ルーカス(セカンド)
「僕には、欲しいものも、失いたくないものも、無い」?才 ♂ 12月6日生まれ AB型 魔力:★★★★☆ 魔力容量:■■■□□ 魔道技術:▲▲▲▲△ 好き:(特になし) 嫌い:しつこいもの 得意:魔道+体術 作り笑顔 | |
God in the Heart(ダイジェスト)
(……言葉は儚い、か)(言葉だけじゃない、世界はみんな儚いんだ……) (………名前なんて、無い) ――そうだ、彼には名前が無い。名前の代わりに、あるのは、番号だけだ……。 心の、心の神に従って生きる。 自分にも、そんなものがあるのだろうか? 愛されて生まれたわけでもない、名前すらつけてもらえない、こんな自分に。 (もし、そんなものがあったとしても、それに従って生きることなど、僕には不可能だ) 自分には、自らの心に従って生きる自由など無い。従うべき者は、他にいる。その命令は絶対で、自分の思考が入り込む隙間は無い。命令に背くのならば、それはそのまま、命と引き替えでなくてはならない。 ――それとも、命を捨ててまで、心の神に従うべきなのか――? (ナンセンスだ、あり得ない……) (どのみち、僕には自由なんて無いんだ。心の神に従って、それで生きることなど、僕には許されないんだ……) 涙を流さないのは、幸せを知らないからだ。何かを望んで、得られないのなら、涙は流れるのかもしれない。大切なものを失えば、涙は流れるのかもしれない。 (僕には、欲しいものも、失いたくないものも、無い……) (――神様なんて、いない) (この世の何処にも、人の心にも) (たとえ、この身に自由など無くても) (神のいない僕は、生きることをやめない……)
決戦前夜(SS)
夜風が冷たい。明日のことを思い、彼は、自分の胸が言いしれぬ想いに疼いているのを感じた。明日は行動を起こす日だ。体のことを考えれば、もう床についた方がいい時間だ。そう思っても、寝室へと足が向かないのは、何故か。自分のことなのに、理解に苦しむ。 無意識に胸元に手をやって、そこに期待していた感触がないのに気づく。そうだ、あの月の形のペンダントは、去年の秋に彼女にあげてしまったのだ。そんなことも忘れていたのか……。 少し、焦っているのかもしれない、そう思った。彼が明日相手にする者たちは、確かに侮れない。実践不足なのは否めないが、魔道を扱わせれば他のどんな種族にも劣らない、天性の魔力を持っている。 (――そうだ、天使を相手にするのは、骨が折れることだ) そう心中でつぶやいて、彼は何か違和感を覚えた。相手が強い。ただそれだけ? ため息をついて、考えを霧散させる。相手が強い、それだけだ。ただそれだけだ。 「ルーカス?」 背後から声をかけられ、彼は背筋がぞくりとするのを感じた。自分で思っていたより、気を張っていたのかもしれない。心を落ち着かせ、振り向く。 「……どうしたんですか?水無さん……」 平静を装って、声をかけてきた青年に問う。 「どうしたって……」 水無は不思議そうに彼を見て、言った。 「だって、もうこんな時間なのに。外にいるから」 ああ、そう言うことか。彼は安堵した。ただ、水無は彼のことを気遣って声をかけただけなのだ。大丈夫だ、怪しまれてはいない。 「……その。空を見ていました」 言って、ふさわしい台詞でなかったことに気づく。夜空は曇り、星も、月もない。こんな空を誰が見るのだろう。 「空ねえ……」 案の定、水無は空を見上げ、不審そうな声を上げた。 「えっと……。考え事をしていて」 彼は何とか付け足した。水無はどう思っただろうか。おそるおそる、表情を見る。 水無は、何処か悲しそうな、同情するような、そんな顔をしていた。まっすぐ、こちらを見つめている。 「ルーカスって……」 彼はまた、背筋に悪寒を感じた。水無は自分を疑っているのだろうか?自分が、水無たちの敵だと、そう、疑っているのだろうか?……言葉の続きを待つ。 「ルーカスって、ひとり、だよね」 水無は言いながら、俯いた。 「え?」 即座にその意味を判断しかねて、彼は疑問の声を発した。 