14歳で描き始めた時、頭の中では映画だったPALM。
そもそも漫画の絵が得意だったわけではなく、お手本にしたい漫画もなかったため絵のデザインもなかなか決まらず、デビューしてからもさっぱり画風が定まらないまま、どうにかこうにか40年以上も連載を続けさせていただいてきました。
おかげさまで一人前の漫画家として世の中で扱っていただけている今も、漫画も本も読まないのに映画は好きなものは何回も繰り返して観る毎日。
登場人物が生身の人間で、音や動きに溢れたPALMは、永遠に自分だけが見て、誰とも分かち合えないものなのか?
シナリオを書かせていただいたのをきっかけに、成り行きで映画AppleEye監督になった時、心の奥底で不可能が突然可能になったと知り、(素人だから当然)絶対無理!という周囲のオーラそっちのけで、猛爆走。
毎秒「今死んでも構わない」という開放感のうちに完成した作品です。
おかげさまで観た方に喜んでいただき、さらに外国のフェスティバルで賞をいただくなどの栄誉も賜りましたが、(特にPALMの読者の方には)出来がどうこういうよりも、とにかく素朴にこの奇跡を分かち合いたい、というのが獸木の本音です。
また本作品では三人の才能豊かな俳優さんたち、たくさんの魅力と個性に溢れた出演者の皆さん、メイクアップ・アーティストさん(兼出演)などが、惜しみなく力を注義、文字通りキャラクターや作品に命を吹き込んでくれていますが、この人たちもまるで運命のように、様々な理由での交代劇や、時には大きなトラブルによって結果的に参加してくれることになった人たちばかり。
彼らがご自身の最も素晴らしい部分、光り輝く姿を自らの力で映像に刻んだことで、出ている人が全て本当に魅力的なことが、自慢の一つの映画となっています
この一作目のAppleEyeに続き、二作目の企画も現在上がってきていますが、何しろ獸木はこの作品を手がける数年前から何度か死にそうになっている身。そもそも一つ映画を作れただけでもとんでもないこと。これらの奇跡を参加してくれた皆さん、そして見てくださった皆さんと分かち合えたことに、本当に心からの感謝を捧げます。
2025年4月28日
獸木野生