8月19日(木) 天気=晴れ時々曇り
08:51猿倉登山口発→ 09:41〜52白馬尻→ 10:05〜09大雪渓末端部→ 11:05大雪渓上端部→ 11:53緊急避難小屋→ 12:33〜14:54村営頂上小屋(テント場)→ 15:08白馬山荘→ 15:22〜32白馬岳→ 15:50村営頂上小屋(テント場)
今回歩くコースは、35年程前初めて北アルプスに登山した時と全く同じだ。あの時は小屋泊りだったけど今回はテント泊。若い時分、60歳過ぎた人は杖をついた老人というイメージだったが、その年齢になっても幕営具を背負って歩く自分を、少しは褒めてやりたくなる。このエネルギーを仕事や学業に向けていれば、もう少し輝いた人生になったものを・・・・
八方の無料駐車場に車を置き、バスで登山口の猿倉へ向う。同乗者は7〜8名、出発が遅いせいか登山者はいないようだ。
猿倉からは殆ど林道歩き、強い陽射しで汗が噴出す。こんなに暑きゃ大雪渓は融けているんじゃないかと心配になる程。林道からしばし登山道を登って白馬尻の小屋に着く。心配せずとも、その先から谷間を埋め尽くす白馬の大雪渓が見えた。
白馬大雪渓末端部
雪渓歩きしか役立たないアイゼンは持って来なかったが、雪面がスプーンカット状になっているのでアイゼンを履かずとも滑る事はない。山小屋でアイゼンを1千円で貸出しているが、その金は山で生ビール代として使った方が賢明と言うもの。
雪渓歩きはとに角涼しい。Tシャツ1枚では震えがくるほどだ。霧に覆われた白い空間を粛々と登って行く。時折下山するパーティとすれ違う。音も無く転がる落石だけを注意する。
一度も休まず雪渓上端部まで歩いた。ここから急な登山道となる。大勢の登山者が眼に入る。前のバスで来た人々だろうか。再び強い陽射しに汗を掻かされる。しかし豊富な雪解け水が暑さを癒してくれる。
大雪渓上端部
やっと村営頂上小屋の建物が見えた。12時半過ぎテント場に到着。手早くテントを張り終えると、早速小屋で受付を済まし待望の生ビールをグッと一杯「フー、生き返る。」ほろ酔いになったら白馬岳を登る意欲が消滅した。
だけどケジメだからと疲れた身体に鞭打って白馬岳(2932m)まで往復する。雲は多目ながら山頂からの眺めは素晴らしかった。
白馬岳山頂
テント場に帰り着くとテントが20張り程に増えている。近くの韓国人パーティやたら声がデカイので少々煩かった。
白馬岳のテント場
3月20日(金) 天気=曇り後晴れ
05:45村営頂上小屋(テント場)→ 07:10〜23白馬鑓ヶ岳→ 07:37白馬鑓温泉分岐→ 07:55〜08:05天狗山荘→ 08:19天狗ノ頭→ 09:11〜19不帰キレット→ 09:36〜43不帰1峰→ 10:22不帰2峰北峰→ 11:05〜07唐松岳→ 11:17〜39唐松山荘→ 13:13五竜山荘(テント場)
爽やかな風が気持ちの良い朝だ。テントを撤収し縦走路に足を踏み出すと、雲の上に北アルプスの山々が迎えてくれる。黒部谷から雲が湧き上り、行く手の杓子岳や白馬鑓ヶ岳を包み込んでしまった。
縦走路から白馬岳方面
杓子岳(左)と白馬鑓ヶ岳(右)
雲に視界を閉ざされた道を進んで行く。白馬鑓ヶ岳(2903m)を越え、鑓温泉への分岐を過ぎるとパッタリ人影が途絶えた。
天狗山荘のベンチで一息入れ、天狗の頭(2812m)を過ぎれば天狗ノ大降り、降りきった不帰キレットの先は、不帰嶮の難路が待ち構える。
天狗ノ頭から不帰嶮への降り道
ストックをザックに収め、不帰1峰へ急な尾根を登って行く。1峰の先が最難関の不帰2峰への登り、鎖場が延々と続く。上から3人連れが降りて来た。最後の中年女性は足場が判らず固まっている。彼女が降りてくれないと、こっちが先に行けない。足場を教えてあげ何とか通過した。
不帰1峰から不帰2峰方面
鎖場の道は緊張するが、私は大好きなので疲れを忘れて登って行ける。岩峰を左から巻き気味に登って不帰2峰北峰(2614m)に着いた。この先、不帰2峰南峰〜不帰3峰とあるが、難路はここまで後は楽に歩いて行ける。
