KAI BAND NEVEREND TOUR OSAKA 2009.10.24


                    
























                    それにしてもなんだこの忙しさは、 と零さずにはいられない十月である。

                    なにせ週末二日がきっちり空く日が ない。

                    当然家族サービスできるわけでもな く、出かける用ばかりが積み重なっている。

                     第一週:試合

                     第二週:学会

                     第三週:壮行会

                     第五週:講演会

                    といった体である。

                    とはいえ所謂「ヤマ」は第三週であ り、これは某所にて明記したが

                    恙なく滞り無く終わっており、ほっ と胸をなで下ろす処までは来た。


                    さてそんな中始まる今回のツアーで ある。

                    「舌の根乾かぬ内」な甲斐バンドで はあるが、

                    わしとしてはさもありなん、あって しかるべしである。

                    わしなりの理由はブログでも明らか にしておいたが、

                    要約すれば「今の甲斐バンド」が観 られる、

                    そういう確信を持っているからであ る。

                    果たして新しいアルバムは、間違い なく「今の甲斐バンド」であった。

                    「バンドのアルバム」であった。一 部はバンドではないようだが(笑)

                    これについては後ほど詳しく述べ る。

                    アルバムがそうである以上、ツアー もそうであるに違いない。

                    後は、どんなものが観れるのか、ど れほどのものが観られるのか、

                    それだけである。


                     午前の軽い仕事を片づけてJokerを迎えに川西joker池田まで。

                     帰宅して食事をとりJokerは早速愛息のお相手である(^^;

                    大人と遊ぶのが好きなもので、

                     ひたすら遊んで貰ったのは申し訳ない>Joker

                     何故だかその後はJokerとのデートになってしまったが(爆)、

                    なんのかんのしながら歩いて心斎橋 から会場である。

                    知人友人と言葉を交わしながら開演 を待つ。

                    グッズ売場は長蛇の列。

                    列が消えるまで待ってストラップ セット。

                    車のキーがホルダーごと無くなった のだ。

                    なんとか間に合ったチームメイトと も言葉を交わす。

                     場内アナウンスとSE

                    始まる。



                      1.ブライトン・ロック

                    佐藤さんのリフに音が絡 みついて行く。

                    ベースラインの音が太い。

                    ツイン・ドラムのバランスが絶妙。

                    歌詩の内容とツアーの意味のマッチ ングも絶妙。

                    このツアーのオープニングにこれほ どふさわしい曲があるだろうか。

                    答えは、そう、ステージにある。


                      2.ダイナマイトが150

                    ソロ・アクトとはベクト ルの違うグルーヴ。

                    縦方向と芯が強いグルーヴ、とでも 言えば良いか。

                    イメージを言葉にするのは難しい。

                    マイクアクションでちょっと足を痛 めたか甲斐よしひろ(笑)


                     3.フェアリー(完全犯罪)

                    間奏のツインギター& サックスが絶品。

                    同じメロディを三つの違う音で重ね て何この太さ、である。

                    やはりバンドとソロとでの音の絡み 方は絶対違う。

                    爽快な衝撃が会場を突き抜けて行 く。


                     4.エメラルドの爪先

                    はい元取りました(爆)

                    ブログで書いた頃には当然アルバム は未発表であり、

                    レイニーでのツインヴォーカルを期 待する趣旨で書いたものであり、

                    わしが観たかったのは要するにこう いう事である。

                     だからBacking vocalSecond vocalは 違うんだってば。   ねえKOMさん。

                    それはそうとして、むしろバンドの グルーヴが明確だった分、

                    予想というか期待を遙かに越えるも のがステージには在った。

                    まあよく聴こえるアコギだこと。

                    ただし、これで満足とは言わない。

                     100点満点の120点ぐらいではあるのだが、

                    更に高い領域にまで行き着けるポテ ンシャルを感じる。

                    贅沢な要求ではあろうが、是非とも 高みを魅せて欲しいものである。


                     5.朝まで待てない

                    エメラルドもそうだが、 曲調としては古い類な筈なのだが。

                    全く古さを感じないのはどういう工 夫なのだろう。

                    それが有機的なグルーヴという処だ けに帰結するものなのかどうか。

                    アレンジに詳しい人、誰か教えて下 さい。


                     6.ナイト・ウェイブ

                    たゆたうメロディに芯の 太いベースライン。

                    わずかなアレンジが太さを変える。

                    確かに真正面ではあるが、それにし ても良く聴こえるアコギ。


                     7.BLUE LETTER

                     Partyのアレンジに近いか。

                     BLUE LETTER(独 唱)である(笑)

