8月22日(土) 晴れ
15:30羽後亀田駅→16:10岩城みなと駅

 
朝5時に我家を出発。東北道〜秋田道を北上し、15時前に岩城ICへ到着した。週末ETC割引で高速料金が1千円で済んだ。9月に首相の座を明け渡すであろう麻生さんに感謝。
 岩城みなと駅に車を停めて1駅南の羽後亀田駅へJRで行く。ここが前回のゴール地点。その時の事を思い出し少し懐かしい気分。
 ここからジョギングで出発する。格段に距離を稼げるが、走る事に精一杯で旅愁を楽しむ余裕がない。約40分で岩城みなと駅に到着。
 今宵は道の駅「岩城」で車中泊。日本海に沈む夕日の眺めが素晴らしい。温泉やレストランも揃い車中泊には最高の環境だ。






8月23日(日) 晴れ後雨
0610岩城みなと駅→14:40大久保駅

 
暑さの中に秋の気配を感じ、気持の良い朝だ。日本海沿いに国道7号を北へ向って行く。左前方に男鹿半島の山が見えてきた。背後に鳥海山が小さくなっていく。
 ラジオを忘れたので、いろいろを考えながら歩く。子供の頃は、頭の中にいろんな空想が渦巻いていたのに大人になると無くなっている。厳しい現実が消し去ってしまったのかな。それは反面淋しい事かも知れない。
 雄物川の畔から秋田市街が望まれる。中心部を避けるように過ぎて行く。午後は疲労がたまり足が重い。何も考える余裕もなく歩くだけで精一杯。15時前、奥羽本線の古びた大久保駅で今日は終った。
今夜も道の駅「岩城」で車中泊






8月24日(月) 曇り後晴れ
06:09大久保駅→14:00北金岡駅

 寒気が入り込んだせいか、出発時は半袖では寒い程だ。今朝三日ぶりに快便で気分が良い。私の場合、痔主の関係で排便と足の裏にさへ支障がなければ、旅に何の問題もない。
 こじんまりした八郎潟町商店街を抜けると、八郎潟の広大な干拓地が拡がる。土木の力で一つの村を出現させたのだから、その技術は凄いものだ。だが八郎潟に生息していた魚介類は消滅してしまったので、一概に良かったとは言えない。
 昼頃からすっかり晴れ、暑くもないので足が軽い。急げば早めの列車に乗れそうなので、最後の2kmはジョギングに切り替えて、何とか北金岡駅を14時過ぎに出る列車に乗る事ができた。

 
今夜は、道の駅「ことおか」で車中泊。
 





8月25日(火) 晴れ時々曇り
06:16北金岡駅→ 13:22前山駅

 今朝は9月下旬の気温だとか寒さに震える程だ。田舎道の両側は、稲田と秋田杉の防風林が見事に調和して美しい田園風景が拡がる。能代市に入ると眼下に米代川のゆったりした流れが横たわり、その奥には名高い白神山地が見えた。一度は登ってみたい山々だ。
 高速道路の東能代ICの脇から国道7号に入り東へ方向を変える。日中には気温がグングン上がり、日差しが堪える。道の駅「ふたつい」の食堂で馬肉定食とビールを注文、極めて美味。昨日はコンビニ弁当だけだったから美味さもひとしおだ。
 今日は、周辺に数軒の民家しかない前山駅まで歩いた。今宵の宿泊地、道の駅「ふたつい」には早めに着いた。併設された公園の水道で身体と汗に汚れた着衣を洗う。隣接した中華店のラーメンは実に美味かった。生ビールとほど良い疲れでグッスリ眠れた。





8月26日(水) 晴れ
06:25前山駅→ 14:46白沢駅

 朝、国道7号にある標識の温度は14℃寒いはずだ。8時前、道の駅「たかのす」に着いて最初の休憩。そこを出発してすぐに向うから旧日本兵の生き残りみたいな格好のオジサンがやってきた。薄汚れた旗に「日本一周」と書かれている。同好の士かと喜んでいたら、最後に「私の旅に賛同して下さる方から寄付金を募っています。」とのたまう。
 友好ムードに冷や水浴びせやがって「テメーの道楽に何で寄付しなきゃならないんだ。金が無きゃ稼いでから旅に出ろ。」人のよさそうな顔をして全く厚かましいジーさんだ。こんな輩がいるから、世間の人に徒歩旅行者が変な目で見られるのだ。
 頭に血を昇らせて歩いていたら、いつの間にか大館市に入った。米代川を挟んで南の方向に、森吉山の緩やかな三角形が見えた。この辺り盆地のせいか日中はかなり暑い。
 昼食は、市内のファミレスで日替わりランチに生ビールが美味い。この先で青森県境の矢立峠目指して北に方向を変える。私の体力では30キロを過ぎると疲れがドッとでてくるようだ。
 山間の白沢駅まで歩いて今日は終った。今夜は芝谷地湿原近くの資材置き場みたいな空地で車中泊となった。





8月27日(木) 雨後曇り
06:00白沢駅→ 14:33弘前駅

 今にも雨が降りそうな朝、国道7号を緩やかに延々と登って行く。陣場の集落を過ぎると県境の矢立峠。ポツポツと降ってきた。青森県は雨で歓迎してくれたようだ。
 同じ分だけ延々と降って道の駅「いかりがせき」に着く。随分大きな建物だ。立派な温泉もある。この先辺りで雨が止んだ。道が乾いているから里の方は降らなかったのだろう。
 次の大鰐温泉は、大きなスキー場もあり賑やかな温泉町である。駅前の町営食堂で昼食をとる。
 再び国道沿いに進んで行くと突然津軽の名峰、岩木山が現れた。その手前に弘前市中心部のビル街が見える。だんだん賑やかになる道を突き進んで14時半過ぎ、弘前駅に到着した。
 JRの列車で白沢駅に戻ると、車で峠にある矢立温泉の鉄分の多そうなお湯に浸かり、道の駅「いかりがせき」で快適な一夜を過ごした。

