2006年12月15日(於:淑明女子大学)
日本の消費者教育の現状と課題
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日本女子大学家政学部
細 川 幸 一
1.日本における消費者教育の始動
戦前の状況
節約=美徳、消費=浪費という文化
戦 後
●生産性本部の海外調査⇒「消費者教育委員会」の発足
⇒「日本消費者協会」の設立へ 雑誌「買い物上手」→「月刊消費者」
●1963年「消費者保護に関する答申」(国民生活向上審議会)
1966年「消費者保護組織および消費者教育に関する答申」(国民生活審議会)
●1968年「消費者保護基本法」制定 ⇒消費者教育の推進の方向性を明確化
●1970年代 消費生活センターの設立が相次ぐ
●1980年 消費者関連専門家会議(ACAP)設立
●1981年 日本消費者教育学会設立
2.学校における消費者教育
●1986年 国民生活審議会が教育課程審議会へ「学校における諸費者教育へ」と題する要望書を提出
●1989年の学習指導要領⇒社会科、家庭科に消費者教育が盛り込まれる
●1990年 財団法人消費者教育支援センター(内閣府・文部省共管)
●1998年の学習指導要領⇒ゆとり教育のため、消費者教育項目が減少
●2004年 消費者保護基本法改正⇒消費者基本法
→消費者教育を受ける権利が明確化
→消費者基本計画の策定・・・消費者教育の推進
(消費者教育学会から内閣府等へ要望書)
● 数年後の学習指導要領はどうなるか?⇒重要
3.生涯教育としての消費者教育
●1970年代から消費生活センターを中心に講座開設、相談処理等を通じて消費者教育
●消費者基本法により生涯にわたる消費者教育の重要性が認識
●内閣府を中心に「高齢者見守りネットワーク」が発足
4.消費者教育の問題点
●学校教育
☆教育項目、時間の少なさ
☆受験中心教育の弊害・・家庭科を受験科目にしている大学なし
社会科は地理・歴史中心
☆教員の能力不足・・家庭科→食物、被服、住居等を専門
社会科→日本史、世界史、地理等を専門
☆体系化の難しさ・・刻々と変わる消費者問題
☆闘争としての消費者運動のイメージ
●生涯教育
☆消費生活センターを知らない若者
☆契約概念がない高齢者→判断不十分者契約等の増大
☆高齢者のみの世帯の急増への対応
5.まとめ 〜弱い者いじめの時代の消費者教育
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