一口にクラリネットと言っても、小さなクラリネットから大きな
クラリネットまで沢山の種類のクラリネットがあるんです。
我々が使用している種類は5種類(Es・Bb・Alto・Bass・Contra Alto)です。
管楽器の仲間の中では比較的若い楽器です。
歴史
■シャリュモーからクラリネットへ
クラリネットという楽器については、1690年から1707年の間に、ドイツのフルート製作者デンナ
ーによって作られた、というのが定説になっている。こうした新しい物が作られる至る底流とし
て当時あった楽器の中で、シャリュモーというのがある。これはクラリネットの約半分ほどの長
さで、内径は約15mm(現在のクラリネットとほぼ同じ)の円筒管であり、1枚のリードで鳴らす
縦笛であったという。この種 のシャリュモーは当時フランスで何種類かの大きさ(調子の異な
った物)ものもがあり、グローヴ音楽辞典によると、すでに1704年にジアニ(M.A.Ziani)という人
の作品の中にin Aのものが用いられた事実がある。これらの調子の異なったシャリュモーの
原型と思われるものとして、「とうもろし」の茎や、ケーンで作られ、笛の本の上端に切り込み
を入れて「作り付けのリード」として、3個のフィンガーホールを持ったものが民族楽器としてあ
った。これは古代のシャリュモーと呼ばれているごく幼稚なものであったが、これを前記の
各種シャリュモーとして、音楽作品の使用に供し得るものに改良した人が、デンナーであった
と考えられる。すなわち当時フルートと言われたものは、現在の横笛ではなくリコーダー
すなわち縦笛であり、その専門メーカーであったデンナーがこれ(シャリュモー)をツゲの
木材で作り、本体とは別個のリードを吹き口に取り付ける様式にし、8個のフィンガーホール
と2つのキー鍵を取り付けたということなのだろう。この2鍵というのは、現在のクラリネットの
左人差し指のAの鍵と左親指(楽器の裏側)B♭の鍵に当たるものあり、円筒管であるため
に長さに比較して音域も広かったといわれる。デンナーが、民族楽器としての素朴な
シャリュモーの音域をのばすために試みたこの2鍵の発明こそが、後のクラリネットにつな
がってくることは確かな事なのだが、ここで興味のあるのは、グローブによると、グルックの
オルフェオやアルチェステという作品のそれぞれ1762年と1767年のウィーン版スコアに、
明らかに音域は狭いのだが、クラリネットのパートがあって、「バス・シャリュモー」と記されて
おり、それが普通のソプラノ・クラリネットの低音域に当たるものがある。もしこれらの
オーケストラのパートが、デンナーの2鍵クラリネットを意味するらば、短命ではあったが、
もっと素朴なシャリュモーという楽器が存在した証となるものだ、ということである。
この辺の事情で考えられることは、前述のように、すでにいく種類かのシャリュモーが
存在し、デンナーがそれら各種に2個の鍵を装備し、音域をひろげその内の低音のものが
初期のクラリネットに移行すると言う事である。すなわち型は多少変わってきながらも
フィンガーホールや、鍵の数は同じであることなどから「低音シャリュモー」は初期の
クラリネットとほとんど同一のものであるという推測が成り立つのではないか、
ということである。・・・
つづく