 



8月28日(金) 雨時々曇り
07:04弘前駅→ 13:06鶴ヶ坂駅

 今朝も雨が降ってきそうな空、休みたいなとヤル気が起きない。とにかく弘前駅を出発する。道は通勤の車で渋滞している。内心「申し訳ないなあ」という思いで通り過ぎる。
 幅広い国道7号を進んで行く。雨は降りそうで降らない、何とかもってほしい。背後に岩木山が大きく見えている。
 道の駅「なみおか」は、海の幸や農産物の品揃えが豊富で感じの良い所だ。今夜はここに泊まろう。
 歩いていると向うから「青森→下関」と大書したシャツを着たオジサンがやってきた。先日のオジサンの例があるので、係わりたくないなあと思っていたら「浪岡駅はあとどのくらいですか。」と尋ねてきた。教えてあげると、アッサリ行ってしまった。
 それにしても、あのオジサン全くの空身何にも持っていない。もし雨が降ったりしたらどうするのだろうと他人事ながら気になる。
 大釈迦駅に車を置いていたので、荷物を軽くし、ジョギングで一つ先の鶴ヶ坂駅まで走り、今日は終った。





8月29日(土) 晴れ時々曇り
06:48鶴ヶ坂駅→ 13:23瀬辺地駅

 強い雨風は昨晩のうちに通り過ぎたようで、今朝は、雲は多目ながら陽も差している。奥羽本線沿いに県道を進み国道に出る。新潟から歩んできたその国道7号ともお別れし油川で竜飛岬へ向う国道280号に入る。
 油川市街は衆議院立候補者達の街頭演説が騒がしい。海岸に出ると陸奥湾越しに青森市街のビル群が見える。その背後の山々が八甲田山であろう。
 陸奥湾沿いに北上して行く。やはり山間部より海岸沿いの道の方が開放的な眺めで気分がいい。
 しかしこの国道にはコンビニがない。酒屋でおにぎりと缶ビール、ツマミを買って昼食にする。振り返ると青森市街が随分遠くなった。
 駅前に民家が一軒しかない小さな瀬辺地駅まで歩いて終った。津軽線の列車で戻る途中、青森駅を通過。ここは20代前半、北海道に居た頃。、青函連絡船に乗るため何度も通った場所、ほろ苦い青春の思い出が残っている。

 今夜は玉松海水浴場の駐車場で車中泊していたが、若者達が深夜までウロウロしているので落ち着かず、蓬田町営温泉の駐車場に移動して一夜を過ごした。




8月30日(日) 曇り
05:25瀬辺地駅→ 15:10竜飛岬

 下北半島の空に拡がる今朝の朝焼けは素晴らしかった。寒いので長袖を着て出発する。外ヶ浜町に入ると、陸奥湾を離れ蟹田川沿いに遡る。小国峠の長い登りを越えて降って行くと、道の駅「いまべつ」があったが営業しておらず通過する。
 午前中に今別町市街に着いた。北海道が海峡越しに見えている。竜飛岬へは明日到着の予定だったが、頑張れば行けそうだ。三厩駅で岬発16:50発のバスがある事を確認して、やたら曲りの多い海岸沿いの道を進む。
 やがて前方に竜飛岬突端の帯島が見えてきた。竜飛の集落を抜け太宰治の石碑が建つ岬に到着。岬の先端は竜飛漁港になっている。丘の上の灯台へ上がると「日テレ」24時間テレビの生中継をやっていた。「視覚障害の人が津軽海峡を泳いで渡っている。」との事。
 岬から戻りのバスで運転手のオジサンと地元のオバーチャンが交わしている言葉が、外国語を聞いてるようでサッパリわからなかった。
 蓬田町営温泉のお湯で疲れを癒し、蓬田モヨット駐車場で車中泊。今日は、45キロ位歩いただろうか。これで本州が終わり、明日は北海道の大地に立つ。

 




8月31日(月) 曇り
青森市→ 青函フェリー→ 函館市→ 道の駅「しりうち」

  未明、青森へ向う道中、交通事故に遭遇、1台の車は完全にひっくり返っている。直後のようでパトカーも救急車も来ていない。申し訳ないが、渋滞する前通過して助かった。
 青森港からカーフェリーに乗船し函館へ向う。昔の青函連絡船は波が高いとよく揺れたものだが、乗船したフェリーは全く揺れない。技術の進歩だなと感心する。約4時間の船旅を楽しんだ。
 函館港に着いて下船したのはいいが、地図が無いから今自分が何処にいるのか検討がつかない。ダイエーの大型ショッピングモールがあったので、そこの本屋で北海道道路マップと時刻表を購入する。以後この2冊の本が旅のバイブルとなった。
 夕方、道の駅「しりうち」に到着。2階の食堂で刺身定食を食べたが、これが安くて新鮮で実に美味かった。その後、駅の駐車場で車中泊。北島三郎が知内町出身だとか、サブちゃん演歌が途切れず流れている。






