絵日記ログ・エリ紹介10
 さて、記憶喪失で魔王城へ避難していたかぐやんの目の前に、突然、ファーストを抱えたエリさんが降ってきます。かぐやんはビックリして、人を呼びます。「きゃーだれかーだれかー」w
 魔鏡に攻撃され、移動の魔道で魔力も消費してしまっていたエリさんは、あっけなく魔王陣営に捕まってしまいます。ファーストを取り上げられ、エリさんは魔力を封じられて魔王城の一室に閉じこめられます。

 さて、魔王陣営は、捕まえたエリさんとファーストをどうするかの話し合いになります。
 アイミは、ファーストは修理して、エリさんは魔力を封じて軟禁が妥当だろうと言います。エリやファーストにも更生の機会が与えられるべきだと。自分はファーストにエリを助けると約束したとも言います。
 クレアは、ファーストを廃人にしてしまった時、自分もダメージを受けていました。正確に言うと、ファーストの記憶の一部を自分の方に引き入れてしまったのです。ファーストの辛い思いを知ったクレアは、エリを必ず倒すべきという考えを改めていました。
 夜月やイリジャのこともあるしということで、エリさんは軟禁、ファーストは修理ということで話が落ち着きます。

 エリさんは敵の手に囚われたこと、またファーストが手元からいなくなってしまったこと、そしてサードに裏切られたことなどで、すっかりふさぎ込んでしまいます。そんなエリさんの身の回りのお世話係に、夜月が任命されます。

 ファーストの方は、運命システムからファーストの記憶を呼び出して移植するという修理方法をとることになりました。そしてそれを出来る人物は、世界に一人しかいません。
 精神を統べる者(マインドマスター)と呼ばれるエイジ君です。エイジ君は忘却の民(イエローヒース)の最後の生き残りであり、魔王の協力者であり、運命システムのもう一人の魔力供給者です。
 エイジは気むずかしさんでわがままでとにかく非協力的で、普段は魔王城にはいないし、運命システムに魔力供給するのも、ケイタがバテた時だけです。他人の精神を細かくいじるなんていう面倒な作業は絶対やりたくないと思っているのですが、アイミに言いくるめられて、ファーストの修理をすることになります。

 夜月は、エリを傷つけてしまったことを悔いていて、もう一度エリにあいたいと願っていました。突然だったけれど、再会が果たされて、夜月は勇みます。今度こそエリを幸せにしてあげようと思うのです。
 夜月はエリと出会うまで、誰かと仲良くなったり相手のことを本気で想ったり考えたりするということがない子でした。だからエリがどんなに救いがたいメンヘラーでも、夜月にとっては初めて親しくなった大切な人なのです。
 夜月はエリさんがちゃんと生活出来るように、ご飯を作ったりお風呂を入れたりせっせとお世話するのですが、エリの方はというとふさぎ込んでいてちっとも夜月に構ってくれません。
 夜月はだんだん不安になってきます。自分にとってはエリさんは初めてで唯一の人だけど、エリさんから見た自分はどうなんだろう、と。エリさんにとっては、夜月よりファーストの方が重要人物なのでは……という考えが浮かんで、夜月はいたたまれなくなります。
 夜月は夜エリさんのベットに潜り込んでおねだりしてみるのですが、エリさんは無反応です。夜月は悲しくて、泣き寝入りします。

 エリさんはウロチョロ頑張ってる夜月を見て、そして泣き寝入りしている夜月を見て、だんだん夜月のことを不憫と思うようになります。
 自分はどうしたって夜月からは敵だし、救いようがないくらいひん曲がってるし、傷つけることしか出来ないのに、何故この子はしっぽを振ってすり寄ってくるのか、それが分からない……。だけど本当はエリもよく分かっているのです。だけど信じられないのです。夜月が本当に自分を想ってくれているなんて、エリには到底信じることが出来ないのです。夜月は少年故の浅慮で、幻想を抱いているだけだと、エリは自分に言い聞かせます。
 夜月は例えエリさんから特別に想われなかったとしても、エリさんのために一生懸命お世話しようと思って、毎日楽しくなるように頑張ります。
 エリさんの目には夜月の一生懸命はなんだか空回りのように見えました。エリは夜月が不憫で、なんでこんな空元気のようなことをするのか、と言います。
 するとずっとエリさんに想われないことを辛く思っていた夜月は、泣き出してしまいます。エリさんのためにやってるのに、エリさんのことが大好きなのに、なんで分かってくれないの、受け入れてくれないのと泣きます。
 エリは夜月が突然泣くので、何がなんだか分からなくなってしまいます。夜月は、エリさんが望むならなんだってする、と言います。エリはそれを聞いて、本当に?と思います。
 エリの脳裏に、夜月をずったんぼろんにするイメージがよぎりました。泣いて許しを請う夜月の姿を見てみたいと感じてしまったのです。一度そう思ってみて、エリは自分の考えにゾッとします。結局自分は、痛めつけることしか出来ない人間なのだと思い知ってしまうのです。

