絵日記ログ・クレア紹介5
 さてさて、魔王城で魔王の部下として働いていたクレアんは、それほど深い仲ではないけれど、お付き合いした男性がいました。クレアんはその誰もが、かつて自分が恋していた幼なじみのエリオットにどこかしら似ているという事実に気づいて、愕然とします。エリオットは金髪碧眼なんですけどね、クレアちゃんはいつも人混みの中とかで金髪の男の人を目で追ってしまうのです。クレアは自分の心がエリオットを求めていることにしょんぼりします。実際のエリオットは、クリスと結婚して幸せな家庭を築いていて、そして幸せな二人を目の当たりにしたとき、クレアは自分の求めているものは今のエリオットじゃないんだと思ってしまうのです。
 そんなわけでクレアはちょいと落ち込みます。クレアは自分の造り主を喪い、幼なじみのエリオットと妹のクリスとは離ればなれで、しかも自分が生クレアの分身のような存在であるということを黙って、生きていかなくてはならないのです。クレアは、生クレアや、エリオットとクリスとの関係を、取り戻したいと願っているけれど、それは叶わないことなのです。それが叶わない代わりに、アイミに仕え、エリオットに似た男の人とつきあっているのだと感じたら、クレアは今の自分が滑稽で、落ち込んでしまったのです。
 そんなクレアはアヤメ君と出会います。

 アヤメ君については、以前少し紹介したと思うけど、もうちょっと詳しく。
 アヤメ君は魔王都の商家の三男坊です。アヤメ君の家は代々金髪の家系なんですが、アヤメ君は婿養子のお父さんに似て黒髪なのです。アヤメ君は母や兄や姉や祖父母がみんな金髪なのに、自分とお父さんだけ黒髪なのがコンプレックスでした。お父さんは婿養子なので、家の中で立場が弱いのです。そんなお父さんをアヤメ君はあんまり尊敬できなくて、なんで自分だけお父さんに似たのだろうと思っていたのです。上の兄姉たちはとっても優秀で、長兄は家を継ぐし、次兄と姉も立派な進路が決まってます。対してアヤメ君は、お勉強もあんまり出来ないし、何か得意なことがあるわけでも、打ち込めることがあるわけでもありません。まあそういうわけで、ちょっとコンプレックスのある子なのです。
 金髪コンプレックスの裏返しで、アヤメ君は金髪萌えです。(オイ) 金髪の女の子・男の子を見ると、ほわわんとなるのです。一時期自分の髪を金に染めてたこともあったんですが、ルレンに似合わない・不良みたいって言われたのでやめました。
 アヤメ君は17歳の時に、7つ年下のルレンちゃんと婚約します。まだ幼いのにしっかり者で、気持ちがまっすぐなルレンを、アヤメは好きだと思いました。でもそれは恋じゃなくて、どっちかというと友情に近い感情だったと思います。アヤメ君はルレンが将来のパートナーならそれはとってもいいことだと思ってました。ルレンを頼りに思っていたのです。アヤメはルレンを大切にしていました。だけどある日、アヤメ君はクレアちゃんと出会ってしまうのです。