                    考えてみればこのアレンジは初めて の生である。

                    実験と解体を繰り返し、古きを温め 新しきを知らしめす。

                    象徴的な一曲だった。


                     8.嵐の明日

                    この前奏は・・・・

                     とうとう甲斐バンドで演ってくれた、KAI FIVEであ る。

                     KAI FIVE結成 の理由は、この一曲に込められている。

                    えぇそうとも断言です。

                    やはりバンドとユニットでは違うの だ。

                    全く別物なのだ。


                     9.昨日のように

                    正直に言えば、さほど思 い入れがある曲ではない。

                    決して嫌いなわけではないが、まあ 要するに

                    泣いてしまう曲ではない。

                    いや、なかった、と言い直そう。

                    何あの佐藤さんのギター。

                    全く意味も不明に涙が噴き出した。

                    これほど当惑させられたのは初めて かも。


                     10.陽の訪れのように〜メガロポリスノク ターン

                    カントリーからノクター ンへのメドレー。

                    この唐突さ加減は面白いな。

                    客席が一瞬「あれ?」と身を強張ら せる。

                    メガロポリスはジャンケンに勝った 甲斐さんのみのヴォーカル。

                    アイコならツインなのか?

                    ここでツインも観てみたいが・・・


                     11.安奈

                    オーソドックスヴァー ジョン。

                    この曲のツインドラムは良い。

                    強く優しくグルーヴを紡ぎ出す。

                    気持ち良い安奈だった。


                     12.目線を上げて

                    号泣(笑)

                    ダメだこれ。

                    目線を上げたら流れる流れる。

                    語弊を恐れずに言えば、「今の嵐の 季節」なのだが、

                    ちょっといろんな意味にマッチしす ぎる。

                    反則だ、反則。

                    にしても発売早々にアルバムより良 く感じるのは

                    ライヴという場にいるせいか。


                    13.氷のくちびる

                     14.ポップコーンをほおばって

                    これはセットで書いた方 が良いと思えるのでそうしてみる。

                     ライヴ全体としては、1ROの距離感がちょっと気になるライヴではあった。

                    間奏とかのソロでは間違いなく出て くるし、

                    やはり凄い音を奏でるのではある が、

                    絡み具合というと、どうなのだろ う。

                    これは松藤さんが甲斐さんに食って かかる程の勢いを見せたから

                    比較的そう見えてしまうのかも知れ ないが。

                    全体としてはそのように 感じたのだが、

                    この二曲に関しては鷲掴みにする程 の絡み方であったように思う。

                    ステージの上で核融合が起こってい た。

                    あの場で星が生まれてもわしは驚か ない。

                    もしそうなったら驚く前に燃えてる けど。


                     15.翼あるもの

                    マックが気合い一閃、 パーカッションから燃え広がる。


                     16.漂白者(アウトロー)

                    佐藤さんがリフ。

                    一度始まった核融合は連鎖してい く。


                     17.この夜にさよなら

                     LADYへのつなぎかと思わせるキーボード。

                    実はフェイント(^^;

                     MCで核融合が鎮められたら、星がステージを満たしていた。

                    よぉできた話や(笑)

                    ま、泣きながら聴いてたんですけど ね。


                     18.風の中の火のように

                    前奏が始まった瞬間、頭 で考えるより先に躰がカウントを始めた。

                    反射的な確信。

                    わしの足とドラムがシンクロした。

                    バンドの、「風の中の火のように」

                    絶対に消えない熾き火がステージに あった。


                     Encore1.

                     1.電光石火BABY

                     今にして、だが、Straight Life Tourのこれが

                    どれほど余所々々しいと思えるか。

                     あの頃と同じ様なフレーズを弾く1RO

                    しかし音の絡み方は太く、全くの別 物である。

                    巨躯にして軽快。   ボルトかいっ


                     2.マドモアゼル・ブルース

                    同じギターで違う音、

                    それぞれが聴こえるのに一つに聴こ えて、

                    何がなんだかな螺旋状のグルーヴ。

                    すげ。


                     3.冷血(コールド・ブラッド)

                    この曲は後ろで観たいん だってば(^^;

                    周辺視野でステージを堪能する。

                    やっぱりこの曲のライティングは素 晴らしい。

                    サイドから順にサーチを始めるライ ト。

                    ドグマとカルマがステージで渦を巻 く。


                     Encore2.