 だてでんつづきー。
 魔鏡君のターン!
 魔鏡君はエリさんを殺そうと思って攻撃を仕掛けましたが、エリさんに逃げられました。
 魔鏡君はエリさんから自由になりたいと考えていました。そのためには、まずエリさんの情報を得てエリさんに化けること、その次にエリさんを殺すこと、この2ステップで魔鏡君は自由になれるのです。エリさんをコピーしてもエリさんが生存したままなら、エリさんが「命令」する→「命令」を魔鏡君がエリさんの能力でキャンセルする→エリさんが再び「命令」する→……という合戦が続いてしまうからです。
 魔鏡君は、エリさんに化けて、まずエリの「命令」でエリを守るであろうフォースを、エリさんの能力を使って「命令」で排除しておき、エリさんを襲いました。しかしエリさんは最後の力を振り絞って逃げてしまいました。
 魔鏡君はとりあえず深追いはしませんでした。自由になるにはエリさんを殺すのがベストだけど、エリさんに会わないという手もあるからです。
 魔鏡君は遠くに行っていたフォースと合流し、エリに化けたまま、コレからは自分の言うことを聞くように、と言います。フォースは魔鏡をマスターと呼ぶようになります。以降、魔鏡君はフォースを配下に置くためにずっとエリさんに化けたままです。
 魔鏡君は情報収集をして、エリさんが魔王城に囚われたこと、セカンドが死んだらしいということを知ります。とりあえず、魔鏡君はエリさんのそれまでの根城を捨てて、狭間の別の場所に自分の根城を築き潜伏します。
 魔鏡君はこれからどうしようと考えます。エリを殺せればベストですが、エリは魔王城に囚われの身。魔王城に忍び込むのはそう簡単ではないし、エリは魔力を封じられて軟禁されているのだから、魔鏡やフォースに「命令」できないわけで、むしろ魔鏡君としては文句ないわけです。
 しばらく魔鏡君は何をするでもなくフォースと暮らします。
 魔鏡君はいずれフォースを配下に置こうと思っていて、そのためにフォースに近づいて仲良くなっていました。フォースの方は自分が魔鏡をサポートするのだという気持ちで、魔鏡を受け入れ、魔鏡を魔鏡と呼んで、真摯に想っていました。魔鏡君も、下心があって近づいたけれど、フォースの真心に惹かれていました。
 しかし、魔鏡君がエリさんに化けて、フォースが魔鏡君をマスターと呼び従うようになってから、二人の関係は変わってしまいました。フォースは相変わらず真面目で、魔鏡の言葉に真摯に応えおつとめしてくれるのですが、魔鏡はなんだか複雑な気分になります。
 フォースが自分についてくるのは、ただ自分が「命令」しているからだと感じ、そのことが辛くなります。魔鏡君がまだフォースから魔鏡と呼ばれていた頃、二人の間には友情みたいなものがあったはずなのに、今主従関係を結んでしまった後はもうそれが霞んで見えなくなってしまったのです。
 フォースは、変わらず魔鏡のことを想っていました。だけど、魔鏡の方は、フォースのこころを信じられなくなってしまったのです。
 魔鏡君はやがて鬱々としていき、またエリさんの情報を得てエリさんの記憶と身体にずっと化け続けるうちに、エリさんの「世界を滅ぼして自分も死にたい」という考えにだんだんとりつかれていきます。
 魔鏡君はやがて、フォースを使って、世界の空間を不安定にする工作を始めます。

 魔王陣営は、魔鏡君の世界滅亡工作にビックリします。魔王近衛隊は、フォースが空間に歪みを呼ぶと、そこへ駆けつけて、フォースを追い払って、空間を安定させるというようないたちごっこをしばらく続けることになります。
 クレアはエリに問いつめます。エリは魔力を封じられて、魔王城にいるのに、どうやってサードやフォースに「命令」したのか、と。
 エリさんは、その話に驚きます。そして、自分は「命令」はしていない。むしろサードは自分に離反して寝首をかこうとしたのだと告げます。
 エリさんはクレアが話してくれたことから、魔鏡君の今の状態について予想します。サードが自分に化けたことから、フォースはサードに付き従っているであろうという予想。そして、もしかしたら、自分に化けた所為で、サードのこころが歪んでしまって、世界を滅ぼそうと考え始めたのではないか、という予想。
 そしてその予想を、エリさんはクレアに話します。

 エリさんは魔鏡の行動に、動揺します。自分自身が世界を滅ぼそうと思っていた時は、何も感じなかったのに、自分の造り出したサードが、世界を滅ぼそうとしているのだと聞いて、なんて馬鹿なことを……と感じたのです。
 エリさんは、ファーストが壊れてファーストへの強い想いを思い知らされ、それと同時に、自分の寝首をかこうとしていたサードが、きっと自分から自由になりたかったのだろうと言うことに思い至り、また天界で作戦を実行させた後どうなったか分からないセカンドへの心配、サードに付き従っているらしいフォースへの心配……そういった感情が自分の中にあるのを知って、自分は彼らをどう思っていたのかと問うようになっていました。
 エリさんは4人のことを思って泣きました。自分の野望のための手駒として生み出した彼らですが、エリさんは自分の中にそんな彼らにも幸せになって欲しいという気持ちがあるのを知ったのです。

 エリさんは、サードをどうにかしてあげたい、と思うようになります。本当なら救ってあげたい、でもそれが無理なら自分の手で安らかに死なせたいと思うのです。エリさんはクレアに、サードを討つために、共闘したいと申し出るのです。

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