 ある日、アヤメ君がお花屋さんでバイトしてたら、店の前をクレアんが通りかかるんですよ。アヤメとクレアの出会いのシーンは前もやったけどもっかいやるね。(オイ)
 クレアは前回の通りでちょっと落ち込んでいました。自嘲的な気分で歩いていたのです。アヤメは肩を落として歩く金髪の美少女(クレア)を見て、思わず声をかけます。お花いかがですか?って。クレアは別に気乗りしませんでしたが、アヤメが熱心なので少しだけ花を見ようと思ってお店に入ります。アヤメはクレアにセールストークしながら、この子の笑顔を見たいと思います。色んな花を見せますが、クレアは首を横に振るばかり。「どんな花が好きなの?」「知ってる花がいい」「どんな花なら知ってるの?」「レンゲとか……ツツジとか……」「そのへんに咲いてる花ばっかりだね」「……」「あ、そうだ、これは?」アヤメは大きなひまわりを出してきます。クレアはひまわりを見て、初めて笑顔を見せました。「その花なら知ってる!」と。クレアの明るい笑顔を見て、アヤメはクレアに恋をしてしまうのです。
 まあなんだ、後半は以前書いた時のコピペなんですけどね。補足すると、クレアは、生クレアがまだ生きてた頃、エリオットやクリスが外からレンゲとかツツジとかを摘んできてくれたんです。生クレアの部屋の前にはひまわりが一輪生えてて、生クレアは窓からそのひまわりを見るのが好きだったんです。だからクレアにとって花っていうのは、エリオットやクリスが摘んできてくれた花か、家の前のひまわり、なんですよ。アヤメ君がひまわりを出してきてくれたとき、クレアは昔親しんだものに触れられて、嬉しかったんです。
 でまあ、アヤメ君が告ってクレアがおkしてふたりお付き合いすることになるんだけどね。アヤメ君ってどうやってクレアの居所突き止めたんだろう……謎。まあ、魔王都はそんなに広くないし、花屋の店長の緑月さんとクレアは元同僚で知り合いだしね。まあどうにかして再会して、デートとか誘って頑張ったんでしょう。リア充だなあ……。
 アヤメはただただクレア好きって感じなんですけど、クレアの方はもうちょっとフクザツな気持ちを持ってます。前回の通りに、クレアは自分がかつて恋したエリオットのことを引きずったまま恋愛をくり返していることに気づいてしまって、ガックリしてます。でも今度自分を好きだと言ってくれるアヤメ君は、エリオットに何一つ似たところがない、という風に思えたのです。金髪でもないし。クレアとアヤメとはとても気が合って、一緒にいると楽しかったのです。クレアはアヤメと恋愛できれば、エリオットのことを忘れられるかも知れないと思って、アヤメを受け入れたのです。
 最初はとってもふたり仲良しで、楽しく過ごせました。だけど、クレアは「自分の出生について明かせない」人なので、親しくなればなるほど、アヤメはクレアが何か隠しているという風に感じるようになります。クレア自身も、アヤメに対して悪いことをしている気になります。生涯寄り添う相手になら、クレアも自分の出生を明かしてもいいかも知れないとは思ったのですが、クレアはどうしてもアヤメを一生添い遂げる相手という風には思えなかったのです。アヤメは魔王都の普通の家に生まれて、平和の中に育ち、世界の命運をかけた戦いとかとは無縁の一般人です。それに対して、クレアは生まれは特殊だし、世界のために命をかけて魔王アイミを守ることを仕事にしています。クレアとアヤメじゃあ生きてる世界ががくんと違うのです。平和の中に生まれ育ち、なにか大きな力を持っているわけでもないアヤメを、クレアが生きるような戦いの世界に巻き込むのはクレアにはためらわれたのです。クレアはアヤメに自分の身の上を明かすことはなく、アヤメと一緒の時間を、それなりに楽しく過ごせればそれでいいと考えました。

 アヤメはクレアには何か秘密があるのだけれど、自分はそれを知らせてもらえないということに、地味にダメージを負っていきます。クレアと一緒にいる時間は楽しいし、クレアもアヤメと同じように楽しんでることは分かるのですが、デートが終わってさよならすると、突然虚しくなるのです。なんで恋人同士なのに、一番大切な人なのに、クレアの秘密を分けてもらえないのかと、アヤメは苦悩します。
 アヤメにはルレンという婚約者がいて、アヤメは結婚相手はルレンだけど、今はクレアが好きでクレアとつきあってるっていうスタンスでした。クレアの方もアヤメと生涯を共にしたいとかは別に思ってないようだということも感じられました。苦悩したアヤメは、自分がルレンとクレアの間でどっちつかずでいることが、クレアが秘密を明かしてくれない理由なのだろうかと考えます。アヤメが一生クレアについて行くことを決心できれば、クレアも心を開いてくれるのではないだろうか、と。

