はだしのゲン
誰がなんと言おうと、作者が共産主義者であろうと(笑)、名作中の名作である。
これでもかと主人公中岡元を襲う戦争、そして原爆の災禍。
全10巻の中、ゲンは愛する人々を次々と失って行く。
原爆直後に父、姉、弟。
疎開先で世話することになり、ゲンに絵を教えてくれた政治。
一年後には妹、友子。
母。
姉に瓜二つの夏江。
更に。初恋の女性。
冗談でわしはよく言うが、これぐらい主人公が打ちのめされる
漫画は、巨人の星ぐらいである(爆)。
次々と襲う不幸を全て乗り越え、前進し続けるゲンの姿には
感動を禁じ得ない。
戦争、核兵器の恐ろしさをまざまざと描写し、
平和を訴えようとする作者の熱意はイデオロギーを容易に越える。
愛蔵版ではなんと、呉智英が大絶賛の解説を寄稿しているのだ。