’2001 キリンチャレンジカップ
日本-イタリア戦
う〜〜む、久しぶりのFootball更新である(笑)
きっちり観た試合で且つ興味深い試合のレポートしか書いてないので、
どうしても頻繁な更新とはならない。
前はどんな書き方してたっけ・・・・・(自爆)
前置きはこれぐらいにして、始めましょうか。
(総評)
正直、舐められてたな、と思う。
もちろん、イタリアのコンディションが劣悪だった事も影響している。
「ほとんど眠れなかった」コンディションと手抜きでも、
少なくとも負けることはないだろう、という感じで相手をしてもらった、
というのが素直な印象である。
イタリアが採ろうとしたのは、前半はややルーズな守備でもいいから0-0に抑えて、
後半ちょっと頑張って1点ぐらい取ろう、 という作戦ではなかったか。
それで抑えられるほど日本の得点力は甘くなかった、というのが正解だろう。
ペナルティエリア右外での粘りから擦り抜けた稲本には、
驚くほどのスペースが与えられていた。
擦り抜けると予測していなかったのは明白である。
そして稲本には、狙い澄ます余裕があった。
中で待つ柳澤も、DFの裏に入ってあのスペース、
しかもゴールまでのあの距離なら入れて当然の選手である。
綺麗なゴールであることは認める。
しかし、「真剣なディフェンス」を崩してでの得点で無い以上、
割り引いて考える必要があるだろう。
アシストの稲本、シュートの柳澤、
二人とも素晴らしいプレーをしたのは事実である。
ただし、「させてもらえた」部分は否定できないのだ。
後半に入り、CKからドニのシュートが決まる。
これを機に、イタリアの攻撃はロングボールを放り込む単調なものに変わる。
「しんどいのはやめとこ」という感じである。
もちろん、デルピエロやトティが交代で抜けた事もあるだろうが、
いくらなんでも日本を舐めすぎである。
で、なければ。 疲れたのだろう。
いくらなんでも強行軍過ぎる日程である。
「ったくもうしんどいなあ、
アウェーなんだから引き分けでいいじゃないか、
巧くすれば一点取れるかも知れないし」 、
という風情である。
イタリアのシュートがゴールをまともに突くことも少なかったという、
「運も手伝っての」失点1である事を忘れるわけには行かない。
運が手伝って、ベストではないイタリアとホームで引き分けなのだ。
この引き分けは、自慢できるものではない。
同じ土俵で戦ってもらえなかった事実は重い。
失望と屈辱を禁じ得ない。
ただ、以前より進歩がなかった訳ではない。
もともとの差が差なのだから、必然の結果なのかも知れない。
その意味でいえば、いい結果とは言えなくもない。
よく進歩したものだという嬉しさももちろんある。
しかしながら、この状態では本戦にて
決勝トーナメントに進むのは難しいと言わざるを得ない。
決勝トーナメントに進むことは開催国の義務とすら言える。
難しい希望だというのはよく知っている。
それでも尚。 不可能だった筈のことを可能にしてもらいたい。
そしてその力を有するメンバーであり、監督であると思うのだ。
(攻撃)
やはりいくらイタリアが守備の国、といっても、
その攻撃力は日本より上である。
従って日本は守備的にならざるを得ず、
特に右側からの攻撃が欠如していた。
元来守備的な波戸が右サイドにいるのだから仕方がないかも知れないが、
もっとスペースをついても良かったように思う。
「ここでもう一枚」という場面が目立った。
前半のイタリアの守備なら、できればもう一点は欲しい。
ペナルティエリア直前までは、かなり自由にプレーできる余裕があり、
またパスも繋がっていた。
「ここで右のスペースにもう一枚」選手が加われば、
もっとチャンスは生まれたように思う。
しかし、稲本がかなり積極的にゴール前に詰める場面も多かったので、
更に引き気味になった部分もあるだろうから、これは望みすぎかもしれない。