 で、ちょっとルレンちゃんのターンなんですが。ルレンちゃんは、親が勝手に決めた婚約だったけれど、アヤメのことを好きでした。抜けたところのあるアヤメを、自分が支えて、二人で生きて行くのだ、という風に思っていました。ルレンちゃんは、アヤメがクレアとつきあいだしたことを知ったとき、ショックを受けました。ルレンはアヤメのことを好きだったけれど、アヤメはそうでもなかったのだ、と思います。ルレンは、アヤメは好きで婚約したわけでもない自分のことを充分大切にしてくれていた、と思いました。アヤメにだって自由に恋愛する権利はある、と思いました。ルレンちゃんは辛かったけれど、アヤメ君がクレアとつきあうのを、認めたのです。
 ルレンちゃんとクレアは魔王城では同僚です。ルレンはクレアが魔王アイミから一番信頼されている部下で、ものすごい魔道士だということを知っています。クレアの生まれについて詳しくは知りませんが、ただ者ではないということだけは分かっています。ルレンちゃんはそうして自分の目で見る魔王の部下のクレアと、アヤメから聞く女の子のクレアとの、断絶ぶりを、不思議に思います。クレアはなんだか、アヤメに対して、あんまり真面目じゃないんじゃないかという風に、感じるのです。アヤメ君はダメな男なので、クレアとの間の悩み事とか、ルレンちゃんにこぼすんですよね。あーダメだなあホント。だからルレンは、クレアがアヤメのことをちゃんとしてあげてないんじゃないかという風に感じてしまうのです。
 ルレンちゃんはアヤメ君に対して恋心を持っていたので、アヤメが自分とは違う女の子とつきあうと知ったとき、もうアヤメ君との関係はあきらめた方がいいんだなって思ったのです。アヤメはルレンちゃんに対して、好いてはいたけど恋心は持ってなかったので、自分が他の相手に恋をしたとしても、ルレンとの関係は変わらないという風に思ったけど、ルレンちゃんはそうじゃなかったのです。ルレンは、アヤメをあきらめて、クレアに譲ろうという風に割り切ったのです。ルレンは、アヤメとクレアが生涯を共にするのが一番だという風に考えていたのです。
 なので、クレアがアヤメ君に対してちゃんとしてあげてないっていうのは、納得いかないわけです。その所為で落ち込んでしまっているアヤメ君を見たら、ルレンはどうにかしなきゃと思ったのです。

 ルレンはクレアを呼び出します。クレアは、ルレンとアヤメがフィアンセなのを知っています。なのでいつかルレンに何か言われるんじゃないかとハラハラしてました。
 ルレンはクレアの前で涙を見せます。ルレンは普段、泣いたりするような子じゃないので、クレアはビックリします。ルレンは泣きながら、アヤメのことが好きだったけど、アヤメはクレアを好きだから、私は身を引く、アヤメのことを大事にして欲しいと言います。
 クレアは、ルレンがなんと言っても、自分とアヤメとの関係は変わらないと思っていましたが、いつもしっかり者で理屈屋で、感情的とはほど遠いルレンが、泣きながらクレアに願うのを見て、たじたじになってしまいます。ルレンをこんな風に泣かすのだから、自分はアヤメのことをもっと真面目に考えなくてはならないのかも知れないと思うのです。
 ルレンはクレアにそう思わせるために、わざと泣いて見せたのです。ルレンはただ自分が普通に言うだけで、クレアの態度が変わるとは思ってなかったので、どうするのが一番クレアに有効か色々考えて、自分が泣いてみせるのが適当だろうと判断したのです。自分が泣いて見せれば、クレアの心にも響くだろうと思ったのです。
 ルレンはそのあとアヤメに会って、自分の婚約指輪をアヤメに返します。これでもう、アヤメの将来は自由だから、クレアのために生きられるよと言います。ルレンとクレアの間でどっちつかずでいるのがいけないのかもって思っていたアヤメは、ルレンの申し出を心底有り難いと思うのです。アヤメはルレンに謝って、そしてお礼を言います。アヤメが今までフィアンセでいてくれてありがとう、と言うのを聞いて、ルレンは自分の恋心は充分報われたと感じるのです。

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