作者名ではあるが、実際に通読したのは下記二作品のみである。

しかし、この作家の何が好きと言って、女性キャラクターである(爆)

くびれフェチを満足させるあの曲線は艶めかしくも美しい。

 

 ファントム無頼

 航空自衛隊百里基地のF4パイロット&ナビゲーターを主人公に据える。

この手の漫画の常として主人公二人は荒唐無稽で天才的なのだが(笑)、

ともかくも彼らを中心にしたエピソードを綴る。

 これは下記作品とも共通するのだが、

登場人物は 「尊厳」とか「誇り」をやたら口にする癖がある。

個人的には強くシンパシーを覚えるのだが(笑)。

その中で、自衛隊の在り様として非常に強く共感した 台詞があるの是非紹介したい。

主人公の一人、神田が口にした台詞である。

 米軍との合同演習においてベトナム戦争を経験したF4と

ドッグ・ファイトを行い、米軍F4のエンジンをバルカンで射った後、

神田は米軍パイロットにこのように言われる。

「もう少し前を狙え。そこならコクピットだ」と。

それに対しての言葉。

「わかっちゃいないね。人を殺すためではなく、 攻撃力を割くだけでよい。

抜かずの剣こそ、平和の誇り・・・・」なのだ、と。

 つまりは、自衛隊が「存在するだけのもの」であれば、

それが理想なのだ、と。

相手の攻撃力を割く能力があると判断されるだけのもので良いのだ、と。

自衛隊の在り様、存在意義については未だ与論としてまとまったものはない。

が、このような考え方が現実的かつ理想的なものではないのだろうか。

 

 エリア88

 中東の国、アスランの内乱における政府軍の外人部隊と

契約させられてしまった主人公、風間真の葛藤、

その外人部隊における指揮官であるサキや

元米軍パイロット・ミッキーらとの人間関係、

婚約者であった津雲涼子との愛、

更には内乱から企業指導型経済的戦争計画へと至る中、

その中心となる神崎悟との憎悪が絡み合いストーリィは進行していく。

 外人部隊に於ける人間関係が、わしの趣味に違わず、

やはり理想郷的である事は否定しない(笑)。

 しかし単なる理想郷の寓話でないことは、

SAPIO誌に連載中の 「傭兵の真実」において実証される。

この作家は実際に傭兵として中東、アフリカなどを転々とする男であり、

傭兵となるに至る心情なども吐露しているが、

見逃してはならないのは同僚との関係である。

同僚を守るための死、

死んでしまった同僚を送る「儀式」・・・・

そこには自らの死をも厭わない信頼関係がある。

もちろん、このエッセイが真実そのものであるのか、

虚飾が全くないのかどうかはわしの知るところではなく、

先の「実証」という言葉が不適当である可能性も否定はしない。

しかしながら、信頼関係を守るという事に誇りを持ち、

その誇りのためならば死をも厭わぬ姿には深く感銘を受け、

また美しいとすら思う。

いわばこの作品はそのような美しさのオンパレードである。

エリア88が名実ともに崩壊してゆくシーンの中、

ミッキーとセラのキスシーンは美しく、哀しい。

 

 

Books

新谷 かおる