なんだか長い一日の事

 

 八月十二日午前十一時起床。

空は快晴である。

予定通り単車に跨ることにしてまずは虫の世話。

マットの湿り気を確認しゼリーを交換。

 

自分の飯はカップ麺で済ませる。

 

さて。

革パンにすべきかライパンにすべきか逡巡。

山に入れば涼しいだろうがそれ以外はどう考えても暑そうだ。

万一の雨でもライパンは雨天対応可。

下に短パンを着込む事もあるし暑すぎるのはイヤだ。

従ってライパンに決定。

 

・・・十二分に暑いけど。

 

中環→近畿道→阪和道と乗り継ぐ。

ひたすら風が強い。

割には涼しくもない。

今更免停など喰らってもいられないので適度なスピードで走る。

和歌山に入った辺りで事故渋滞。

単車のわしはすぐにパス。

降りる予定の海南東手前でもう一度渋滞。

帰りにその理由がよく判ったが、この時はほとんど関係なく

そのまま海南東で高速を降り、370号線へ。

国道なので広いのかと思っていたら狭い(^^;

中央線もないし・・・

 

ちゃんとあぽちんに訊いて来れば良かったかなあと思いながらも

車さえパスできれば割と楽しい道。

パスするにも狭いのが難点といえば難点だが・・・

 

と、ガス切れランプ点灯。

すぐに小さなスタンドを発見。

給油ついでに煙草を吸って休憩。

店のにいちゃんはどうやら単車好きらしくいろいろ話しかけてくる。

そんな純正マフラーあるわけねえじゃろ。

しかもわしのはTL1000用のマフラーじゃし(笑)

この道は狭いので単車な人達は敬遠するんだと。

 

やはり調査不足かいな(^^;;

 

まあそれでも割と楽しいよ、などと返し再度跨る。

暫く行くとちゃんと中央線もあり道は広い♪

快調に走っていると気温も下がってきたようでさらに心地よく。

適当に車をパスしつつひたすら登る。

かなりタイトなコーナーもあり楽しい。

 

・・・・しかしこれが下りだとしんどいぞ(笑)

でも今日のわしは片道通行なのだ。 ちょっと安心(爆)

 

高野山の手前の土産物屋で休憩。

名物焼き餅を食う。

何が名物なのか全然判らない薄目のあんころ餅。

中にあんこが入った焼き餅はあまりないのかなあ?

ウチのばあちゃんちでは普通に作ってるが・・・・ まあ旨い事は旨い。

 

それにしても空気が綺麗だ煙草が旨い。

煙草に罪悪感を覚えるとしたらこういう時だな。

旨いけど、ちょっと汚してるようでごめんなさいな感じ。

 

でもやめるもんか(爆)

 

この辺りに来ると単車も増えてきた。

数台で降りてくるSSや十数台連なるアメリカンやら。

高野龍神ラインの看板。

ほうほうここからがそうなるんかいな。

しかしこの道、下ってくる車がセンター割りめでちょっとイヤ。

しょうがないので右コーナーはゆっくりめ。

元々ゆっくりめなのでほぼ亀。

セーフティマージンをたっぷり取ってほとんどキープレフト。

練習にならないが人のせいで死にたくはない。

 

高野山の周りはさすがに人と車でいっぱい。

盆だしなあ・・・って外人も多いな。

ここはゆっくり走らざるを得ない。

暑そうなので休憩はまだ先にしとこう。

 

と高野山を越え龍神方面を降りて行くと 三台ぐらいの単車。

後ろに付いてると譲ってくれる。

いやわしもうすぐ休憩するけえ別に良いんじゃけどと思いつつも 遠慮なく行かせてもらう。

高野山からは降りるだけかなと思っていたらまだまだ登りが続く。

登り切る手前にちょっと開けた見晴らしの良い場所。

休憩♪♪

鮮やかな緑を眺めつつ煙草が旨い。

旨すぎる。

たまに通る車や単車の音以外は静か。

虫の羽音までも明瞭に聞こえる。

いや〜来て良かった♪♪

 

するとさっきパスした三台の単車。

軽く手を振る。

煙草をもう一本吸ったら道に戻ってまた走る。

 

ん?道の駅みたいなんがある・・・

そうか普通はここで休憩よなってまたもさっきの三台。

今度は向こうが手を振ってやがる(^^;

振り返したらアクセルを開ける。

 

この辺からは下りが増える・・・ って登りでラインオーバーすんなよ対向車(怒

結局右コーナーはキープレフトに終始。

そんなにきついコーナーでもないしいい練習になりそうだったのに・・・

道の駅龍神で一息ついたら後は扇ヶ浜へ。

田辺市街を掠めて海辺の道へ。

おっと給油しなければ・・・って休みかよ駐車場近くの○光。

ここからみなべまでの間にスタンドあるんかいな・・・

 

駐輪場は無料。

単車を停めライパンを脱いでブーツも靴下も脱いで

ついでにTシャツをタンクトップに着替えたらほら夏仕様。

ライディンググッズを除けば(瀑)

