中国の女子大事情


  先日、タイの行政関係者に手紙を書いた。勤務先が Japan Women's University であることを告げたが、予想外の
返事があった。Women's Univerisity とはどういう意味か? 先生が全員女性という意味か? そう質問するのである。
女子大がない国も多いことにそのときに気づいた。

  同氏に本学の建学理念を紹介し、女子大の現状を紹介したら、かなり関心を持った。そういえば、中国にも女子大
学はないということを聞いたことがあった。なぜないのか? 伝統的にないのか? 共産党政権によって廃止されたの
か? 興味がわいた。以下にその概要を記す。

☆1949年以前
  中国初の女子大は1904年に創設した華北協和女子大学(北京、米国キリスト教系の学校)。
  そのほか、1905年には、華南女子文理学院(福建省福州市、米国キリスト教系)、1915年には金陵女子大学(後に
  金陵女子文理学院に改名、南京市、米国キリスト教系)が設立。
  初の国立女子大は1919年に創設した北京女子高等師範学校、その後各地で次々と国公立の女子師範学校が創 
  立された。

☆1949年〜文化大革命勃発まで
  1950年代になるとソ連の大学システムを手本に大規模な大学統廃合が行われた。学者を育成することではなく、労
  働者としての職業訓練が重要視されたため、法科、医科、工科等多くの単一目的の大学が誕生した。私立大学は
  次々と政府が接収し、教育の国有化がはじまる。民族の独立・無神論を標榜する共産党政権にとって、西側の教会
  勢力が作り上げた女子大は許しがたい存在でとなる、1951年、名門の金陵女子大学は金陵大学に吸収され、女子
  大の姿は中国大陸から消える。しかし、女子中学、女子高校の一部は文化大革命勃発寸前の1966年までに存在し
  た。

☆1967年〜1978年
  女子校ゼロ状態。78年に統一試験による入学選抜制度の復活。大学入試は難関中の難関に。


☆1980年代前半〜1990年代末
  一部の名門私立女子大が復活。1984年、福建華南女子大学(元華南女子文理学院、1905年創設)、1987年、南京
  師範大学の一部として、金陵女子学院(元金陵女子大学、1915年創設)が復活。
  国立女子大として、中華女子学院(北京市)があり、全国婦女連合会の下におかれ、国の財政支援で運営される。


☆1990年代末〜現在
  99年から大学「拡招(生徒規模拡大)」政策の結果として、大学の規模は急速に膨張した。一部の総合大学は大学
  内部に「女子学院」の形で女子専門教育を始めた。2000年4月の上海師範大学女子文化学院、2000年7月の同済
  大学女子学院、天津師範大学国際女子学院など。

  (本情報は、一橋大学大学院法学研究科博士課程周勇兵氏による)


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