9月1日(火) 雨後晴れ
07:58白神岬→ 14:10道の駅「しりうち」

 朝一番、松前行きバスに乗って白神岬に降り立つ。北海道南端の岬は看板が一つあるだけで素っ気無い。海峡越しに一昨日歩いた竜飛岬が望見できる。
 写真を撮り終えると出発する。トンネルを幾つか抜けて、男性的な海岸風景の中を歩いて行く。2時間程で道の駅「ふくしま」に到着。隣に横綱「千代の富士」記念館の立派な建物がある。見学しようかと思ったが、入館料500円が惜しくてやめた。
 ここ福島町は「横綱、千代の富士」隣の尻内町は「北島三郎」北海道の小さな町なのに大物が出ている。我が鶴ヶ島市は「菅野美穂ちゃん」くらいかな。
 ここから海岸を離れ福島川沿いに遡る。途中、向うから精悍そうな中年男性がやってきた。越後湯沢在住の高下さん。現在、野宿で北海道一周中。私と同年の彼は、次は「馬で日本縦断をやりたい。」と言う。ドンキホーテみたいな人で少し圧倒された。
 彼と別れて程なく福島トンネルを抜け降りになる。道の両側は深い樹林帯「熊出没注意」の看板もあり、もし出てきたらと不安になる。
 尻内町に入ると少しづつ人家も見えてきたので緊張の糸が緩んでくる。背後には大千軒岳の稜線がクッキリ浮んでいる。JR海峡線の高架が見えてくると道の駅「しりうち」までは僅かであった。
 町営知内温泉のお湯に浸かり、今夜も道の駅「しりうち」で車中泊。昨晩は気付かなかったが、ここは周りが牧場ばかりのせいか蚊が異常に多い。だいぶ刺されてしまった。






9月2日(水) 晴れ
05:31道の駅「しりうち」→ 13:49茂辺地駅
 
 朝から晴天、陽が昇ると気温もグングン上がる。尻内町のコンビニで朝食。ここから真直ぐで単調な道を木古内町に入る。この町の名所はサラキ岬、沖合いで幕末の艦船「咸臨丸」が沈没したとか。
 何処かで昼食をと思うが、食堂やコンビニが見当たらない。仕方なく携行したアンパンで済ます。今日は暑いだけで変ったことも無く、茂辺地の駅まで歩いて終えた。対岸には函館山と市街が見えている。
 今夜はサラキ岬の公園で車中泊。風が強いだけの所だが、水道があったので衣類の洗濯と身体を洗う事が出来た。

 





9月3日(木) 晴れ時々曇り
05:37茂辺地駅→ 13:16駒ケ岳駅

 今朝も良い天気、海岸沿いに函館が近づくにつれ賑やかになってくる。北斗市のコンビニで朝食をとる。市役所の所から海岸を離れ北へ向う。途中で自転車のオジサンから声を掛けられた。函館在住の毛利さん、歩きながらしばらく話し合う。自転車で日本一周等いろいろ旅をしているそうだ。自宅を改築して旅人に開放しているとか。又テレ朝の「人生の楽園」やその他のメディアにも出演しているとの事。

毛利さんのブログ    
http://mousan.com/
        
 
 七飯町に入るとマイク放送で「○○公園で熊が出没しているので朝夕の散歩は控えてください。」耳にしたくない事を言っている。
 やがて国道5号に入り大沼トンネルを抜けると眼前に大沼の水面と頭を雲で隠した駒ケ岳が見えてきた。大気の透明度が高ければ絵葉書のような景色だろう。
 13時過ぎ、駒ケ岳駅に着いて歩みを止めた。無人の駅舎でコンビニ弁当をツマミに缶ビールで一杯やる。
 今夜は、大沼付近のローソン駐車場で車中泊。







9月4日(金) 曇り
05:41駒ケ岳駅→ 13:36山越駅

 朝から泣き出しそうな空模様、初めは森の中、未舗装の林道を行く。昨日の熊注意マイク放送を思い出して、国道に出るまでの間、口笛や歌を歌ったりビクビクして歩いた。9月は冬篭りで熊が一番活発に活動する時期だという。
 国道5号の道の駅「YOU・遊・もり」に着いて休んでいると、自転車の若者が話しかけてきた。神奈川県の森澤君。これから南下して行く。」との事。話していくうち昨日会った函館市の毛利さんと知り合いだと言う。案外世の中狭いものだ。
 森町を過ぎると噴火湾沿いの海岸を行く。ここから長万部までが今回の旅で、唯一太平洋沿岸沿いのコースになる。
 国道5号は北海道の主幹道だけに行き交う車が絶えない。平行して高速道路の建設も着々と進んでいる。政権が変っても一旦手をつけた工事は中々止まらないだろう。
 やがて八雲町に入り、今日は江戸時代、日本最北の関所があったという山越の駅まで歩いた。今宵の宿泊は道の駅「YOU・遊・もり」の駐車場。







9月5日(土) 曇り後晴れ
05:47山越駅→ 12:34長万部駅

 渡島地方に大雨注意報が出ているが、厚い雲に覆われているものの現在雨は降っていない。逆に陽も差さず涼しいので歩くのには都合が良い。
 八雲町の中心部を左に見て北へ進む。この先から海岸沿いに直線的な道が延々と続く。右手は草原の海岸越しに灰色のベールで覆われた噴火湾、単調な眺めに歩く事だけ専念する。
 やがて「函館から100キロ」の標識を通過。長万部町の手前で国道を離れ、線路沿いに歩いて長万部駅に着いた。交通の要所にしては簡素な駅前風景だ。
 今日は早く歩き終えたので午後はノンビリできた。交通事情の悪い北海道では、今後も早め々々の行動になるだろう。
 今夜は長万部町のカニ飯本舗の広い駐車場にたった1台停めて車中泊。






