絵日記ログ・ルーカス紹介5
 じゃあルー君第三部の続きー。

 かぐやんがルー君の所へ来ない日が何日か続きました。ルー君は流石におかしいと思い始めます。何かかぐやの気に障るようなことを言ってしまったのかも知れないと、アレコレ考えてみるのですが、思い当たりません。しかしルー君は自分が乙女心を解すのが上手くないらしいということを学習したので、自分が見過ごしている点もあるかも知れないとも思います。これだけ考えてみて分からないならかぐやから指摘して貰うしかないと、ルー君はクレアに連絡を取って魔王城にかぐやに会いに行きたいと頼みます。
 ルー君は軟禁されている身の上なので、自由に外に出られません。外出は魔王都の中だけ、しかもクレアの監視付きという条件です。魔王城は魔王と魔界の空間を安定させるためのシステムがある要所なので、敵であるルー君は魔王城には簡単にはいかせてもらえません。
 ルー君は、クレアと関わるのは面倒だなあと思っていました。クレアはルー君を敵視しており(それは当然のことなのですが、他の魔王城のメンツは平和ボケしてるのであんまりルー君を敵視しないのです)ルー君に何かたくらみがあるのではといつもいぶかっているのです。だからルー君はあることないこと詮索してくるクレアがうっとうしいと思っていたし、面倒だなあと思っていました。しかし背に腹は代えられないのでクレアに頼みました。
 するとクレアは不思議な顔をして、かぐやはもう魔王城にはいないと言うのです。先日、天帝が天界に帰ることに成功し(天帝はルー君がはった結界の所為で天界にたどり着くのにかなり時間を要しました)、魔王城にいた天使達はみんな天界に帰った、と言うのです。クレアはかぐやが天界に帰るという話を、本人から聞かされていなかったのかと言います。
 ルー君は愕然としました。魔王城なら、まだクレアに頼めば連れて行ってもらえる可能性があるけれど、天界となったら話は別です。天界は魔界からは遠いし、軟禁されている身の上ではきっと天界まで行くのは許されないだろうと思ったのです。
 ルー君は自分がかぐやに捨てられること自体は、それほど恐れてはいません。かぐやが自分を選んでくれなかったとしても、それは仕方ないと思っています。だけどもし、自分の所為でかぐやが傷ついたり、悲しい思いをしていたとしたら、それだけは謝りたいと思っていました。
 クレアはルー君がビックリしているのを見て、かぐやがルー君に天界に帰ることを告げていなかったことを知ります。恋人同士なのにずいぶん素っ気ないんだなあと思いますが、まあ、他人事なので知りません。そういえばイリジャは彼とかぐやと仲が良かったよなあと思って、魔王城に戻ってイリジャにセカンドのヤツめっちゃビックリしてたよと話します。
 イリジャは、かぐやが突然記憶を取り戻し、ショックを受けていたことを知っていました。かぐやの心がぐちゃぐちゃで、かぐやがとりあえずルー君から距離をとろうと判断したことも、知っていました。でもイリジャはかぐやがルー君に断りを入れていなかったことまでは知らなかったのです。
 イリジャはルー君がかわいそうだと思って、様子を見に行きます。イリジャがルー君の部屋に行くと、ルー君は気丈に振る舞うのですが、イリジャにはルー君の混乱した様子がよく分かります。その内、ルー君は心が読めるイリジャに、空元気を見せても意味がないよなあと思って、イリジャにかぐやに会って謝りたいと思ってると漏らします。
 イリジャは少し考えて、謝ったあとはどうするのかと聞きました。ルー君は、その後はかぐやがどうしたいか聞いてそれに従うと言います。かぐやが自分と共にいないことを選ぶなら、自分はこのままこの部屋でひとりでいると言います。
 イリジャは、かぐやと付き合っている間中、ずっとそういう風に、かぐやにフラれたらそれで構わないと思っていたのかと聞きます。ルー君は、そうだと思うと答えます。
 イリジャは、多分それじゃあ、きっとかぐやんはつまらなかっただろうと思うと言います。ルー君はイリジャの言うことが分かりません。イリジャは、ルー君はもっとかぐやちゃんに自分を選んで欲しい、自分こそはかぐやちゃんを幸せにするよ!って言わなきゃだめだよと言います。捨てないで欲しい、何も言わずに置いてきぼりするなんて非道いって言わなきゃだめじゃないかと言います。
 イリジャにそういわれてもルー君はまだもごもごしてます。イリジャは、ルー君がかぐやちゃんに会いたいなら、私からもクレアちゃんやアイミさまに頼んでみるよ、と言います。とりあえず一晩ゆっくりかんがえなよと言って去っていきます。
 ルー君は言われたとおりに一晩ゆっくり考えてみます。確かに、自分はかぐやに対して受け身で消極的だったなあと思います。それは自分がエリの部下として最初から運命づけられて生まれ、エリのために生きてきたからなのだと思います。だから自分から何かしたいと望むことはほとんどなかったし、誰かが望んでくれなくては何も出来なかったと思うのです。だけど、自分は誰から与えられたのでもない、自分だけのルールを設け、それに従って生きようと決めたのでした。そのルールは、かぐやを幸せにすること、でした。
 自分はかぐやに会いたいのだろうかと自問して、会いたいと思いました。かぐやが天界で幸せなら、それで構わないとも思うけれど、でも、本当に幸せかどうか会って確かめたいと思いました。かぐやが自分の所為で傷ついているなら、謝りたいし、かぐやの傷が癒えるようになんでもしようと思いました。
 イリジャはクレア・アイミ・ハヤトに事情を話して、ルー君を天界に連れて行くか、かぐやんが魔王城に来るかして、とにかくルー君をかぐやんに会わせて欲しいと頼みます。聞くも涙語るも涙のふたりの悲恋に、ハヤトとアイミは感涙します。(オイ) アイミさまが涙を流して、ルー君がかわいそうだからかぐやんに会わせてあげようって言うので、クレアも仕方ないなあと折れます。とりあえず、天帝と連絡を取って、ルー君がかぐやんに会いたがってると伝えて貰うことにしました。