「えっと、その、ごめん。変なこと言って……」 水無はそれを、彼の不本意と取ったらしい。あたふたとしながら、しかし、否定はしない。 「俺……」 水無はまた俯く。彼は、水無の瞳に痛々しい色を見た。 水無は、何かを言いたいのだ。その相手に、彼を選んだ。彼を疑ってのことではないらしい。むしろ選ばれたということは、水無の信頼を得たということかもしれない。 「俺、分かってるんだ。自分には仲間がいるって。なのに……」 水無が緩く、拳を握る。 「なのに……ひとりのような、気がするんだ」 水無が拳を作ったのは、無意識のことであろう。彼は今までにも、水無がそうやって拳を握る動作をするのを見たことがある。多くは、彼の無二の親友と、その恋人のいる場面で。 「……だから、ルーカスも、そうなのかと思って」 言って水無は、またまっすぐに、彼を見つめた。 その瞳。悲しみと、かすかな――水無自身も気づいていないような、かすかな怒りに、ゆらめいている、その瞳。 思い出したのは、同じ孤独の瞳だった。同じ、孤独、けれど、全く違う孤独。 ――人は汚い。 そう言って、他者の命を奪った、あの男の、孤独の瞳。この手に掛けた、あの青年の孤独は、どんなだったろう? 「僕が、ひとりなのに比べれば、水無さんはずっと、ひとりじゃないですよ」 彼は言いながら、何のために言ったのか自分で分からなくなる。 「え……それって、フォロー? ……に、なってないよね」 水無が、苦笑する。 「フォロー、……確かにフォローじゃないですね」 つられて、彼も少し笑う。 「多分……、事実、です」 事実、そうだ。それは事実に違いない。 水無はひとりではない。彼や、死んだ青年に比べれば、ずっとずっと、いろいろな人間から想われている。それでも、水無の抱えるそれは、確かに孤独なのだ。 「……やっぱり、かぐやがいても、ルーカスはひとりなんだ?」 水無が何故か寂しそうに言った。 彼女の名が出ると思っていなかったので、彼は少し驚いた。そして、彼女を恋人としながら、それを忘れていた自分のうかつさを、反省する。彼女を愛してなど、いない。けれど、どちらかと言えば、仲が良いように振る舞った方が利益になるということは、分かっていた。そしてそう振る舞うことが、やけに難しいということも、やっているうちに分かった。 「ルーカスって、かぐやのこと、あんまり好きじゃないよね」 水無がまた、寂しそうに言う。哀れな彼女の身の上に、自身を重ねているのかもしれない。 「……わかり、ますか?」 彼は、どう答えるべきか迷って、結局は素直な台詞を選んだ。今までさんざん騙してきたのだ。明日で全てが終わるなら、少しくらい真実を与えてもいい。 「あ、やっぱり、そうなんだ」 小さな声だった。少し息を吸って、水無はまた言った。 「なんか、そうじゃないかと思ってたんだ」 やはり、誰かに好意を寄せているように見せかけるのは、難しい。彼はそう思った。今は遠くにいる、彼の相棒なら、うまく演じるのかもしれない。 (というか、本当に好きなのかも。ファーストの場合は) 心中で、ぼやく。しかし考えてみても、相棒の心理はいつも謎だらけだった。 「……ねえ、もう、中に入った方がいいよ」 水無が、彼の肩に触れた。ごく自然な、動作だったのだろう。しかしその親愛の感触に、彼はひたすらな違和感を覚えた。 「……今日はちょと寒いし」 「……ええ」 彼は同意して、寝室へ帰ることにした。
ファーストと別れるルーカス(萌えメモ)
なんかファーストとルーカスが別れるシーンが突然、浮かびました。(何)「ほら、これやるよ(持っていた薔薇を押しつける)」 「何? いりませんよ。こんなの」 「いいから、持ってろよ」 「(少し不安になって)ファースト? ……また会えますよね?」 「何? 寂しいの?」 「(無言で拳を繰り出す)」 「(ひょいとかわして)大丈夫! 兄さんはいつでもお前のそばにいるから!(走り去る)」
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