9月6日(日) 曇り時々晴れ
06:05長万部駅→ 14:02目名駅

 このところ雲の多い天気が続く。北海道は戻り梅雨なのだろうか。?長万部から内陸部へと進んで行く。
 僅かな集落の他は、森と牧場だけが国道5号沿いに続く。いよいよホッカイドーという風景になってきた。前にも後にも全く車が見えない時は車の騒音が恋しい程だ。熊よけ対策にもなるのだから。
 道の駅「くろまつない」で軽い昼食をとる。ここから今日のゴール目名駅までは、目名峠を越えて後14キロもある。気合を入れて出発する。
 昨日も今日も、最後は戻りの列車時刻を気にしながらの歩きとなる。「男のロマンで始めた旅が、ノルマに追われる旅ではいかん。」と反省する。
 14時過ぎに目名駅に到着、駅周辺は、黄色の稲穂がたわわに実り、豊かな田園地帯なのだなあという風景である。
 今夜の宿泊は、道の駅「くろまつない」
で車中泊





9月7日(月) 雨時々曇り
06:25目名駅→ 15:03倶知安駅

 旅の気分は天気次第、雨の朝では「休みたいなあ」と弱気になる。ラジオの予報は「回復に向う」と言っているので、雨衣に身を固め目名駅を出発する。
 道の駅「らんこし・ふるさとの丘」の少し先から国道を離れ静かな道を行く。車の往来がほとんど無いので、ヒグマの事が気にかかる。
 1時間程で蘭越駅付近の国道に出た。行く手に雲にまとわれたニセコ連山が見えてきた。昆布という変った名前の町を過ぎて再び国道を離れ、開拓農地の中を進んで行く。北の方向にニセコの山々が大きい。山麓に点在するのはホテル等の宿泊施設であろう。
 雨が強くなってくる。上がり下がりの多い道を抜けてニセコ町に入った。冬はスキーリゾートとして名を馳せたニセコも、今の季節は静かな田舎町だ。
 食堂を探していたら、自転車のオジサンが「国道沿いにしかやってない。」と言う。俺も行くからと案内してくれた。国道の、道の駅「ニセコビュープラザ」横の中華店に入り、日替わり定食とビールを注文。店内は大変混雑しており、汗臭い我が身に肩身が狭い。
 ここから倶知安駅まで約10キロ、列車の時間に余裕があるので、マイペースで歩く。右手に羊蹄山が大きい。通過した比羅夫の登山口は、妻や故桜井幸子さん達と一緒に登った所だ。あの時の楽しい思い出が甦る。
 国道の緩やかな坂を降って倶知安の街に入る。背後に相変わらず頭を雲に隠した羊蹄山が聳えている。
 今夜は、道の駅「ニセコビュープラザ」で車中泊。







9月8日(火) 雨後晴れ
06:21倶知安駅→ 14:55余市町「スペースアップルよいち」

 昨日の電話で、妻が23日稚内行きの飛行機を予約したと言う。こうなったら何が何でもその日までに稚内へ到着せねばならない。
 雨の倶知安町を出発する。倶知安峠に差し掛かる頃、西の方から青空が広がってきた。それが頭上に達すると一挙に日差しが降り注いだ。
 小沢の町を過ぎると岩内町へ行く道を左に見て右に曲り、稲穂峠に向け国道の長〜い坂を登って行く。単調な道だが山の緑と爽やかな風に気持ちよく歩ける。
 向うから自転車の男性が現れた。岡山の森脇さん(37歳)、岡山から歩いて稚内まで行き、そこで自転車を購入し、その自転車に乗って今度は鹿児島まで南下して行くとの事。職業は画家だと言う元気な人である。お互いアドレスを交換し握手して別れる。

森脇さんブログ  
  http://benbk.blog44.fc2.com/


 やがて稲穂峠を越える長いトンネルを抜け、今度は仁木町に向け長い坂を降って行く。降り立った大江地区の神社ではお祭りが行われている。豊作祈願でもするのだろうか。
 レストランがあったので、カレーの昼食をとる。お客で居合わせた輪島さんという男性がコーヒーをご馳走してくれた。
 ここから余市駅まで12キロ。余市川沿いに降って行く。仁木町〜余市町には果樹園や果物直販所が多数ある。ここ余市川流域は北国ながら、いろんな果物が実る豊潤な土地柄なのであろう。
 15時前、余市駅に着いた。賑やかな駅前に車を停めるスペースは無く、近くの道の駅「スペースアップルよいち」をゴールとした。駅前の海産物店2階の食堂で食べた魚料理は、安くて美味くてご機嫌の味だった。今夜は道の駅「スペースアップルよいち」泊り。






9月9日(水) 晴れ時々曇り
05:50余市駅→ 15:00札幌市、星置駅

 久し振りに青空の朝を迎えた。国道5号に入り、まだ眠気から覚めぬ余市の町を抜けて行く。海岸沿いの道からは、積丹半島や増毛山地の山々見渡せて雄大な眺めだ。
 トンネルとアップダウンの多い道を越えて小樽市街に入る。人気スポットだけに平日でも小樽運河辺りは観光客で凄い人手、町の佇まいも異国情緒があって明るい雰囲気だ。ファミレスで昼食をとった後、ヤマダ電機でデジカメのメモリーを購入する。
 札幌へ向う国道5号は幅広く行き交う車は高速並に吹っ飛ばしている。新張碓トンネルを抜けると前方に石狩湾と石狩平野が見えてきた。遠く札幌市街も望見できる。
 銭函を過ぎ、札幌市に入った途端に密集した住宅街となった。15時手稲区の星置駅に到着した。左足の踵が少し痛い。後に響かなければ良いが、今夜は小樽市の新日本海フェリー駐車場で車中泊。







