高級おせち料理はどこで作られるのか?



  年末になって、高級おせち料理の通信販売広告が目立ってきた。京都の高級料亭○○庵のおせちだとか、○○ホ
テルの中華おせち等々、値段も5万円近くするものも多い。
  しかし、これらのおせち料理は本当にその名店で料理されるものなのだろうか? 耳を疑う事件が今年2月に発覚し
ている。

  福岡県警生活経済課と博多署が、高松市の大手通信販売会社「セシール」が有名料理店「二○家(にわけ)」の商
品と偽ったギョーザを販売したとして、同市の本社や関連会社など18か所を不正競争防止法違反容疑で捜索した事
件である。調べによると、セシールは、2004年夏号のカタログに、「行列のできる有名店の味、最強の餃子」「東京・四
谷二○家・羽根付き一口餃子」などと表示しながら、別の業者の製品を販売するなどした疑いがもたれた(読売新聞に
よる)。同社は日本通信販売協会(JADMA)の会員企業であったが、半年間の会員資格停止処分が下された。
 
  本件については、2月16日にセシールから「餃子食品に関するおわび」という文書が出されているが、その説明を読
んで驚いた。有名料理店で作った餃子でないことを詫びるのではなく、有名料理店の了解を得ないまま、同店の名前を
冠した餃子を販売していたことを詫びているのだ。つまり、消費者は「○○店の料理」という広告で通信販売がなされて
いればその店の調理場で調理された、そのお店で提供されている料理と同等品が販売されるものと思っているが、実
はそのお店の名前の使用許可を得て他の商品会社等が製造するのが業界の常識のようである。
 
  いくつかの通信販売のおせち広告をみてみたが、そのあたりが明確にされていない。「○○ホテルシェフ監修」とい
うような表示があったが、これはそのホテルの調理場で作るものではなく、そのシェフの指導下でどこかの食品会社が
製造するものであることを示しているのであろう。

 消費者はもっと賢い目で通信販売を利用する必要がありそうだ。


細川幸一

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