                     1.HERO〜ヒーローになる時、それは今〜

                     HEROESね(笑)

                    いやあれには笑ってしまった。

                    ぱ、っとステージが明るくなるんよ な、この曲は。

                    エンディングが近いのは判っている が、

                    ずっとこの場にいたい、浸っていた いと思わせる。

                    終わって欲しく無いなあ・・・・


                     2.破れたハートを売り物に

                    これですよこれ(笑)

                    甲斐よしひろどころか観客をも捻じ 伏せようかという松藤英男の声。

                    これが「ツイン」ボーカルですよ。

                    いや、すごいすばらしいかっこい い。


                     3.熱狂/ステージ

                    オーラス。

                    詰まるところ、こういうモチベー ションなのだろう。

                    俺達はこういう心持ちなんだよ、

                    期待に応えてるだろう、

                    お前らはどうだ?

                    そんな問いかけが聞こえる。

                    霧雨がステージを濡らした。


                    アヴェ・マリアが流れる。

                    終演。

                    そしてわしらは夜のミナミに流れて いくのであった。

                    アフターもなんだか異様なテンショ ンである。

                    かと言ってライヴの話はほとんどで ないのではあるが(爆)

                    そうして深夜まで、宴は続いたので ある。



      さて。


        よくできたステージだなあ、と感嘆を漏らさずにはいられな い。今回のツアーに際し、少なからず、おそらくは大多数のファンの頭の中を「?」が巡った筈である。

     『「Final」って言ってたじゃん?』が最大公約数的な言い方になろうか。それぞれに答えを思い つき、またはその答えを見いだそうとこの会場に足を運んだ筈である。

     そこに「ブライトン・ロック」である。ステージの上から疑問を投げ かけるヴォーカリスト。客を代弁するかのようにシャウトする甲斐よしひろ。

     悪く言えば手前味噌自己完結なのではあるが、「なぜ?」の答えは演 奏にしかないのだ。

     アルバムと、ステージ。そこに示すしかないのだ。判りきっている答 えだ。

     「答えはここだ」聴けと。観ろと。感じろと。

     わしはそう唄っているように感じた。

     そしてプレゼンテーション された答えは、甲斐バンドの名の下にソロ・アクトもKAI FIVEも内 包し、現在の甲斐バンドが出しうるモノを提示して魅せたのである。

     出し切った、とまではまだ言わないでおこう。まだまだ引き出しはあ る。持てるポテンシャルは全開にはなっていない。

     次に期待させるところもまあ、よくできているのかもしれないが。い ずれにしても、ライヴ前の喫茶店ででてきた話、その答えはあったと断言しよう。


          こっから 重要ね>さくら&ぽう


        ではその答えをわしなりにはどう導くか、という処に移ろう。

     まず、ライヴそのものに先んじて、アルバム「目線を上げろ」につい てから行こう。

     カヴァー、セルフカヴァー を含み、名義もSometime KAIとやや こしいアルバムではあるのだが、

     「エメラルドの爪先」と「目線を上げて」をこのアルバムの象徴とし て捉えれば理解は容易いかと思う。


        まず「エメラルドの爪先」について言えば、もちろんツイン・ ヴォーカルであるという事。

     おそらくは前回のツアーでわしが指摘した、「破れたハートを売り物 に」で松藤さんが前に出た事で、甲斐さんがインスパイアされたのではないかと推測しているのだが、

     過去を辿ってみても、甲斐よしひろとツインを張ったヴォーカルは無 い。

     強いていえばSecret Gigの中島 みゆきぐらいか。しかしあれはサビだけではあったし、食ってかかる程のモノではない。

     しかし「エメラルド」はアルバムからして「ツイン」である。ライヴ では更に松藤英男の声が表出している。

     これがどれほどエポックメイキングな出来事であるか。

     わしは愛息に「なんで甲斐さん好きなん?」と訊かれ「世界一の ヴォーカリストだから」などと主観的に答えたりもするが、

     客観的に見ても日本有数のヴォーカリストであることには相違ない。

     その甲斐さんと松藤さんが同等と認めた、そういう意味にも取れるの である。

     甲斐バンドは「甲斐よしひろ“の”バンド」ではない、せいぜいが「甲 斐よしひろが”いるバンド」なのであり、もしかすると「甲斐よしひろも”いるバン ド」なのかもしれないのだ。