なんだかやぐらが見えるのでその方向にポテポテ歩く。

時計は17時。

 

三時間ぐらいあるのか・・・ とりあえずお飲物を買って階段に座り込む。

浜に来たら目を楽しませないと・・・・・・ってこら。

おねいちゃんが少ない・・・・

水着は独りだけ・・・・・

        がっかり。

 

 

しょうがないので沈む夕陽と唯一の水着を交互に眺める。

ぼけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと時間が過ぎ、 イベントが始まる。

近隣のダンスクラブやら太鼓やらを眺める。

親父バンドを眺める。

タミーなる在阪ミュージシャンも眺める。

巧いんだけどなんだか引っかかってこない。

 

ほんでもってやっとこさお目当てのBTRである。

この日田辺くんだりまで駆けずった最大の目的である。

ここまでの記述は実はおまけなのである。

十分すぎるおまけでもあったしおまけの方が長くなるのだが(笑)

 

和洋取り混ぜ音響に問題もありながら、やはり気持ちのいい音だなと実感。

もちろん日程的な問題もあったが、わしは「野外で」というのに興味があったのだ。

音響の整ったホール、ハウスではなく、「野外」での音に。

さっきまで水着〜おねいちゃんは独りしかいなかったが〜で戯れていた人々がいた

砂浜に、海に、砂を熱く焼いた太陽が沈んだ空に、彼らの音がどう響き、

わしの躰にはどう聴こえてくるのか、それをわしは感じに来たのだ。

家からここまで250km程の道(半分は山道♪)を。

 

スコアを吹き飛ばすような(爆)風の中、彼らの音は心地よく浜を満たしていた。

砂浜に設えたステージは浜を満たす潮の中にあった。

 

・・・二、三の子どもがその中で泳いではいたが(^^;

 

ディランもドゥービーもひばりも陽水も茶色も、とにかく気持ちいい。

本当は立って踊りたいのは山々なのだが、 そういう年頃でもなく我慢することにした。

それで周りも立ち上がったらもっと楽しいんだろうが。

 

パンツを脱げばもっと音を感じられたのかもしれない。

 

 

周りも脱いだらもっともっと楽しいだろうなあ・・・・

 

しかしBTRはもとより、演奏されたオリジナルも知らないであろう人々が、

思っていたよりも数多く手を合わせ躰を揺らしていたのは事実である。

そこにある音を素直に感じられる人々が。

紹介の言であった「メジャーで活躍する人達」にはピンとこなくても、 その音には反応できる人々が。

正直そんな人々と握手して回りたかったぐらいである。

別にわしは関係者ではなく、ただの一ファンに過ぎないのではあるが、

あの音を気持ちいいと思えることが嬉しく、 そんな人々が数多くいたことが嬉しかった。

 

論理では表現しきれない音。

そこにあるとてつもない程の説得力。

気持ちよく凄い。

だからこの辺の記述が少なくなるのだ。

 

あの場で「バンドとは何か」、と問われたとしよう。

その設問は「プロのミュージシャンとは」でもいいし、

「いい演奏とは」でもいいし、「グルーヴとは」でもいい。

いずれにしても、わしが持つ答えは一言しかない。

 

「こういうの♪」である。

 

これだけしかない。

わしが持てる言を尽くして論を張ろうと、その音自身の説得力には敵わない。

 

いいバンドだなあやはり。

 

BTRの演奏が終了し、花火が上がる。

迎え火、という意味合いのようだ。

BGMにはいささか苦言を呈したいが、 まあその意味なのだからそれもあり、か。

わしはあれを聴くと所さんのパロディ(現在は拓郎の持ち歌ということになるらしいが) を

思い出してしまうので神妙な気分にはなれないのだが。

 

にしても結構な花火。

こんなに近くで観るのも久しぶりだ。

 

さてここから突然時は流れる。

thinthinとか恥骨湖とか無免とかバリコとかいろいろあったけど詳細は略して(爆)、

午前1時半、わしは帰路に着くことにした。

もちろんこんな時間から山道に入る筈もなく、

みなべから高速である。

24時間セルフのスタンドではお釣りをもらうのにレシートが要ることを知らず 引っ張ってしまい、

一瞬焦ったが夜勤のおっちゃんにレシートを見せたら ちゃんとお釣りは貰えた。

みなべから海南まで片側一車線の対面交通である。

 

そら渋滞するわ・・・・

 

しかも道は真っ暗なのでかなりゆっくり目に北上する。

それにしてもこのルート、長いトンネルが多い。

延々登りでしかも暑い。

雨の日に逆方向は絶対乗りたくないな、これは。

岸和田で遅くまで働く覆面を目撃しながら無事帰宅である。

長い一日であったが、気持ちいい事ばかりを満喫できた。

 

が、走った直後には眠れないのだなこれが(爆)

 

翌日はさすがにちょっと堪えた・・・

 

 

結論:やはりあこは魔性の女だった。

 

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