ただ、後半に入りイタリアのプレスが強くなるとパスが全然繋がらなくなった。
中田など、必ずと言っていいほど二人で守備にあたられ、
内後方の一人はパスコースを消すように入っていく状態である。
それでもパスを繋げられるような戦術と、
ピッチ上のコミュニケーションが必要になるだろう。
それでもかなりボールキープしていた中田はやはり素晴らしい選手であると思う。
100%のプレーではなく、絶好調とはほど遠いにも関わらず。
キープできる中田をもっと活かせるようにしたい。
わしは単純に小野との絡みが増えるだけで相当チャンスが増えると思うのだが・・・・
また、攻撃が手詰まりという感が強い。
もちろん世界有数の守備力を誇るイタリアなのだから、
そうそう簡単に前線でボールキープできる筈もないし、
スペースを突ける訳も無かろう。
ここで参考にしたいのは、正に相手イタリアの攻撃である。
カウンターの巧さは今更言うべき事でもなく、
日本がカウンターを身につけなければならないのは
何度も言っていることなのでここでは省略する。
イタリアのFWが前を向いてボールを持った時、である。
多くの可能性を持たせた動きをチーム全体でしてくるのだ。
ドリブルで来るのか、パスで来るのか、読めない場合が多い。
読めないDFはニュートラルになる。
つまり反応が一瞬遅れるのだ。
そして易々とパスを通す。
ゴール前、ペナルティエリア内でのパスワークは昔からイタリアの得意とするところだ。
第三者、四者のスペースへの動き、トラップ/キックの正確性に差があるのは致し方ない。
しかし、もっと試みても良い。
後半やや真剣になったイタリアのDF相手に一回でも通れば大成功である。
チーム全体でフェイントをかけることができれば、
もっとFWがボールに触れるように思う。
シュートチャンスが増えなければ、得点は生まれないのだ。
この試合、シュートチャンスが何回あったか。
シュートチャンスに至らないことが多すぎる。
実力差といってしまえばそれまでなのだが・・・・
(守備)
一点しか取られなかったのは素直に評価したいのだが、
やはり相手に助けられた部分が大き過ぎる。
なんとか皮一枚でかわした、という感が強い。
宮本の躰を張った守備は素晴らしかったが、
その前にもっと楽に守備ができないだろうか。
中盤で簡単に繋がれるのは仕方ないにしろ、
もっと展開が望めない方向へ繋がせるようにしたい。
中央へのパスをもっと出し難いような守備隊形にしたい。
素早い攻撃の巧いイタリアに守備の人数と揃え隊形を整えることが
困難極まりないことは百も承知である。
繰り返しになるが、結局ニュートラルな体勢にならざるを得ないが故、
一瞬の遅れに乗じて好き放題されてしまうのだ。
ドリブルケアにもっと重きを置くべきかも知れない。
中盤からドリブルで持ち込まれる回数が多いのだ。
一瞬の崩れが、ピンチを生み、失点を生む。
そして相手はそれに乗りまんまと一点せしめる事ができる国なのだ。
一瞬の遅れがゴール前で起これば、ドニの得点となったのだ。
もっと前方から、「一瞬の遅れ」を消せるようになって欲しい。
書き出したら止まらんなあ(笑)
やはり痛感するのは、「世界レベルとの差」である。
あのようなコンディションで、手を抜きながらも易々と引き分けにされてしまうのである。
そこには、少なくとも現時点において、絶対的な差が存在しているのだ。
真剣勝負になった時、その差は結果として如実に現れるのだ。
その結果が一次リーグ敗退とならないために、
今の代表に何が必要かを書いているつもりである。
パスワークにしろ、ディフェンスのコンビネーションにしても、
一年前から比べても格段に進歩している事は明記したい。
しかし現時点では、「同等〜格下のいない」
ワールドカップを闘える状態ではまだないのだ。
期待を込めて、まだ山積みな課題を消化してくれることを切に願いたい。