     わしとしては、甲斐さん自身は最後を理想としている、と考えている が、少なくともの”が否定されることは明白だろう。

     ライヴ中の「エメラルド」と「破れた」で十分である。

     前者では前に立つ四人が渾然一体となり、誰が欠けても成し得ないだ ろうグルーヴを紡ぎだした。

     後者では甲斐よしひろと客が一体となって叫ぶ中、甲斐よしひろの声 さえ客の声に混じり合っている中、明確に聴こえ続けたハーモニーを思い出せば良い。

     甲斐さんのみならず、観客にさえ食ってかかった松藤さんのヴォーカ ルである。

     昔から甲斐さんが明言してきたことでもある。甲斐バンドは甲斐だけ じゃない、と。

     しかしそれをここまで表現、体現できたことは在ったか。

     わしはこの二曲には身震いを覚えた。甲斐バンドの一つの型を見出し た。

     おそらくそれはあくまでも一つの、であり、それだけで語られるもの ではあるまいが。


        続いて「目線を上げろ」である。

     正直な処を吐露すれば、「どうじゃわしの云う事は結構当たっとるじゃろうが♪」で ある。

     ちゃんと云えば、10Storiesの評にて述べた、「音楽的餓鬼道」がどれだけ正しいか、という事である。            ちゃんとか?