9月10日(木) 雨後晴れ
06:10星置駅→ 14:39豊幌駅
 
 今日出発する星置駅は、一昨日夜に駅員が2百数十万円強奪される事件が起きている。とても駅前に車を停める雰囲気でない。仕方なく1キロ程離れた体育館駐車場に駐車して出発する。朝から雨が降ったり晴れたりと目まぐるしい天気、手稲山の方向にWレインボーが架かっている。
 札幌市郊外の環状道路に出る。背広や制服で身を固めた通勤・通学の人波に逆らうように異分子が東の方向へ進んで行く。
 ファストフードの店で休憩したいのだが、時間が早いせいもあって中々見つからない。仕方なく開店前のスーパー入口で一息いれる。雁来ICを過ぎた交差点で左に曲り、国道275号に入る。豊平川の橋から小さくなった札幌中心街や恵庭岳の鋭い山容が見える。
 新石狩大橋の手前で右に曲り、江別方面へ進む。王子製紙の巨大な工場の脇を抜け、国道12号に入る。工場の中ではお神輿が出てお祭りをやっているようだ。
 やがて石狩川の畔に出た。流石に日本有数の大河だけあって豊かな流れだ。強い西風に身体を押してもらいながら14時半頃、豊幌駅に着いた。
 今夜の宿泊地は、道央道の野幌パーキング。

 





9月11日(金) 曇り後晴れ
06:12豊幌駅→ 14:00茶志内駅

 空にはトンボがアベックで群れをなして飛んでいる。北海道は、もう秋の空、昨晩随分雨が降ったようで、ビッショリ濡れた国道12号を北へ向って進んで行く。  やがて岩見沢市街に入って行く。郊外の大型ショッピング店の賑わいに比べ、駅前商店街は何となく活気がないように感じる。地方都市は、どこも似たような状況である。
 三笠市の道の駅「みかさ」は、温泉やショッピングモールまであり、北海道の中にあって最も大規模な駅ではないだろうか。
 しかし国道12号は真直ぐな道だ。美唄市から北へ約30キロが直線で、これは日本一との事。こんな道は無心になって歩くしかない。・・・・と言うのは嘘で、歌を歌ったり、ラジオを聞いたりと気分を紛らわせるのに苦労する。
 爽やかな風と広々した風景があるからいいようなものの、雨の中だったらウンザリするだろう。今日は美唄市の北、茶志内駅まで歩いた。旭川まで後40キロ程に迫っている。今夜は、道の駅「みかさ」で車中泊。







9月12日(土) 晴れ
05:45茶志内駅→ 12:50江部乙駅

 「天高く馬肥える秋」そう表現したいような朝だ。茶志内駅を出発し、相変わらず真直ぐな国道12号を北へ進む。昨日から西に見えていた山地を、暑寒別岳と思っていたが、砂川市を過ぎて見え始めた更に奥のなだらかな山が、どうも暑寒別岳のようだ。
 空知川を越えて、10時過ぎ滝川市に入る。岩見沢と同規模の町だ。食堂がまだ開いていないので、コンビにで弁当を買い、店の横にシートを広げて昼食をとる。
 歩き始めたら、すぐ先に蕎麦屋とモスの店が営業していた。「世の中、そんなものである。」
 国道沿いに自衛隊駐屯地が多いせいか。暗緑色の自衛隊車両が目立つ。週末から演習に向う隊員の面白くなさそうな顔を見ると、少しは同情したくなる。
 滝川市街から1時間程で、道の駅「たきかわ」に着いた。今夜はここに泊まる予定。今日はこの近くの江部乙駅まで歩いて終えた。



9月13日(日) 雨後曇り
05:40江部乙駅→ 14:50近文駅

 雨の朝、灰色に煙る北の大地は、小林旭の「北帰行」が似合う。霧の中、牧場と畑の中を切り裂く国道12号を北へ進んで行く。
 深川市に入り、道の駅「ふかがわ」でコーヒーブレイク。24Hコンビニもあるから今夜は、ここに泊まろう。
 道の駅の先で、今まで幅広だった国道が急に狭まり歩道エリアが途切れた。大型車両が行き交う道をヒヤヒヤしながら歩く。
 「歩行者優先」何て言うのは「人の命は地球より重い」と同様に現実とはかけ離れた言葉だ。進んで行くと、歩道エリアが復活したのでホッとする。
 旭川市に入ると左から石狩川が近づいてきた。トンネルにぶつかり、「自転車・歩行者は左の迂回路を通れ」の指示。そちらへ進むと「南山商店」と書かれた1軒の店があった。
 缶ビールとゆでとうもろこしを注文、国道を外れた場所で商売になるのか」と思ったが店のお婆ちゃんの説明では、「ここは神居コタンと呼ばれ、昔から石狩川を行き来するアイヌ達が無事を祈った場所の遺跡で、9月23日にはコタン祭りも開かれる。」との事だ。
 お婆ちゃんから「旭川まで行くの」と聞かれたので私の旅を話すとビックリしてトマトやビールのツマミを差し入れてくれた。
 春志内トンネルの手前から旧道を利用して、自転車・歩行者専用路が川沿いに旭川市街まで続いている。誰もいない静かな道は、聞こえてくるのは流れる川音だけ、歩くには最高だ。・・・・ただ心配なのはヒグマの気配、「誰か通ってくれないだろうか。出来れば、私より少しばかり足の遅いウォーカーが」、そんな杞憂も、再び国道が近づいてきたので解消した。
 13時半、旭川市街に入る。石狩川に架かる近文大橋の上から、中心街のビル群と背後に、うっすらと大雪連山のたおやかな峰が望見できた。15時前、近文駅に到着した。

