外国人に教えるべき日本人のマナーはあるのか


  ある大学関係者からこんな話しをしていた。かつては日本に来る留学生に日本でのマナーを教えており、例えば、
「日本人は歩きながらものを食べることはしませんから注意してください」と指導していたのだという。しかし、今はそん
なことは教えない。教えられない。そんなマナーはなくなってしまったからだ。「日本人は人と会ったときにおじぎをしま
す」。そんなことも言えなくなってきた。

  地べたに平気で座り込む高校生、異常に短い女子高生のミニスカート(韓国人が目を丸くして驚く。「なぜ親は叱ら
ないのか」と)。電車の中での授業中でも平気で化粧する若い女性。若者だけではない。最近、電車の中で席をゆずっ
たり、つめたりする人がとても少なくなった。シルバーシートに親子連れが座っており、お年寄りに席を譲らないといった
光景も良く見る。最近、お年寄りの万引きが増えているそうである。捕まって注意された高齢者がこう言うのだという。
「いつも買っているのだからたまにはいいじゃない!」

  この国からは「はじらい」とか「たしなみ」、あるいは「つつしみ」といった言葉はなくなってしまったのであろうか。そう
いえば、「躾」という文字もめっきりみなくなった。こんなニュースにも接した。未成年と知りながら中学生にたばこを販売
したとして、未成年者喫煙禁止法違反容疑で守口市のたばこ店経営者の女性(79才)が逮捕された。女性は「たばこ
を売るのが商売なので、客が大人でも子供でも売るのは当然」と話しているという。 

 一体何から、あるいは誰から教育すればよいのだろうか。


細川幸一






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