不帰3峰を抜けあっけなく唐松岳(2696m)に着いた。山頂は凄い賑わいだ。天気も回復し、南に五竜岳が三角形の岩峰を突き上げている。唐松山荘へ降る道は行き交う人で混雑している。。山荘のベンチで休憩する。
唐松岳山頂
唐松岳方面からから五竜岳
隣のご婦人はツアー登山で来たとの事。大半の人が空身で唐松岳を往復していると言う。今宵は五竜山荘に宿泊するそうなので、こりゃ五竜山荘は混みそうだ。
五竜山荘へと歩き始めると、前方の縦走路上に数十名の人の列が蟻の行列みたいに見える。これもツアー登山の人々だ。余裕のある場所で抜かせてもらう。
唐松岳〜五竜岳間は見た目以上にアップダウンがある。最低鞍部から白岳へ向けての登りが長くてけっこう辛い。やっと白岳(2541m)を越えると眼下に五竜山荘があった。13時過ぎテント場に到着。
五竜山荘とテント場
テントの設営を終え、五竜山荘へ行く。ここはジョッキ生は無くキリンラガーロング缶で祝杯、後は何もする事はない。ノンビリ読書で午後を過ごす。
今日の山荘宿泊者、12人部屋に16人が寝ると言う。これで2食付き9500円では宿泊者も大変だ。その大部分はツアー登山者の人達。しかし彼(女)らは元気、到着するとビールをバンバン飲んで盛り上がる。山荘のビールが無くなるんじゃないかと密かに心配になるほどだ。
現在の山岳関連業界は、我々60〜70代の年金世代が支えているというのが実感できる光景です。
3月21日(土) 天気=晴れ
05:30五竜山荘(テント場)→ 06:04〜11五竜岳→ 06:37〜07:11五竜山荘(テント場)→ 07:48〜58西遠見山→ 08:48〜53遠見山→ 09:08〜18小遠見山→ 09:54五竜テレキャビン山頂駅
昨夜は、東の空でしきりに稲妻が光輝いていたので天気を心配していたが、快晴の朝を迎えた。4時頃には登山者が続々と五竜岳へと出発して行く。カップヌードルの朝食を終えると貴重品とカメラのみ持って五竜岳へ向う。途中何組かの登山ツアーの団体さんを追い抜いて行く。30分余で五竜岳(2814m)に着いた。既に大勢の人々で混雑している。近くの人に頼み記念写真を撮る。
五竜山荘から五竜岳
五竜岳山頂
山頂からは雲ひとつ無い空に、素晴らしい眺めが拡がる。西は黒部谷越しに剣岳から立山への連なり、東は安曇野の里を挟んで八ヶ岳や南・中央アルプス、その奥には富士山の端正な姿も見える。北は、歩いて来た白馬からの稜線、南は圧巻の鹿島槍ヶ岳、双耳峰の姿が絵になる。
黒部谷越しに剣・立山
鹿島槍ヶ岳
再びテント場に戻ると装備をザックに収め遠見尾根へ下山を開始する。一旦白岳へ登り、尾根を忠実に降りて行く。西遠見山までは急降下の道、西遠見山頂(2268m)から振り返ると五竜山荘は遥かな高みにある。
西遠見山〜小遠見山間はアップダウンが多い。北隣の八方尾根に比べ遠見尾根の道が人気のないのは、このアップダウンの多さもあるのだろう。
しかし眺めの良さは八方尾根に負けていない。特に鹿島槍ヶ岳の北壁は圧巻の眺めだ。小遠見山山頂(2009m)で五竜や鹿島槍ヶ岳の姿ともお別れ。テレキャビン山頂駅への緩やかな道を降る。朝一番のテレキャビンで来たのだろう登山者がドンドン登ってくる。美しいお花畑と化したスキーゲレンデを通り抜けテレキャビン山頂駅に到着。これで登山を終了した。
遠見尾根から五竜岳
その後八方に置いてある車を回収し、十郎温泉で汗を流し、座敷でビールを飲みながら高校野球決勝戦を観戦する。試合は13−1で沖縄、興南高が圧勝した。ゆっくり休んでいたら従業員に「ここは2時間の時間制限があるんです。」とやんわり追い出された。
簗場のF氏別荘に友人のIさん夫妻が滞在しているのでアポなしでお邪魔する。折りよく夫妻は在宅中だった。一宿一飯をお願いする。
夕方F氏が中国人留学生Tさんご一家を連れて別荘へやってきた。F氏の奥さんのS子さん(昔の山岳会仲間)や長女のKさん(中国語ペラペラ)を交えて、その夜は突然の国際交流&Tさんのご両親が作ってくれた本場中華料理で宴会となった。あまりの目まぐるしさに山の疲れも吹っ飛んで、それはそれは、とても楽しく有意義な一夜となった。