 




9月14日(月) 晴れ後曇り
05:50近文駅→ 13:50和寒駅

 函館、札幌は、全国でも指折りの人気が高い町だというが、緑が多く川や山に抱かれた旭川も素敵な町だと思う。
 その町を離れ、北へ進んで行く。真っ青な空が気持ちよい。東に大雪連峰の稜線が黒い線を描いていて、旭岳の白い噴煙も確認できる。
 静かな道を進んでいたが、比布町で国道40号に入る。しばらく行くと道路標識に「稚内まで225km」と記されていて、初めて稚内の文字を眼にした。
 国道40号をゆるゆる登って、三浦綾子の小説で有名な塩狩峠に着く。「食堂でもあるかな。」と期待したが、全くの無人だった。峠の先は、和寒町、流れる水は全て北へ流れる天塩川水系である。
 和寒町市街手前の蕎麦屋「峠」は、安くて美味くてとても感じの良いお店だった。こじんまりとした和寒市街を通って和寒駅に到着、涼しく吹き渡る風が北国に来た事を実感させる。
 今夜は、和寒駅の駐車場に泊る。駅前食堂の魚定食は安くて美味しかった。








9月15日(火) 曇り後雨
06:02和寒駅→ 12:40風連駅

 和寒町の朝は、霧に包まれている。灰色の空間を北へ進んで行く。視界は100mあるだろうか。車が突然出現するが、歩道が確保されているので安心して歩ける。
 道の駅「けんぶち」を過ぎ、士別市に入る。市内のコンビニでコーヒーを買って一休み、市街を抜けると道北の大河、天塩川を越える。思った程水量は多くない。
 歩いていると、いろんな事を考える。日常の生活では何らかの目的を持って、考えたり行動している事がほとんどだが、目的もなく思考する事も、時には必要ではないだろうか。血の巡りが良いせいかポジティブな考えが浮んでくる。
 やがて名寄市にはいり、道の駅「なよろ」を通過して12時40分風連駅に到着した。車を回収して今夜の宿泊地、道の駅「なよろ」に着いた途端、暗黒の雲が頭上を埋め尽くし、滝のような雨が降り出した。歩いている時でなくて助かった。





9月16日(水) 曇り時々雨
05:35風連駅→ 13:36紋穂内駅

 昨日の午後は、凄い雨風だった。今朝も宗谷地方は大雨注意報が発令されている。しかし見上げる空は、そんなに悪くない。薄日さへ差している。
 名寄市の西を走る広域農道を進む。人も車もほとんど見かけぬ直線の道は、朝の体調の良い時は、気持ちよく歩いていける。右手にはバイパス(高速)道路を挟んで名寄市街が見える。
 自衛隊名寄駐屯地の手前から国道40号に入る。ほとんどの車はバイパス道を行くせいか旧道は往来が途絶え、閑散としている。
 バイパス道の智恵文ICを過ぎ、天塩川を渡ると美深町の市街に入る。町役場向かいの食堂で野菜炒め定食とビールを注文する。食事を終えて店を出た途端、もの凄い雨になって30分程足止めをくう。
 北の空は回復も早く、雨衣を着て歩いていると瞬く間に日差しが戻ってきた。市街を抜け天塩川に架かる美深大橋を渡ると、淋しい林の中に、小さな客車を駅舎に代用した無人の紋穂内駅に到着した。
 今夜の宿泊地、道の駅「びふか」の隣には町営の美深温泉があり、4日ぶりのお風呂に昼間の疲れが癒された。






9月17日(木) 曇り時々晴れ
07:13紋穂内駅→ 11:57音威子府駅

 朝起きると、身震いするほどの寒さ、北海道に秋がせまっている。誰もいない紋穂内駅を出発すると天塩川を渡り、霧の国道40号を北に向ってすすんで行く。
 なだらかな山々に牧場と森と畑、変らぬ風景がいつまでも続く。幾つかの小さなJRの駅だけが目印になる。
 やがて音威子府村に入る。陽も差して天気が回復してきた。周りの樹木は、黄色く色づき始めているようだ。天塩川温泉と書かれたトーテムポールを過ぎて、緩く長い坂を越え、曲がりながら降って行くと音威子府の町が見えてきた。
 町の手前でミニパトカーが寄ってきた。雨が降りそうなのに職務質問かと一瞬嫌な気分。政治家の河野太郎さんに似たお巡りさんが顔を出して「国道を歩いて行くの?」と尋ねる。頷くと「音威子府と中川の間の国道に最近熊が頻繁に出没している。できたら車で行った方がいいよ。」と言い、携帯で撮った熊の写真を見せてくれた。
 気をつけてといわれても、どうすればいいのだ。他の道とて条件はそう変らない。気の重いまま音威子府駅に着いた。
 午後、車で明日歩くコースを偵察がてら中川町まで走る。何箇所か「熊出没注意」の看板が建っている。明日は出来るだけ軽装にして短時間で通過するしかないだろう。
 今夜は道の駅「なかがわ」で車中泊。






