Osaka 2008.12.21
久しぶりの厚年。 前に来たのはいつの事やら。
しかも電車で来る などバイト時代以来かも知れない。
こんな所に信号 あったっけ等と思いながら駅から歩く。
席は通路を挟んだ 後ろのJ列。
前回よりも少し離 れた。
もう少し後ろでも いいのだが。
もう少し押すかと 思っていたら、大森さんのギターが啼いた。
25時の追跡。
メンバーが出てく る。
前野さんが大きく 腕を振り、エンジン音が響いた。
なんだろう、この バンドは。
ソロ・アクトとほ とんど同じメンバーで、それはそれで一つのバンドなのに。
それでも、何かが 違う。
わしの勝手な思い 込みも勿論あるのだろうが、見える音が違う。
何が違うのか、ひ たすらそれを探していたらいつの間にか終わっていた。
わしという人間は 忘れっぽいのか。
前回のような感傷 はほとんど感じなかった。
カーテンの扇情、 シネマ・クラブの狂気。
タイプが違うだけ のように想え、大森さんの不在が当たり前に想える。
それは勿論当たり 前なのだが。
ナイト・ウェイブ で大森さんのギターがない事に終わってから気づいた。
これは坂井さんの パートで鳥肌がたったせいであるかもしれない。
わしはこういう体 感を信頼する。
何がどう良いのか 凄いのか解らない。
しかし躰に直接訴 えてくるものは確かにある。
ちょっと席が離れ たせいなのか、
メンバーの心持ち の違いなのか、
わしの気分なの か、
何が違うのかは解 らない。
それでも今回は音 に浸りきることができた。
本当に、いつの間 にやら100万$である。
二時間半のライヴ が一瞬のように感じたのだ。
ひたすら音を感じ ていたせいか、何度も鳥肌が立った。
各メンバーに二回 ずつぐらいは(笑)
素直に体感できれ ばこういう感覚を得られるか、
甲斐バンドとして の力が更に増してるのか、それは知らない解らない。
躰に響いた、その 事実で十分だろう。
鳥肌で思い出した が、松藤さん。
破れたハートを売 り物に。
わしは途中で歌う のを止めたのだが、それは甲斐よしひろ松藤英男、
二人の声に魅入ら れたせいである。
素晴らしいツイ ン・ヴォーカルであった。
あれは「コーラ ス」ではない。
癖の強い二人の声 が合わさった瞬間、鳥肌が立った。
ここまで松藤さん が前に出たことがあったのだろうか。
甲斐さんが右耳を 塞ぐほど、だったのだ。
「甲斐バンド」は 「甲斐よしひろのバンド」ではないのだ。
こう考えると、も しかしたらわしが感じるソロ・アクトとの違いは
「甲斐バンド」と 「甲斐よしひろとバンド」のような違いなのかも知れない。
どこでどう線引き するのかなどととは知ったことではないが。
たぶんそんな処の 僅かな差異がそう感じられるのだろう。
見える音、という のは変な表現だが、ステージにあるイメージとでも考えてもらえばいいだろうか。
わしは甲斐バンド には核をもつ球体を感じるのだ。
どこかにあるコア に向かい、凝縮し、核融合を来たし熱を発する恒星のような。
そしてメンバーの 顔は球体に溶け合うようにしており、
プロミネンスのよ うに飛び出してくる。
・・・仮面ライ ダーアマゾンの十面鬼みたいな表現になってしまった・・・
ソロの時はこれと は少し違うイメージだ。
核というよりも中 央の線。
そこにメンバー が、音が絡み合うイメージだ。
太く強靱な鞭がし なやかに客席に伸びてくる。
・・・これではグ フだ・・・
本当にそんな違い があるのかどうかは知ったことではない(笑)
わしはそう想っ た、感じた、それだけのことである。
まあいつものこと だが。
これでわしがこん な甲斐バンドを観るのは最後になってしまった。
今後これよりも凄 い、と感じさせるライヴを見せつけてくれる事を期待しつつ、
次はどんなライヴ になるか楽しみにしたい。
次は、と書いた が。
ここで総括となれ ば次は新たな展開となるだろう。
ただし来年は35周年でイベント的 な何かも企画しているように仄めかしている。
であればまた総括 的なイベントになるのかもしれない。
あるいは全く新し い展開で35周年とするのかも しれない。
どちらかと言えば 後者を期待したいが、こればかりは甲斐さんの腹の中で、
現時点ほとんど誰 にも判らない事だろう。
いずれにしろ、新 たな展開に期待したい。