行く。セバトノ頭を越え、国境尾根分岐付近で6人パーティと出会う。こんな所で人と出会えるとは思わず、とても嬉しかった。彼らは三国峠から歩き始め野反湖まで縦走すると言う。エールを交わして別れる。



 国境尾根分岐で出合ったパーティー



 テント場に戻って装備をザックに回収し下山の道を進む。昨日自分が刻んだ踏み跡が道標となる。ハイ松のヤブを掻き分けて西沢ノ頭に着くと上越国境の山々に最後のお別れをし三国スキー場跡地へと降る。
 スキー場へ着くと安心したせいか、左足小指の痛みがズキズキとひどくなる。苗場スキー場へ車道を降って行くと下からフキノトウを採りに来たオジサンと遭遇、そういえば路端のアチコチに群生している。私もビニール袋を取り出してフキノトウを採取しながらの下山道となった。
 ゲートの車に戻り、登山靴を脱ぐと左足小指に血豆が出来ていた。今履いている冬用登山靴は、もう30年近く使用しているのでそろそろ限界かな。次回は軽くて履き心地の良いおニューの登山靴で挑戦しよう。