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ユーロ2012 一次リーグ ドイツ-デンマーク


当然三試合目は同時国開催。

家の環境では同時に観れないので裏のオランダ-ポルトガルはネット中継での観戦である。まあはっきり言って今回のオランダには興味が無いがものはついでである。

ドイツは盤石ながら得点はマリオ・ゴメスだけなのがやや気になる処。デンマークはここまで1勝1敗だが悪い内容ではない。ベントナー頼りではあるが、ベントナーを囮に使う手練手管も持っているだけによもやの事態も十分にあり得る。引き分けを狙って突き放された前試合の影響が残るかどうか。


Kick off。

1分ラームを起点にケディラが左へ。遠慮せずに前に出る。逆サイドのミュラーのシュートは上。

デンマークは積極的なプレス。支配を譲りたくないのだろう。

4分デンマークのCK。ベントナーの頭。難しいところに落ちるがノイアーは前でキャッチ。

直後にドイツ。ミュラーがボレー。アンデルセンキャッチ。

うん、わしの希望通りの打ち合いになってきた♪

デンマークは前試合同様にダイナミックな動き。好きだなあ。

しかし少し時間をかけているとドイツのラインは整ってしまう。

出しどころが無いところに無理はできない。持たせると厄介なだけにボールを奪われたくはない。しかし出し所もまたない、いつものジレンマ。

11分、裏のオランダはファンデルファールトゴール。

オランダが勝ちならデンマークは引き分けで良い。影響はあるのか。

デンマークはプレスを緩めない。

15分、エジルが画面に映り出す。FKは逸れる。

18分、ドイツが攻め込む。デンマークとは違うダイナミックさ。エジルはスルーをカットされCK。

ミュラーのクロスをマリオ・ゴメスのワンタッチ。ゴール前のスペース。何この絵に描いたような展開。ポルディは蹴り込む。そのポジションからそこまで振り抜かんでも。振り抜かなければ触れない所にコントロールできる筈だが、コース自体は甘いのに振り抜いているから触られても関係のないシュート。この辺はドイツらしい。

さてドイツはどうするか。緩めるか、このまま突き放すか。最近の傾向で言うと、緩めると危ないが…

23分デンマークFK。ファーサイドのベントナーが強く折り返す。そこにクロンデーリ。作り上げられたセットプレイ。これを守れるチームはそうそうないだろう。ゴール前にいなければマークは緩む。ベントナーなら緩んでいなくても頭で勝負できる。マリオ・ゴメスでもマークにつけるべきだったか。


それにしても楽しいなあおい。後二点ずつ取り合ってくれれば楽しすぎる。

27分裏はクリスチアーノ・ロナウドのゴール

こうなるとデンマークは勝たなければならない。

まあピッチ上でこんなことは意識してないのかもしれない。

23分CKからマリオ・ゴメス…師匠降臨か…(^^;

しかしドイツの緩急の付け方がいい。この辺りのスピード感はやはり前回大会よりも上がっている。

デンマークはこのままポゼッションにつきあうと体力的に危ないだろう。しかしつき合わなければ前でボールを奪えない。デンマークのプレスが緩んできたように見える。

35分、ミュラーに対しファウル。FKはペナ直前。ポルディが浮かす。

38分、楔を入れるしか無いデンマーク。中央だけでの勝負で崩せるドイツではない。サイドへの意識を薄める為か。これを続けて後半途中からサイドに振ればチャンスはできるだろう。それをいつ狙うか。

デンマークのDFはペナに持ち込まれても突っかけない。わずかな隙をついてドリブルやスルーで持ち込みシュートまで持ち込むドイツ。一々ゴールチャンスにするところは怖いところだ。

44分、デンマークCK。こんどは短くニアへ。この辺の揺さぶりは脅威的だ。もう一つ合えばシュートまでいける。


後半。

穏やかな立ち上がり。プレスは激しくないが的確なドイツ。ラインの作り方は相変わらず美しい。デンマークがあの躍動的なサイド攻撃をいつ仕掛けられるのか。

5分、クロンデーリを絡めてサイドから。今サイドに意識を向けるのはまずい。崩し目が消えて行く可能性が高い。しかしベントナーの落としにポウルセン。枠を外す。中ならノイアーは止められなかっただろう。これは痛い。

ドイツの攻撃陣は輪を書くような動きで溜めを作りスペースに顔を出す。この動きも面白い。付いて行けばラインが乱れ、行かなければフリーにさせる。ドイツが持ち込んだ時のデンマークのラインは経時的に崩れて行く。蝶のように舞い、蜂のように刺す。