9月18日(金) 晴れ
07:20音威子府駅→ 13:30天塩中川駅

 時間を少し遅らせて、音威子府を出発する。音威子府大橋を過ぎると中川町まで20数キロ人家が全くない山間部の道だ。
 昨日のお巡りさんの言葉が気にはなったが、「まさか日中から 出ないだろう。」と楽観的に考えていた。しかしその考えは甘かった。
 「熊主没注意」の看板を過ぎ、もう少しで中川町に入るという所で100m程前の道をヒグマがのそりと横断した。「ウソだろう。」取りあえず写真を1枚だけ撮って後ずさり、しばらく固まっていたが、前に行く勇気はない。何台か通る車に合図したが、どの車にも無視される。
 仕方がない。背後から車が来るのに合わせて全力疾走、出没地点を車と同時に通過。1キロ程先の工事現場の所まで必死に走った。
 その後も「出てきそうなエリア」は、続いていく。「最前線の偵察兵」のように緊張しながら歩いて行く。何箇所か工事現場と往来する車があるので助かった。この時ばかりは、暴走ダンプも頼もしい存在だった
 長いトンネルを抜け平野部に出ても無人地帯は続く。佐久の集落を眼にして初めて休憩をとる。やはり日本縦断の旅は甘くなかった。ある意味、今日が旅の山場だったかもしれない。
 それでも稚内まで100キロを切ってゴールも見えてきた。13時半、天塩中川駅に到着。今夜は幌延町の総合グランド駐車場で車中泊。夜中、雷の競演が凄かった。






9月19日(土) 曇り時々雨後晴れ
06:50天塩中川駅→ 13:50幌延駅

 天気予報は「寒気が入り、道北地方は天気が不安定」との事。確かに空気が冷たい。国道40号を北に進んで行く。
 雄信内トンネルの手前で、とうとう雨雲に捕まった。叩きつけるような雨、トンネルを抜けても雨は続く。国道40号を離れ右に曲って道道256号に入り、天塩川を渡る。数日共にした天塩川もここで見納めだ。
 寄り道して雄信内駅で休憩する。付近に廃屋が幾つかあるだけの淋しい無人駅だが、雨露を凌げるだけでもありがたい。何しろ雨露を凌ぐ場所が他に全くない。自販機一つないのだ。休憩を終え、256号を北へ進む。両側から樹木がせまり熊の出そうな雰囲気だ、大声で自分に号令をかけながら歩いて行く。
 そのうち展望も開き、牧場の点在する風景になってきた。風は冷たいが、雨も上がり青空が広がってきた。
 天塩川が残した三日月湖や牧場が拡がる牧歌的な道道256号は、車の往来も少なく平坦で、熊さへいなければウォーキングコースとしてグーな道だ。
 西の低い山波の向うに三角形の鋭い山がある。利尻山だ。最北の高峰がここから見えるとは思わなかった。一寸感動。
 カーブを幾つか過ぎると「北緯45度通過点」という標識があった。確か出発した秋田が北緯40度だから北緯5度分北へ歩いた訳だ。それから程なくして幌延の市街に着いた。
 今日は最初こそ雨に降られたが、周囲の景色も楽しめて割合余裕の歩きができた。今夜は豊富町の自然公園駐車場に泊る。






9月20日(日) 晴れ
07:35幌延駅→ 12:02徳満駅

 幌延駅で準備をしていると若い白人男性が「オハヨウゴザイマス。」と笑顔で挨拶してくれた。駅を出発すると線路に沿って、静かな田舎道を行く。やがて踏切を渡ると国道40号に入る。
 澄み渡る大気と緑の大地を切り裂く国道を北へ向って行く。左側には頭に雲を載せた利尻山が絶えず見えている。長い坂を降って行くと、自然公園の山肌に「とよとみ」大きく記された豊富町の市街に入る。
 コンビニで弁当とビールを買い店の脇にシートを敷いて早めの昼食を取る。再び歩いて1時間、小さなプレハブ駅舎だけの徳満駅に着いて今日は終った。
 明日は、稚内に入れるだろう。宗谷岬のゴールには、妻の他にI夫妻やS夫妻も合流するというから皆と会えるのも楽しみだ。
 今夜は、稚内駅近くの駐車場で車中泊。夕方食べた海鮮料理は本当に美味かった。





9月21日(月) 曇り時々晴れ
07:05徳満駅→ 13:10南稚内駅

 小さな徳満駅で列車を降りると、国道40号に入り、北を目指して歩き始める。高曇りの空から薄ら寒い風が吹きつける。左に見える利尻山も少しづつ後ろに引き下がる。
 緩やかな丘陵に、牧場や林が織り交ざる風景は、淋しい異国を旅しているような錯覚を覚える。
 稚内市に入ると国道と平行して高速道路になるであろうバイパス道の建設が盛んだ。大して交通量の多くない幅広の国道で充分足りているような気もするのだが・・・・
 遠くの丘に、沢山の発電用風車が見えてきた。あの下が、稚内の町だろうか。幾つものカーブを曲り長い坂を登り詰めると、最初にノシャップ岬の上に建つ赤い灯台が見え、右なりに曲り降りて行くと稚内の町並みが拡がってきた。
 淋しい原野を歩き続けた眼には、この最北の町は、活気ある大都会のように感じられる。午後は市内の「夢の湯」に浸かってノンビリ過ごす。
 宗谷岬まで、あと30キロを残すだけ、今夜も稚内駅そば駐車場に泊る。






