ちぐはぐな食品表示

  大手菓子メーカーF屋のカステラを買った。包装には100グラムあたりのカロリー数表示があった。ところが内容量
の表示にはカステラ○個というような個数表示しかないのである。したがって、自分が食したカステラが果たして何カロ
リーあるのかを知るためには、その重さを量り、計算しなければならないのである。このおかしい表示を疑問に思い、
同社に手紙を書いたが何の連絡もなかった。

  結局、私はこの問題を疑問に思ったまま放置してしまったが、ニッポン消費者新聞(2005年6月1日付)がこのちぐは
ぐな食品表示について扱っている。内容量は農林水産省がJAS法の基準に従って表示することを義務付けている。し
かし、JAS法では内容量の表示はグラム単位などの重量で表示する方法のほかに、「一個」「一食」「一人前」などの数
量表示も可能となっている。一方、栄養成分表示は健康増進法に記載方法の基準があり、所管は厚生労働省である。
表示は任意である。表示は100グラムまたは100ミリリットルあたりの栄養成分を記載することになっているが、「一食
分」「一枚」「一粒」等の数量による表示も可能となっている。

  なぜ、私が経験したような表示が存在するのか? 同新聞が取材したあるメーカーでは、一個当りの重量に誤差が
あるために、内容量表示では個数を、栄養成分表示では100グラムあたりのカロリー数を表示していると回答したとい
う。

  食品表示における農林水産省と厚生労働省の二重行政の弊害がこうしたところにも現われているのであろうか? 
そういえばこんな話もある。水道の安全性についての監督官庁は、公道下を通っている水道管については厚生労働
省、私有地にある水道施設は住宅設備の一部ということで国土交通省、蛇口等の工業品の問題になると経済産業省
なのだという。縦割り行政の弊害はまだまだある。


細川幸一



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