10分過ぎからドイツの攻撃はゆっくりキープの時間が増える。デンマークのラインは十分押し込んでいる。そこから加速度的にゴールに迫ろうとするがデンマークも堪える。

14分ケディラが左サイドまでドリブルを仕掛けるがフォローなし。謝りもしない。しんどいプレイはチームとして避ける方針のようだ。高い位置でひたすらキープ重視、狙えれば仕掛ける、無理はしない、そういう事だろう。こうされるとデンマークは怖いだろう。下手に空けると一気に狙われるし、追いかければ消耗する。じりじりと追いつめる相変わらずの性格の悪さ。デンマークの守備ラインは整えきれない。これだけキープしていてもドイツのDFラインは後方でじっくり待ち構えている。この辺のラインの幅の取り方は絶妙。これで間延びしないのだから。

19分、ポルディをシュールレに交代。

それにしてもドイツは外を使わなくなった。30分ぐらいから抉ってくるつもりか。いや、この試合はサイドを使わないかもしれない。2006年のワールドカップのように。この時はアルゼンチンにサイドを封じられてしまったが。結局、キープの為に叩いてもクロスは上げない。これは次以降、特にスペイン戦への布石だろう。

サイドからのクロスを徹底的に排除した内容である。21分にスルーパスからシュールレ。アンデルセン弾く。単発的な崩し。

25分、やっとこさのデンマークの攻撃。CK。もったいない。これを生かさないと攻撃の芽はどんどん摘まれていく。

27分、ミュラー、エジルが左でキープ。上げない。上げる気がない。左右にボールを振りひたすら短いパスでしか崩すつもりが無いのだろう。

マリオ・ゴメスをクローゼに。裏ではCロナウドゴール。

これを受けざわつく会場。

どうなれば勝ち抜けなのか聞き合っているのだろう。

31分、キープから久しぶりのクロス。クローゼなら上げるのか。

35分、ケディラのドリブルからエジル、エジルはクローゼに向けパス。合わないところにラース・ベンダー。これほどグダグダなドイツのゴールは初めてかもしれない。

デンマークには是非ともここから追いついて欲しいが・・・・その余力は残っているか。

38分デンマークCK。

この後ミュラーからクロース。

じりじりと時間が過ぎて行く。

45分FK。ゆっくりセット。

47分、少人数で細かくつなぐドイツ。ここはもう時間を使うだけ。

このまま終了。


ドイツ強し。

デンマークの躍動的な攻撃はほとんど観られなかった。ここまで封じ込められてはいかんともし難い処だろう。それでもベントナーは脅威だったが。依存しているという程でもないが、ドイツ相手では彼無くしては攻められない、と言った処か。

終わってみればドイツの完勝だった。デンマークは前からのプレスを愚直に続け、奪ってはサイドから攻め続けるしかボールはおろかゲームの支配を奪う事はできなかっただろう。それがフルタイムできないのは言うまでもないが。今のドイツにプレスをかけ続けられるチームなど、体力的なコンディションが十分なスペインぐらいだろう。それぐらいに狡猾に動き、速いパスを送り込んでくるのだ。これにフルタイムつき合うのは土台無理な話だ。プレスをかけ続けた訳でもないのに、デンマークは後半に入ると徐々に押し込まれた。MFの守備ラインは下がり、いっぱいいっぱいなのが見て取れた。前に出れば躱されるか、狭いパスコースを突いて楔が来るか、ターンして後ろに下げられるか、これでは前に出様が無い。常に裏を突くドイツの狡猾さ、いやはっきり言って性格の悪さだ。後半半ばにはデンマークの選手たちは完全に疲弊していた。三試合目というだけではなく、ドイツの戦術に。無論守備だけでなく、攻撃でも疲弊していた。攻め手を見つけられずまごまごしているウチにプレスをかけられてはたまらない。疲れはたまる一方だ。仮に後半ビハインドの後、ベントナーへの縦一本からゴールを割っていたとする。しかしおそらく、その後容易に突き放されていた事だろう。ドイツはこの試合、ほとんど中央からの抉りばかりの攻撃を見せていたのだ。そこでサイドに散らされていたらデンマークには為す術がない。

結果デンマークはオランダを破りながら一次リーグで敗退してしまった。あの躍動的な攻撃がこの大会でもう観られないのはいかにも惜しい。オルセンは敗退に悲観してはいないが、これは負け惜しみとは言えないだろう。攻守ともよくまとめられたいいチームだったし、ワールドカップとは明らかに違うチームだった。次のワールドカップでも是非観たいチームである。


ついでに、裏の試合についても一応触れておこう。

ドイツ、デンマークが抑え込んだCロナウドをあれだけ自由にさせる程度の守備で勝ち残れる筈が無い。前の二試合で、Cロナウドに自由はほとんど与えられず、その結果わずかなチャンスも活かす事ができなかったのだ。なのにあれだけチャンスに絡んで得点まで挙げさせるようでは勝ち残るべくも無いだろう。

まあワールドカップの決勝を汚した報い、と言ってしまおう。

わしは結構根に持っているのだ(笑)

WC、そして今回のオランダから美しさは感じられなかった。オランダは美しい、それはもう幻想なのかもしれない。