相変わらずの新聞訪販


  自宅にいて、Y新聞の勧誘を受けた。私は現在、A新聞を購読しており、いつもは無視しているのだが、最近A新聞
は不祥事続きだし、生活面があまり面白くないので、Y新聞訪問販売員の話を聞いてみた。
  

  はじめから景品の話で、本当はビール券10枚が限度だが、15枚つける、それに洗剤どっさりと遊園地等が無料にな
るクラブの会費もただにするから6ヶ月契約してほしいという。新聞なんてどこも同じだから、6ヶ月ごとに契約をかえて、
毎回1万円ほどの景品をもらった方が得だとアドバイスまでしてくれる。

  現在、新聞の景品類の提供については、景表法第3条の規定に基づいた公取委の告示「新聞業における景品類
の提供に関する事項の制限」及び、新聞公正取引協議会による「新聞業における景品類の提供の制限に関する公正
競争規約」が景表法第10条の規定に基づき認定されており、「取引価格の100分の8又は6か月分の購読料金の10
0の8のいずれか低い金額まで」とされている。

  しかし、現状は新聞業界にとってはコンプライアンスなどどこ吹く風のようである。なぜならば、新聞各紙が新聞業界
の問題点を記事にして、社会問題として指摘することはほとんどないし、またマスコミの一翼を担うテレビ局も多くは新
聞各社との系列関係にあるから同様である。批判されることを知らない「社会の公器」は安泰である。


 それにしても新聞大手の顧客確保戦略は理解できない。通常はお得意様、長年の愛顧者に利益を供与するもので
はないか? 10年、20年一紙を愛読している顧客は感謝されず、6ヶ月ごとに契約を結ぶような移り気な消費者が得を
するのが今のやり方だ。

細川幸一


参照:国民生活センター「身分を偽りドアを開けさせ、しつこく勧誘する新聞勧誘員」




追記(2006.7)

  新聞販売の「特殊指定」は、新聞の地域別定価や値引きを禁じ、独占禁止法の適用を除外する制度であり、新聞
社が販売店に小売価格を指定できる再販制度とともに、新聞の宅配制度などを支える根拠になっている。公取委は
「新聞の特殊指定は価格競争を禁止しており、維持は消費者利益の観点から問題がある」と主張し、見直しを進めて
きた。

  しかし、新聞業界は「新聞は国民の『知る権利』に欠かせない商品で、経済原理だけで判断されるべきではない」な
どと反対していた。この問題に対しての新聞各紙の記事はフェアではない。とくにY新聞は「特殊指定」の必要性を大々
的に報道し、「特殊指定」見直し反対の立場を取る国会議員の動き等を一方的に報道してきた。

  結局、公取委は6月2日、指定廃止を見送り、当面は維持することを発表した。「新聞業界との議論に進展がなく、
各政党からも存続するように要請されたため」と理由を説明している。Y新聞は公取委の決定の翌日の3日になってこ
の決定を詳細に報道しているが、ここではじめて、マスコミらしく「論点を検証」し、新聞業界にとって辛口な論者の意見
も掲載している。報道機関の姿勢としていかがなものか。


 参照:公正取引委員会2006年6月2日発表資料「特殊指定の見直しについて



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