筒井康隆
いわずと知れた大作家である。
モチーフだけを執ってみればさほど奇をてらったものではないが、
カタストロフィに向かい大きくうねる展開、
ぞく・・・と地味に且つ強く背筋を撫でる恐怖感、
どこまでも破壊的なスラプスティク、等々
さすが、と唸らざるを得ない文章力で読む者を引きつけてやまない。
パプリカ
深層心理に「物理的に」アプローチして精神疾患の治療を行う、というアイディアは
小松左京も同様に描いているが、小松氏が心に在る闇を極限まで深く掘り下げたのに対し
こちらでは深層心理が表在化且つ具現化してしまい更になんの関係もない赤の他人にまで
影響を及ぼしてしまうという荒唐無稽且つ壮大なスケールで描いている。
精神医学者である主人公は「パプリカ」という裏の顔を持ち、
非合法的に精神疾患の治療を行いシンパとなった人々と共に
ライバル/敵と戦うストーリィであるがこれだけではなんの事やらさっぱり解るまい(爆)
わたしのグランパ
ある意味でSFになってしまうのが哀しいところでもあるが、
ある日突然帰ってきた祖父について孫娘が語り部となって追想するお話である。
こんなじじい、いたらちょっと嬉しいな。
池猫
短い文章で心地の悪さをとことん表現し得た傑作。
郵性省
今、本が手元にないのでタイトルは不正確かもしれない(謝)
くだらなさもここまで行けば素晴らしいという大傑作である。
オ○ニーに夢を持たせたのは彼の他には永井豪しかいない。
悪魔の辞典
A・ビアスの著書の翻訳。
原版は100年近く前の書物であるが、今読んでも古さを感じさせない内容と
それを現代の日本でも通じさせようとする訳者の力量には溜息をつくしかない。
ちなみにEssayにて我が子の出生に触れた際の引用はここが基だった。
(2004年春に初めて気づいた(爆))
愛のひだりがわ
これは名作。
現実を予感させるしかしある種突拍子もない世界観に違和感はなく、
話の展開は筒井ならではのダイナミックさに満ちあふれ、
しかも主人公が淡々と語る心象風景は美しい。
とにかく、読め。