     小室哲哉とのコラボに始まる流れは、ここに帰結しているとわしは思 うのだ。

     あのコラボからカヴァーに至るまで、甲斐よしひろは新しいメロディ ラインを模索していたのではないか、

     わしはそう推測しており、それを端的に音楽的餓鬼道と表した。

     あらゆる音楽から、あらゆる世代から、もちろん性別までのべつまく なしで基盤を探っていたのだ。

     果ては桜井氏のように自身の追従者を公言する者から、すら、であ る。

     メロディロンダリングとでも云おうか、いずれにしろ、凄まじいまで の貪欲さであるとは云えよう。

     「目線を上げろ」は詩の内容的には「嵐の季節」の系譜だろうが、メ ロディ、アレンジについてはちょっと系譜が見あたらない。

     いわば「らしくない」メロディとさえ言える。つまりは、新しいメロ ディライン、ということだ。

     もしわしの思い込みなら誰か教えて欲しい。「系譜はここにある よ?」とでも。


        上に挙げた二曲だけでなく、アルバム中の他の曲も、これがア ルバムかと訊きたくなるようなライヴ感である。

     一言で言えば、生々しいのだ。

     これほど生っぽいアルバムがデジタル全盛のこの時代に出たのだ。

     これもまたエポックメイキング、と云えるだろう。

     時代背景だけでなく、これほど生っぽいアルバムを甲斐バンド、甲斐 よしひろにおいてわしは知らない。

     また、今回演奏されたのは「エメラルドの爪先」「朝まで待てない」 「目線を上げて」だったが、三曲ともアルバムの通りである。

     甲斐さんはライヴのためのアルバム、という言い方をよくするが、

     アルバムとライヴがここまで同一線上にあった事があるのだろうか。

     ライヴのリハーサルをそのままアルバム化したようなものである。

     客の声が聞こえないライヴアルバムと云っても過言ではなかろう。


     更に付け加えれば、ここ数年のグルーヴへの傾倒である。

     一時は三連のリズムに傾倒していたが、結局それはここに至る経過で あったことが示唆されている。

     三連はグルーヴ感を出し易い、という事だ。

     当時甲斐さん自身がグルーヴへの傾倒を自覚していたのかどうかは知 らない。

     しかし三連に傾倒し、グルーヴ感を出せるメンバーとライヴを続ける 中で、次第に意識的にグルーヴを求めていったのは間違いない。

     もちろんソロ・アクトにおいてもグルーヴは追求されているのだが、 一昨年来のバンド・アクトにおいて、バンドのみが出しうるグルーヴ、

     バンドだからこそ可能なグルーヴ、そういうものに憑かれたのではな いか。

     1ROはブログにて新たなグルーヴの萌芽を報告していたが、それに気づかない甲斐さんでは ないし、

     またそれをそのまま放っておける甲斐さんでもない。

     「甲斐バンドとしてのグルーヴ」がどれだけ、どのように出せるか、 それを追求するアルバム、ツアーなのではないか。


        まとめてみれば。

     全てが新しいのだ。

     エメラルドの爪先に代表される新しい形。

     目線を上げてに代表される新しい曲。

     それどころか昔からの曲も、名義違いの曲も、

     新しいグルーヴに生まれ変わった。

     これまで甲斐バンド名義では演奏されることの無かった曲、ある意味 不遇を託った曲達とも言えるが(笑)、

     KAI FIVEやソ ロで発表された曲がこの場に於いて生まれ変わっていることは誰しもが認めることだろう。

     違和感などどこにもない。

     むしろKAI FIVEやソ ロで演奏されていた時の方がぎこちない程だ。

     新しい甲斐バンドだからこそ、これが可能になったのだ。

     わしは先ほどこう断言した。

     「KAI FIVE結成 の理由はこの曲(嵐の明日)に込められている」と。

     いや、それだけではなく、ここにおいて再度甲斐バンドでの活動を始 めたことの理由でもあろう。


        それはこういうことだ。

     甲斐バンドを解散し、ソロ・アクトで三枚のアルバムを発表した。

     第一線のスタジオ・ミュージシャンを用い、テクニック的、また音質 的には、明らかに甲斐バンドを凌駕するものができた。

     しかしアルバムでも、ライヴでも、何かが足りない。

     足りないものを追い求め、アコースティック、ファンクなどイベント 的なライヴを演ってみた。

     それでも大 きな何かが、無い。

     何か、と は。

     グルーヴ感 であり、ライヴ感であり、生々しさであり、要するに有機体、生命体としてのステージだったのではないか。

     そしてテクニックと有機的結合体を兼ね備えたものとして結成されたものが、KAI FIVEだっ たのではないか。

     結成当時、 甲斐さんは「バンド」であると云っていた筈だ。

     現在では 「ユニット」と断言しているが、これは今にして「バンド」と「ユニット」の定義付けを自覚しただけではなく、

     当時は「バ ンド」となる事を期待、切望していた事の裏付けと理解されるべきだろう。

     だがしかし、結果的にKAI FIVEは、「バンド」とはなり得ず、「ユニット」でしかなかったのだが。


        そう してまたソロ・アクトに戻ったのだが、その中でバンドではないがグルーヴ感、ライヴ感を表現できるメンバーが固まっていった。

     前野知常、坂井紀雄、JAH-RAH、土屋公平、もちろん松藤英男、と。

     バンドでもないのに余程バンドらしいライヴができる状況で、ここで甲斐バンドで演ればどうだろう、そう思わない方がどうかし ている。

     ましてバン ドのグルーヴを希求してきた甲斐よしひろである。

     そして昨年 のツアー。

     一つの段落 をつけ、敢えて云えば過去の甲斐バンドに決着をつけ、またその中で見えてくる新たなものがあった。

     それは新た なスタイル、だけではない筈だ。

     甲斐バンド の大きさ、ポテンシャルもだ。

     見えかけた ものを放っておく訳がない。

     Finalもへったくれもないではないか。

     過去への訣 別、ではないのだ。

     過去は過去 できっちり内包し、新しいものとして提示する。

     それだけの 技量も、懐の深さも、もちろんエネルギーも、全て兼ね備えた甲斐バンドになったのだ。

     鶏と卵どち らが先、ではないが、全てを一括りに演奏できるから今の甲斐バンドなのか、

     今の甲斐バ ンドだから全てを一括りに演奏できるのか、それは解らないしわしにはどちらでも良い。

     いずれにし ても、リニューアルされ、パワーアップした甲斐バンドが今ここにあるのだ。

     そしてそれ でも尚、更に巨大化するポテンシャルを秘めているのは明らかなのだ。


        わしは次に神戸、さらに年明けにはグランキューブに参戦す る。

     ここまでの記述が正しいかどうか、期待しつつライヴに臨む所存であ る。



KAI Lives