 ルー君が一晩ゆっくり考えて朝になると、ハヤトがルー君の所に来て、天界に行く準備は出来てるよ☆と言います。ルー君はあまりの急展開にビックリしますが、ハヤトに連れられてとりあえず魔王城へ行きます。
 ルー君は天界へ行くにあたり、かぐやだけでなく、自分が傷つけた天使達及び天帝と顔を合わせなくてはならないことに、胃が痛くなりました。しかし自分のしたことに責任をとらなくてはならないと思い、気を奮い立たせます。イリジャはルー君に、大丈夫、頑張れ、と声をかけてくれました。そうしてルー君はハヤトに連れられ、魔王城から天界へ行きます。
 天界でまず待っていたのは、天使の水無と弥生でした。水無はルー君が殺した葉月の無二の親友であり、弥生は葉月の恋人でした。ルー君は二人に謝って、どんな償いもする覚悟があると言います。
 弥生がルー君にくってかかろうとするのですが、それを水無が制して「何をしたって葉月は戻らないよ」といさめます。水無はルー君に向かって少し笑うと、その次の瞬間、すごい勢いでルー君を殴りました。水無は、ルーカスを殴っても、例え殺したとしても、葉月は戻らない、葉月の死を償うことなんて誰にも出来ないし、自分にそれを償わせる権利があるとも思わない、今殴ったのは葉月のことじゃなくて、ルーカスのことを友達として好きだったのに、ルーカスがそれを裏切った、裏切られた自分の気持ちの分だ、と言います。そして水無は、殴られて倒れていたルー君に手をさしのべて、今のでチャラだから、また友達になろうと言います。ルー君は、ビックリしてましたが、水無に赦してもらえたのだと、嬉しくて水無の手をとります。弥生はまだ整理がつかないようで、複雑な顔をしています。
 次にルー君は天帝に会います。ルー君は天帝にも謝って、どんな報いも受けますと言います。
 天帝は、お前は優秀な部下だった、そんなお前が天界からいなくなってしまったことが悲しいと言います。ルーカスは優秀で、他の天使達には出来ないことでも、ルーカスなら出来るということがいくつもあった、と言います。そして、今また、他の人間には出来なくて、ルーカスにしかできないことがあると言います。世界中のどんな人間にも出来なくて、お前にしか出来ないことだと、天帝は言います。
 天使のカズマが来てかぐやのところに案内するからと、ルー君は天帝の部屋から連れ出されます。
 カズマは幼い頃からかぐやに片思いをしていました。カズマにとってかぐやは憧れだったし、ルーカスは恋敵でした。ルー君はカズマがかぐやを想っていたことを知っていたので、申し訳ない気分になります。
 カズマは、ルー君に天界に戻ってからのかぐやの様子を教えてくれました。かぐやは元気がなく上の空で、時々堰を切ったように泣くことがあると。カズマは自分は元気で賢くて責任感が強く、ハッキリものを言うかぐやが好きだったと言います。今のかぐやはまるでかぐやじゃないと。自分はそんなかぐやが、もとのかぐやのようになるために何も出来なかったと言います。カズマは天帝の言っていた言葉をもう少し具体的に言ってくれました。つまり「かぐやを幸せに出来るのはお前だけだ」と。
 ルー君はついにかぐやと会います。かぐやはルー君の顔を見ると、泣いて謝りました。ルー君はかぐやの記憶が戻ったこと、かぐやがルーカスに辛い思いをさせていたと気付いたこと、を知りました。かぐやは、記憶がない間、無神経なことをしたとルーカスに謝ります。そして何も言わずにに天界へ帰ってきてしまったことも申し訳なかったといいます。
 ルーカスは、かぐやが記憶を取り戻しその混乱とショックで、自分との距離をとったということを知って、安堵します。自分が何かした所為で、かぐやを傷つけてしまったのではなかったのだと思い、そして自分はかぐやに見限られたのでもないと分かって、よかった、と思うのです。
 ルー君はその時になって、イリジャが言っていたことが分かりました。やっぱり、自分はかぐやに捨てられるのは悲しいし、かぐやの側にいたいと思いました。
 そしてルー君は、かぐやの隣で感じる苦しみなら、それはそれで構わない、自分はかぐやが隣にいない方がずっと苦しかったと言って、どうか魔王都に戻ってきて欲しいと頼みます。きっと幸せにするから、と。
 かぐやはルーカスの言葉を受け入れ、ふたりは魔王都で共に暮らすことになりました。

 めでたし、めでたし。

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