さらば愛しき山賊帽子

 

  既に購入年を憶えていない不心得なオーナーで申し訳ない。

 たぶん7年ぐらい前だと思うが、その年の春、

 長年連れ添ったCB-1に別れを告げ、Bandit 400VZに跨ることにした。

 CB-1は間もなく永遠の別れとなってしまったが・・・

 乗り始めて思ったのは、とにかく軽い。

 どうも尻が軽く、滑るような感じを得ていたので

 パンクを機にハイグリップタイヤに交換。

 それでも結構長く乗っていたような気もするが。

 なんせ当時は街乗りOnlyで車と併用ほとんど大学or職場と家の往復のみ。

 京阪神以上の遠乗りは確かなかった。

 豊中の坂道でスリップダウンしたり、新御堂筋でオイル踏んだりしたりして

 その都度交換すべきものはしつつさしたる故障もなく、

 ここまで乗り続けてきた。

 天気さえ良ければ通勤は常に山賊だった。

 三年間、高速ばかりを走っていたのが

 山賊のためには良かったのかも知れない。

 アクセルワークの関係ない高回転キープだったのだから。

 それが本当かどうかは知らないが、全く以てトラブルのない単車だった。

 手放すまで、エンジンは好調を維持していた。

 三度ほどロングツーリングに出たが、そこでも快調そのものだった。

  購入当初は潰れるまで乗るつもりだった。

 いや、今となっても尚、潰れるまで乗ってやりたい気持ちは残っている。

 許される事ならば、二台(以上)所有したいのが本音である。

 いろいろな状況、環境からそれが不可能であることは考えるまでもないが。

 手放す事が確定したのは昨年の10月だった。

 いい先輩を演じつつ腸は痛んだ。マジで下った。

 後輩が怪我をしたというのも下りの一因ではあったが。

 そして激動が年末から始まり、紆余曲折を経る中で、

 とうとう山賊は里子に出された。

 まあそこから二ヶ月後更なる激変が生じたのだが、

 それはこの文にも山賊にも関係ないので割愛しよう。

  元々単車にせよ車にせよ、「道具」として考えてしまう部分は否定できないわしである。

 皆が持つほどの愛着愛情を持てない事を常に実感せざるを得ないわしである。

 そんなわしでも、少なからずの惜別の情は持ってしまうものなのだ。

 いい時期に乗っていたという郷愁にも似た感覚があるのかも知れない。

 ただ単に感傷的な時期にそうなったからこう感じているのかも知れない。

 願わくば、いつまでも大事に乗ってもらえればいいと思う。

 ついでに、CB-1のような末路を辿らないことを・・・・

 

 

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