「怨霊信仰」と「言霊」をキーワードにこの「日本」の国の歴史を

紐解こうとする井沢元彦の力作である。現在週刊ポスト連載中。

 特に序盤、即ち古代史〜史料不足が否めない〜に関する考察は注目に値する。

氏の観点を否定するためには、「怨霊信仰」を否定し、「言霊」を否定し、

かつそれ以上に信用に値する論拠を述べなければならないだろう。

 例えば天照大神の天の岩戸の説話と、倭国の女王卑弥呼

(本来倭国も卑弥呼も当て字であろうが、社会的認知度という点からこう記す)の死、

そして現代天文学により示された古代日本における

日食の発生の三者がリンクしているであろうという記述は

〜断っておくがこれは氏独自の説ではない〜

興味深く、説得力も十分である。

 この日本という国が如何にして創られ、如何にして成長してきたのか。

逆に如何に成長が認められないのか、更になぜ成長していないと言えるのか。

そんな問いに対する答え、少なくともその一端はこの作品にあると信じて疑わないわしである。

 

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逆説の日本史 

井沢 元彦