9月22日(火) 雨時々曇り
07:42稚内市街→ 10:50富磯漁港

 稚内の町には、厚い雲から冷たい雨が降っている。雨衣を身に着けると市街を後にする。道路表示板が示す気温は「11度」9月なのにこの寒さ、最北の地を実感する。
 そういえば、この地では「日本最北」という名称が何にでも使用可能だ。今、通り過ぎる「NOBLE」というパチンコ店、「日本最北のパチンコ店」と呼びたいところだが、残念ながら閉鎖されているようだ。
 弓なり状の海岸に沿って、国道238号を進んで行く。稚内空港を過ぎると、宗谷丘陵の上に建つ発電用風車群が大きくなってくる。その数50以上、近づいて行くと強い東風にのって、羽根が凄い早さで廻っている。
 今日は、ウィンドファームと呼ばれる、その風車群の真下にある富磯漁港まで歩いて終えた。宗谷岬まであと9キロ。
 今日の午後も「夢の湯」の温泉で過ごす。3晩も過ごすと、稚内の町にすっかり馴染んでしまった。






9月23日(水) 晴れ
08:36富磯漁港  → 08:51宗谷支庁前
13:00宗谷支庁前→ 14:30宗谷岬(ゴール)


 天気予報どおり、快晴の朝を迎えた。S夫妻と妻は、稚内空港に12時前、到着予定。カーフェリーで来たI夫妻は、苫小牧から車を飛ばして、稚内空港へ12時合流するとの事。
 昨日の電話で、それなら天気の良い今日のうちに宗谷岬へゴールしようと言う事で話が決まった。
 朝方、車で宗谷丘陵のウィンドファーム展望台へ上がって見ると、澄み渡った大気の向う、北の彼方にクッキリと樺太の大地が望見できて感動した。
 皆が来る前に距離を縮めておこうと宗谷支庁前〜富磯漁港間をジョギングで往復する。これで宗谷岬までの残り6キロ程になった。
 稚内空港に移動して皆を待つ。予定通り11時30分着のANA機で、S夫妻と妻が笑顔で到着。一ヶ月ぶりの再会だ。I夫妻の車もピタリと12時に空港に着いた。
 私の案内で、全員車でウィンドファーム展望台に移動して昼食をとる。この雄大な眺めを観て、皆さん北海道に来た事を実感できたようだ。
 食事を終えるとI(旦那)さんに、車で宗谷岬に先行してもらい、残りの全員で、私と一緒に宗谷支庁から岬までを歩いて行く。皆でワイワイ話しながら歩くので、昨日までと一寸勝手が違う。途中、間宮林蔵の像で写真を撮ったり景色楽しんだりしながら進む。
 やがて前方に三角形の標柱が見えてきた。宗谷岬だ。14時30分ついに到着した。連休最終日なので、観光客も大勢いる。
  白絹に、私の名前と「おめでとう日本縦断徒歩旅行」と書かれた横断幕を、S夫妻が作って持参してくれていた。
 I夫妻も紺色地に日本地図と私の歩いたコースを金線で描いた旗を作ってくれていた。
 その厚き友情と心遣いに、感謝の気持で一杯。皆、私の気まぐれな道楽を祝福するために、この最北の地までやって来てくれたのだ。
 横断幕と旗を掲げて、全員で記念の写真を撮る。観光客が多数いる中でのセレモニーに、何だか気恥ずかしい面持ちだ。
 これで私の日本縦断の旅が終った。達成できた喜びは満ち溢れているのだが、「終ってしまったなあ」という淋しさもあり、少し複雑な喜びというのが本当のところか。だが、宗谷岬の今日の、この瞬間だけは、一生私は忘れないだろう。






  宗谷岬到着の動画

http://www.youtube.com/watch?v=pgslf6BrwGA







 

青函カーフェリー青森港にて



北海道南端、白神岬



白神岬から望む竜飛岬



福島町から白神岬方面



野宿で北海道一周中の高下氏



函館湾越しに函館市街



大沼と駒ケ岳



駒ケ岳山麓牧場の馬



長万部駅から来た道を望む。



蘭越町からニセコ連山



倶知安の町と羊蹄山



余市町の海岸から積丹半島



小樽市内の小樽運河付近



札幌市、手稲山と虹



豊平川から恵庭岳方面



江別市の石狩川



日本一真直ぐな砂川付近の国道12号線



旭川市手前、石狩川の急流



石狩川越しに旭川市街と大雪連峰



比布町の国道40号で初めて稚内の道路標識



塩狩峠



名寄市、道の駅なよろで、不気味な雷雲



美深町を流れる天塩川



朝靄の天塩川(音威子府町)




国道を横切るヒグマ




天塩川越しに天塩中川町



幌延町の牧場と三日月湖



幌延町から利尻山



最北の町、稚内に入る。



稚内市街と宗谷岬方面



富磯漁港から宗谷丘陵



宗谷丘陵から樺太を望む。



宗谷丘陵でのランチタイム



宗谷岬にゴール

スタート地点の羽後亀田駅



秋田市の海岸から男鹿半島



三種町の稲田と秋田杉



米代川と白神山地



矢立峠を越え青森県に入る。



岩木山を背に青森市へ向う。



陸奥湾越しに青森市街と八甲田山



陸奥湾の朝焼け




竜飛岬



竜飛岬から下北半島方面