2002年 ワールドカップ 一次リーグ
日本-ベルギー戦
MF、DFのメンバーはわしの予想通り。
GKの楢崎はちょっと意外。
川口の確実性より虚を突かれた時の楢崎の反応の早さを買ったのか。
FWは柳澤に鈴木。
システムは3-5(2-2-1)-2。
試合開始。
両チームともロングボールを多用する展開が続く。
長期戦のワールドカップなのであり、
まして初戦なのだから、当然の展開ではある。
退屈な展開とも言えるが(笑)。
イングランド-スウェーデン戦でも書いたことなので繰り返す必要はないだろう。
しかしこれも後半の展開に繋がって行く。
DFラインを下げさせるためにもロングボールは有効なのだが、
この日は更にもう一つの効果があった。
その効果の結果が、日本の2得点に繋がったとだけ、ここでは述べておこう。
ただ前半においてはチャンスはなく、
前線でパスが連続することはなかった。
対してベルギーも人数はかけないが、
やはり強国である事を如実に示す。
僅かな人数でシンプルに日本ゴールを脅かす。
幸いにして危ないシーンはなかったが。
後半に入り、展開が変わる。
ベルギーはやや前のめりに。
攻撃に人数を割く。
この結果が鈴木、そして稲本の得点へと結びついたのは皮肉だった。
フリーキックをなんとかはじき返したものの、
下がりすぎたMFはプレスをかけるにも間に合わない。
オフサイド崩れ。
失点。
後半の残りは30分以上あった。
わしはまだ行けると信じていた。
日本は追いつくべく、プレスを更に強める。
プレスディフェンスを続けなければならないシステムは
長期戦を闘うには不利だが、プレスディフェンスでなければ
短期の内に負けてしまうであろうパラドックス。
しかしここでこの試合を落とすわけにはいかないのだ。
そして失点からわずか2分後。
ボールを受けた小野が、広いスペースの前にいる
鈴木、そしてDFの裏へ。
鈴木の動きに一瞬釣られたDFはボールを止めることができない。
GKの触る一瞬前。
鈴木の左足がボールを撫でる。
脇を擦り抜け、左隅へ。
同点。
わしはベルギーの攻撃を注視した。
ここで勝ちに来るか、引き分けを選ぶか。
どうやら、勝ちを選択したらしい。
同様に、攻めに人数を割く。
そして更に、中盤にスペースができた。
このスペースを作ったのはロングボールの繰り返しと、
誰あろうヒデである。
ヒデは最前線でボールを競ることにより、
MFまでをも押し下げ、守備を一枚板にしつつあった。
こぼれ球に走り寄る稲本は誰の障害も受けず 全くのフリーで、
トップスピードだった。
そのままゴール方向に突っ込む。
右からDF。
GKはワンサイドカットを信じ右へ倒れる。
稲本のシュートはDFとGKの二人の狭い隙間を抜け、ゴールへ。
逆転。
こうなればベルギーも必死である。
アウェーとは言え、格下の日本に負けるわけにはいかない。
森岡の負傷。
迷わず、トゥルシエは宮本に交代させる。
これが吉と出るか凶と出るか。
しかしこの場でDFがいない時間は作れないと判断したのだろう。
結果的に言えば、ラインコントロールのミスを生み、失点。
交代は致し方無いことではある。
戸田をDFラインに下げ、小野をボランチに下げて
森岡の回復を待つという手もあったかもしれないが、
これは一層の守備の弱体化を生んだかも知れない。
何れにしろ、またもオフサイド崩れにより失点。
楢崎は迷い、歩を止めてしまっていた。
不可解な判定も含め、結局このまま終了。
2-2での引き分け、勝ち点1である。
強国ベルギーに引き分けは立派であるし、
結果だけならば満足すべきである。
しかしわしは不満である。
このレフェリングについてはいろんな所で口にしてきたが、
もう一度言いたい。
この主審のジャッジに一貫性はない。
反則の巧みさがベルギーには確かにあった。
ダイビングを見抜く能力がないのも致し方ないとしよう。
しかし同じ行為に対し同様にジャッジしてきたかと言われれば、
わしは否と答える。
日本寄りにして欲しいのはやまやまだが(笑)、
そこまでは言わない。
せめて同等且つ一貫したジャッジをすべきである。
ミスジャッジをするなとは言わない。
それが不可能なのはよく知っている。
だからこそ、一貫したジャッジを行わなければならないのである。
それが正当なレフェリングなのである。
この主審が正当なレフェリングを行っていない一例を挙げよう。
正に、オブストラクションだとかデンジャラスプレイだとか
諸説紛々の稲本の反則のシーンがそれである。
(諸説出ること自体不思議なジャッジなのだが それはまあ置いておこう)
自身のレフェリングに正当性があるというのであれば、
稲本のシュートは明らかな遅延行為であり、警告に相当する行為である。
則ちあの場面で稲本を退場させていない事は
この主審が正当なレフェリングを行っていないという証左なのである。
そのようなものが、ワールドカップという場で笛を吹く。
おそらく、この主審が他の試合で笛を吹くことはもう無いだろう。
一次リーグは審判にとっても予選であり、
ここでのレフェリングがトーナメントでの主審へと繋がるのである。
従ってこのような不当なレフェリングを行うものが
トーナメントで笛を吹けるはずはなかろう。
この結果だけには、わしは満足している。
欲を言っていることも認める。
正当なジャッジであれば、
正当なレフェリングであれば、
そう思わずにいられないこと自体が、
日本が弱いと認めていることだとも自覚している。
しかし勝ち点2の差がどれだけ重いものか。
我が代表がそれを忘れさせてくれる事を切に祈る。