ユーロ2012 1/4Final イタリア-イングランド
模索を続ける古豪同士である。
守備と攻撃のバランスを取るのに両チームとも苦労している。
イタリアは攻撃的戦術をポゼッション重視に転換し、これに乗り遅れたイングランドは引きこもった守備戦術を採用せざるを得ない状況に陥った。
イングランドはともかく、イタリアがこの点で苦労しているのも面白い。
前半。
キープするイタリア。
3分、デロッシのミドル。ポスト。
4分イングランド初めての攻撃。右からクロス。こぼれてフリーのジョンソン。ブフォンの左手。
イタリアはロングボールを多用。先を見越しての体力温存か。
ラインはやや深め。トップとの距離も長め。タイトなフットボールでなければスペインやドイツには勝てないが…
13分、ジョンソンから縦目なクロスにルーニーの頭。髪の毛にかかって浮く。
イングランドはやはり縦に急ぐフットボール。どちらもパス回しにダイレクトが少ない。あくまでもスペイン、ドイツに比較してだが。
イタリアは攻撃にかかる人数が少ない。この点は伝統的だが、まあ1/4Final前半だから無理はしてこないだろう。
イングランドの守備はややルーズなライン。
24分、この裏を突くピルロ。バロテッリのシュートはカット。
30分にもバロテッリに裏。31分にはイングランド。
どちらも入りそうな気配はない。
イタリアはシュートは多いがまともに枠を捉えない。
イタリアのラインの整え方が甘いのが気になる。
イングランドは人数で守っている感じ。1/4Finalだから甘いのか。
42分、久しぶりのイングランドの攻撃。人数は互角だがなんとなく出しどころがない感じでクロスもカット。
乗り遅れた感のある両チームである。というかイングランドはずっと乗り遅れたままであるが。
イタリアがここまで遅れるとは意外ではある。
両チームともパスのスピード、精度が低い。両チームともきっちりとゾーンが敷けている訳でもないのに崩せない。抜いている事を考慮に入れても、やはり遅いと言わざるを得ない。
イタリアは守備がやや間延びしている。ゾーンとカテナチオの中間で美しいとは言えない。
後半、どう両チームが動いてくるか。
後半。
イングランドが攻め込むがイタリアは少人数で守る。
中途半端なパスミスで行ったり来たり。
ピッチコンディションの影響はやはりあるか。
6分、デロッシのミドルを弾くハート。バロテッリが押さえてシュート。正面。こぼれにモントリーボ。浮く。イタリアにゴールの気配が湧き始める。
後半に入りイタリアにダイレクトのパスが増え始めた。
10分前からイングランドのペナ周りでのプレイが続く。
15分、ウェルベックからキャロル、ミルナーからウォルコットへ。
イングランドは一々パスを探す。これでは速攻以外ではチャンスとならないだろう。これに対応できるようにイタリアは間延びさせているのか。
引きこもったイングランドを攻めきれないイタリア。
この崩しではイングランドの体力も消耗してないだろう。
イタリアの攻撃に人数が増え始める。
中央を絞るイングランドだがサイドをあまり使わないイタリア。
クロスでは取れないという判断か。
バロテッリならクロスに対応できそうな気もするが。
31分、イングランドFK。良いところに落ちるがルーニーは合わず。昔から観ている者としてはどっちがどっちか判らなくなってくる展開。
33分、カッサーノ→ディアマンティ。
CKを挟んでデロッシをノッチェリーノ。
90分内に勝負を付けたいところか。
37分、バルザッリのスライディングはファウル。FK。合わない。
43分、イタリアはマルキージオが背後を狙う。ジョンソンのブロック。
45分、イタリアはアバテをマッジョに。
47分、初めてというぐらいの厚みで攻めるイングランド。ルーニーが右サイドから左へ。アシュリーコールのクロス。キャロル折り返しにルーニーのオーバーヘッド。浮く。
間延びした展開のままタイムアップ。
いつの間にやらゴールの気配も消え失せた。
延長。
イタリアの攻めきれない感が強いのは変わらず。
4分、イングランドはパーカーをヘンダーソンへ。
直後のFKはオフサイド。
5分、イングランドのカウンター。ルーニーがキープするが人数の差はいかんともできない。逆にイタリアはバロテッリが裏へ。オフサイドはないがコントロールできない。
イタリアはバロテッリに預けて後は頑張れ。バロテッリも無理からのシュートばかり。
じわっとキープしながらディアマンティのクロス。ポストに向かう良いクロス。合わないがそのままポストに当たりゴールキック。
カテナチオなイングランドを攻めきれないイタリア。こりゃPKかなあ。
延長後半。
ゴールの気配はないまま続く。
一応イタリアは攻めてはいるがイングランドの固めた守りの外を回るだけ。
4分、右サイドマッジョが切れ込むもファウル。FK。
5分、FK。いずれもシュートまで至らず。
7分、左サイドからクロスもディアマンティは枠を外す。OnGoalもない。
9分、右サイドからディアマンティのクロスにモントリーボ。オフサイド。
ダラダラと延長終了。
PKはエンドを取れたイタリアが優位。一本外してしまったがピルロのチップはハートを動揺させるに十分だった。あれで完全に迷ってしまった。更にはブフォンが「キャッチ」。
和やかにPK前を過ごすのはいつもの事だが、ゴールに歩みを進める瞬間には表情を一変させた。ブフォンはやはりトップクラスのGKである。
イングランドは時代に乗り遅れたのもあるし、また直前のカペッロの辞任も大きい。まあカペッロはおそらく時代に乗れない自分に気づいて辞任したのだろうが。結局攻撃はルーニー頑張れな状態に陥ってしまった。この点ではフランスにすら劣る。結果、DF4人MF4人の8枚をコンパクトに重ねる守備で守りきりPKに持ち込むしかなかった。ゾーンディフェンスの基本をこなすのが精一杯だったのだ。
対するイタリアもゾーンを崩す一工夫が足りなかった。楔をいかに打ち込むか、裏をいかに取るかがゾーンを崩す工夫であり、スペインはドリブルと速いターン、ドイツは鋭いダイレクトパスをその一つの工夫として見せてきた。というかドイツは一次リーグの第三戦でこればっかり練習していた。ここまでの習熟はともに一朝一夕で作り上げたものではないのだ。この点で遅れをとっているイタリアは次戦でイングランドのような引きこもりを見せるのか、それともこれまではフロックでありドイツを脅かすプレイを見せるのか。そのどちらもなければ思わぬ大差でドイツが勝つ事になるだろう。
とはいえドイツの準決勝は、残り20分までは慎重、いやむしろ抜いた試合運びになるのが常道である。
僅差の試合になる可能性が高いが、果たして内容的にはどうだろうか。0-0で後半半ばまで、しかもドイツのポゼッションが大きく勝る状態で経過すれば、残りの時間でイタリアは生き地獄を見る事になるだろう。ここまでのイタリアが本物のイタリアかどうか。ここに重点を置き観戦したい。