ここ数年で最も好きな漫画家と言おう。
画風は古い部類にはいるのかも知れないが、
生命を絵に宿らそうとする意気込みがひしひしと伝わってくる。
そう、彼のテーマはいつでも「生命」なのである。
あいしてる
題字を自分の息子(当時幼稚園児)に書かせている事から
容易に推察できることであるが、詰まるところ
「父と子」が主題となってストーリィは進行して行く。
連載当初は「オヤジの青春」がテーマだったらしいが、
名作にはよくある事で、キャラクターが勝手に動き出したような印象を受ける。
主人公鉄馬(ケンタ)がオヤジになってからのストーリィは、
全26巻中4巻しか無い事からもテーマがシフトしているのが明白である。
単車乗りの鉄平と娼婦マリアが出会い、やりまくった末鉄馬は産まれる。
鉄馬は成長と挫折を経て、彼が得た物は・・・・
数ある名シーン、名台詞の中、鉄馬と父親・鉄平の死闘は白眉である。
花のうた
現在週刊モーニング連載中。
身よりを無くした少女・ウタを主人公としてストーリィは展開中である。
筆者は健気で強い生命を持った人間を描きたいという欲求があるのだろう。
リアリティは薄れるのかも知れないが、素直に感動できる作品となりつつある。
作者の人を描こうという意気込みがその絵から伝わる希有な作品でもある。
思わず「ドキリ」とさせられるウタの表情を見よ。
守村 大